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2008年7月の記事

2008年7月31日 (木)

ラストキング・オブ・スコットランド

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在位中に,30万人ものウガンダ人を虐殺した悪名高い独裁者,イディ・アミンの実像を,彼の主治医だったスコットランド青年ニコラス(実在はしない)の視点で描いた,政治サスペンス。アミンを演じたフォレスト・ウィテカーが,アカデミー賞主演男優賞を受賞した作品。

つぐないでファンになったジェームズ・マカヴォイを見たくて,今頃DVDで鑑賞。オスカー受賞作品とは知っていたが,政治ドラマかと思って食指が動かなかったのだけど,蓋を開けてみれば,主役がアミン大統領の主治医,という異色な視点で,とても面白かった。
それにしても・・・怖かった,
かなり,いろんな面で。


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庶民あがりの独裁者,アミンの持つ恐るべき二面性。陽気で社交的でチャーミングなアミンと,臆病で残虐で暴走するアミン。彼はきっかけさえあれば,まるでスイッチが切り替わるかのように豹変する。

どう転んでも「善人顔」のウィテカーが,まるで「ジキルとハイド」のようなこの難役を,まことに見事に演じていて,オスカー受賞も納得である。怯えと妄想と,残忍な怒りに支配された時の彼の顔は,普段はひょうきんに見えるアンバランスな目までが,すごく不気味な効果を醸し出していて,心底恐ろしかった。

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彼の主治医を務め,最初はおおいに気に入られて舞い上がったのはいいものの,後には命からがら逃げ出すことになるニコラスを演じたジェームズ・マカヴォイ。

もうね,このニコラスが,はっきり言って何とも軽薄な若者なのだ。こころざしがね~,お子さまというかなんというか・・・後でアミンからも「ゲーム感覚でこの国にやってきたんだろ?」と言われていた。

こんな政情不安定なウガンダを任地に選んだのも,地球儀の上にペンを指して決めたんだものなぁ・・・。まぁ,覚悟も,使命感もなしにやってきた彼の能天気さは,のちに大きなツケを払わされることになるのだけどね。

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それにしても,マカヴォイの演技もさすがだった
このひとはほんとに,いいお芝居をするのだけど,出演作ごとにがらりと雰囲気が変わる。顔は同じでも表情を使い分ける・・・というか。この作品では,眉のしかめ方とか,口元の動きとかが,いかにも「軽い」人間のようで,「こんなコが部下にいたら,イケメンでも信用はできないわね」と思ってしまった。

最初はアミンのカリスマ性に惹かれ,彼に気に入られたことを喜び,権力のおこぼれを享受して悦に入っていたニコラスも,やがて次第にアミンのもう一つの顔が見えてくると,自分が抜き差しならない状態に陥っていることを感じ始める。

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・・・それでもまだ,アミン夫人とできちゃうなんて,
「お前はアホか」と思ったけどさ。

彼のやったことが,あんな残酷な拷問を受けるに値するとは,さすがに思わないけど(あのシーンは当然早送りした)ああいうことが平気でできちゃう,アミンの恐ろしさには言葉もない。不倫したアミン夫人の虐殺の仕方も,目を覆うばかりの方法だった・・・気の弱い方は鑑賞をお勧めしない。

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・・・・これでも,まだ序の口。怖いのはここからshock

その死を,ウガンダの全国民が祝ったという,暴君アミンの実像を,単なるドキュメンタリーとして描かずに,ひとりの白人青年(それもあまり賢明ではない)の目を通して徐々に明らかにしていく,という手法のこの物語からは,アミンの人柄やその恐ろしさがじわじわと伝わってくる。

医師ニコラスは,愚かすぎて感情移入が難しいキャラなのであるが,たとえ共感はできなくても,彼の目線で物語を追ううちに,いつのまにか彼と同じ恐怖を味わっていたし,彼が無事に脱出できた時は,やはり安堵した。(それにしても彼の命を救った同僚のお医者さんは気の毒だったけど)

ものすごく,高い授業料を払って,
人生勉強ができたのだろうか,彼は。

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おまけ画像。素敵heart04

2008年7月29日 (火)

おかげさまで1周年

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おかげさまで,
この8月でこのブログも
無事に1歳の誕生日を迎えます。

「こんな私でも,できるのか?」と
おっかなびっくり始めたブログですが
無我夢中のうちにいつのまにかもう1年・・・・


とちゅう,身体を壊した時期もありましたけど
なんとかここまでやってこられたのは
ひとえに皆さんのおかげです。

ブログを始めてよかったなぁ,と思えることは
映画を観る視点が,皆さんのおかげで広がったことと
苦手だったPCのスキルがアップしたこと。
文章をまとめるのが比較的,以前より速くなったこと。

反対にちょっと困ったのが,
ブログにかまけて美容タイムをおろそかにして
老化が進行
shockしたことです。
仕事タイムは削れないので,
どうしても美容や睡眠にかける時間を犠牲にしてしまう・・・。

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それでも今はまだ,運転を始めたばかりのドライバーのようにブログを書くのが楽しくてたまらない,という状態です。新作にかかわらず,感想を書きたい作品はまだ星の数ほどあるし,その魅力を語りたい,イケメン俳優heart04も増えるばかりだし,皆さんとのコミュニケーションも,生きがいになりつつある毎日です。

どうかこれからも,この言いたい放題の「虎猫日記cat」を
あたたかい目で見守ってくださいませ。

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それにしても
今年の暑さは格別。

先日,室内なのに,あやうく
プチ熱中症に かかるところでした。

皆さんも暑さ対策,しっかりね~~。

この猛暑が過ぎ去るまで,
なんとか,気合いで乗り切りましょう!punch

   

2008年7月28日 (月)

ハプニング

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シックス・センスの後遺症をいまだ引きずっていて,シャマラン監督作品と聞くだけで何となく観てしまう私・・・・。主演のマーク・ウォルバークも好きだし。

いつも人智を超越したテーマをぶつけてくるこの監督。今回はニューヨークのセントラルパークを皮切りに,突如として発生した,原因不明の恐るべきハプニング。緑の多い公園に集う群衆の中で,それは唐突に起こった。

まず,言語の錯乱や方向感覚の喪失が起こり,人々は,突然ビデオの静止ボタンを押されたかのように動きを止める。一瞬の不気味な静寂の後,彼らは一斉に呆けたように自らの命を絶ち始める。

最初は,テロによる有毒ガスの被害と考えていた政府。しかし,その線はやがて消え,原因も対策もわからないまま,惨劇は恐るべきスピードで,アメリカ北東部を中心に広がってゆく。

原因が皆目わからない,という得体の知れない恐怖や,感染のスピードにおびえる人々。死にざまのあっけなさときたら,まるで物体のようだ。何の意志もなく,まるでスイッチを切られたロボットのように,バタバタと死ぬ。
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怖い・・・。これは怖かった。
なぜ?どうして?そして救いはあるのか・・・?と主人公が妻と親友の子供を連れて逃避行する間,スクリーンに釘付け。

どうも植物が発する有毒な化学物質が原因で,それが発せられるのは,人間が大勢集まったときらしい,だから少人数で逃げる・・・という展開は,荒唐無稽であるが面白いと思った。植物が人間を意志を持って攻撃するなんて,これまで人類が,自然環境に対して行ってきたことのしっぺがえし,のようだ。

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この作品のマークは,ヒーローでもなんでもなく,まったく普通のよき社会人で,好人物.だ。「ディパーテッド」や「シューター」で見せたアクや精悍さはみじんも感じられず,誠実で温厚で,妻を心から愛している優しい夫の役だった。この作品には,こういう「普通っぽさ」が求められたからだろうか。男くさいマークも嫌いではないが,こういう優しいソフトな感じのマークが実は好き。夫にするならこんなタイプがいい。

彼と彼の家族が助かったのは,
この災害が,突然終わったから。

ひとえに,運がよかったの一言に尽きるのだ。
始まりも終わりも唐突で,人間の力ではどうしようもないこと。そして,再び同じことがいつ起こるかわからない。防ぎようがない。世界の終りに人類が滅びるとしたら,こういう感じなのだろうか?

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個人的には,
世界の終わりの到来を信じているクチである。


新約聖書の黙示録にあるように,天から火と硫黄が降ってくる・・・・という光景が言葉通りに起こるとは思わないが,天変地異であったり,核戦争であったり,環境破壊であったり・・・「火と硫黄」に相当する何かによって,いつかこの世と人類は滅びるのではないかと。

そして,その時が来たら,「人類滅亡の危機を描いたエンタメ作品」に出てくるヒーローが地球を救うこともなく,人智の及ばない力に翻弄されるのがホントのところだろう。そう,ちょうどこの作品のように。

・・・・それにしても,シャマラン監督の作品は,どうしても「ラストの大ドンデン返し」を期待してしまうので,この作品のあっけない終わり方に,おおいに肩透かしを感じる方も多いだろう。途中が結構目が離せない面白さだっただけに,エンドロール中は,呆気にとられたような妙な雰囲気が,劇場に漂っていた。まるでメインディッシュのないまま終わってしまったコース料理みたいな感じ・・・?

2008年7月27日 (日)

ラヴェンダーの咲く庭で

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1936年,英国のコーンウォール地方に静かに暮らす二人の老いた姉妹,ジャネット(マギー・スミス)とアーシュラ(ジュディ・デンチ)。ある日,1人の異国の青年アンドレア(ダニエル・ブリュール)が,嵐の去った浜辺に打ち上げられ,姉妹は彼を我先にと競って看病する。アンドレアには,類まれなバイオリンの才能があった。そして,時がたつとともに,彼は特にアーシュラにとって大きな存在となっていくのだけど・・・・。

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2004年の英国映画。
限りなく優しく,切ない気持ちになれる珠玉の作品だと思う。これは,少女のようなピュアな心を持ったひとりの老女の,言わば老いらくの恋の物語。・・・・いや,恋と呼ぶのはちと違う・・・正確には恋ごころ,とでも言うべきか。

コーンウォール地方の美しい素朴な自然に抱かれて,つつましく暮らしていた二人の老姉妹。姉のジャネットは戦争未亡人,妹のアーシュラはどんな事情があったのか,恋も結婚も未体験のまま,年を重ねた女性。そんなアーシュラの心に,長いこと封印してきた「ときめき」の感情を呼び起こした,青年アンドレア。
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とにかく,ダニエル・ブリュール演じるアンドレアが,まるで子犬のように可愛い。老姉妹たちは,彼をまるで天から降ってわいたペットのように可愛がり,つくすのだが,アンドレアの人懐っこい笑顔を目にすると「無理もないな~」と,気がつくとこちらまで頬がゆるんでくる。

だって,ダニエルの笑顔は,母性本能がすごく刺激される笑顔なんだもん。なまじ言葉が通じないだけに「この世に頼れる相手は,あなただけ」という,何とも無垢な表情で見つめられたら,女としては,どんなことでもしてあげたくなるではないか。

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で,息子というよりは,孫のような年齢の青年に,なんとも初々しい恋心を抱くアーシュラを演じたジュディ・デンチが,とてもかわいらしく,健気に見えた。外観はもちろん,いつものデンチなのだが,ときめきや,戸惑いや,切なさを表した表情が何とも言えずチャーミングなのだ。・・・・さすが大女優の力量発揮,というところか。

女はいくつになっても
恋をすることができるのか~heart02
と,
驚きとともに,嬉しさや,やるせなさを感じた。それって,喜ばしいことでもあるけど,業(ごう)のようにも思えるから。

こんな恋ができたのも,それまでの人生で,恋も結婚も体験せず,免疫のない純情さを保ち続けていたアーシュラだからこそ,なのかもしれない。年下好きの私でも,これほどの年の差のある恋というのは,ちょっと想像できないわ・・・・)

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もちろん,彼女の片思いは,
とうてい成就するすべもなく・・・・

(成就しても困るだろうケド)

アンドレアのヴァイオリンの才能が,彼を自分たちから奪ってしまうのではないかと,密かに恐れていた老姉妹。しかしその予感は的中し,彼はある日,唐突に彼女たちのもとを去る。姉妹に申し訳なく思いながらも,才能を世に羽ばたかせるために。

籠の鳥じゃないんだから,彼の将来を考えると,やはりこれでよかったのだろうけれど,そして冷静に考えれば,ジャネットやアーシュラも,いずれその道を選択せざるを得ない日がやってきただろうけれど・・・・。

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それでも,一時は,身も世もあらぬ悲しみに暮れるアーシュラの嘆きようは痛々しい。究極の片思いであっても,終焉はやはり哀しいものだ。

ラストシーンのアンドレアの演奏するヴァイオリンの調べの美しさ。彼の晴れ姿を見つめる姉妹の,誇らしさと痛みのこもったまなざしが心に残る。・・・・こんな,愛の物語もあるんだな。アーシュラにとっては,生涯で最初の,そして最後の恋だったのか?そう思うと,とっても・・・・切ないなぁ。


シンプルで,やや現実離れしたストーリーだが,二人の大女優の演技と,ダニエルのナイーブな魅力が光る作品だった。

2008年7月24日 (木)

クライマーズ・ハイ

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1985年8月の,
日航ジャンボ機123便の墜落事故・・・。

あれからもう23年もたったのか・・・。

ちょうど夏休みの,しかもお盆まえで,大阪の叔母の家に泊まりがけで遊びにいっていた私は,そこのテレビで事故のニュースを観た。思えばあの年の夏,テレビや新聞などは,墜落現場のありさまや,生存者や遺族の情報,事故原因など,この事件関係の報道で持ち切りだった。

この映画を観ている間じゅう,あの時実際に報道された様々な情報や,それに触れたときに感じた思いが(もう正確なことはぼやけてしまってはいたが)自分の中で蘇ってきた。
・・・知らなかった。あの事件の背後に,こんな熾烈な報道合戦と,その渦中の男たちの熱い戦いや葛藤があったとは。
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1985年の日本はどんな時代だったのか,冒頭からスクリーンに映し出される風景や小道具やファッションの数々が妙に懐かしい。「グリコ・森永」とか「大久保・連赤」とか「靖国参拝」とかの言葉も。

パソコンなど一台もない新聞社のオフィス。コードがついた旧式の受話器。扇風機やうちわを駆使しているところを見ると,エアコンも普及してなかったっけ?
携帯電話とパソコンがないっていうのは,通信上どんなに不便だったろうな,と思う。まぁ,それらの恩恵を普通に享受している現代からみれば,そう思うのであって,あの当時は別に不便と思ってもなかっただろうけど。

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墜落現場の御巣鷹山。
険しい道なき道を,猛暑の中,重い機材を担いで苦労して登るカメラマンたちや,社の方針で無線も持たせてもらえなくて,電話を求めて奔走する記者たち。・・・・・なんて,まあ,大変な。

そして,この物語の主人公である,
北関東新聞社の悠木(堤真一)。

彼の奮闘ぶりを観ていると,「男は閾(しきい)をまたげば,七人の敵あり」ということわざが思い浮かぶ。この事件の全権デスクに指名された彼にとって,敵はライバルの新聞社だけではなく,自社の上司や,同僚の中にもうようよ。ただでさえ緊迫感でピリピリした社内の空気の中,意見の対立や,個人的な感情が引き金になって,怒号が飛び交い,険悪な空気が立ち込める・・・・。

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それにしても,男の仕事場って,戦場なんだなと改めて思う。いや,女だって仕事上の意見の対立や,上司とのあれこれはあるけれど,男性の場合,闘争本能の違いなのか,桁が違うような。仕事に関するプライドや出世欲や嫉妬心も,女性にはないすごいものがあるんじゃないだろうか?

中央紙に対抗する地元紙としての誇り。部下の記者たちと上司との板挟み。つかんだ情報のうち,どれを優先して報道するか,繰り広げられる討論。そしてついにつかんだ大スクープと迫られる重大な選択。
悠木にとっては,混乱と喧騒と,緊迫感に満ちた,なんと熱い1週間だったろう。

劇中,「あんまりじゃん,それ!annoy」という事件が多かったので,何度も「辞めちまえ~,そんなとこ!」と心の中で叫んでいたが・・・・本当に彼が辞表を出したときはすごい爽快感があった。
そうだ,悠木,振り返るな!カッコいいぞっ!

その後,あの有名な遺書(今でも言葉の数々を覚えている)のコピーを佐山が読むシーンでは,目頭が熱くなった・・・・。

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そうそう,県警キャップ・佐山を演じた堺雅人,とってもよかった。「アフタースクール」も見ようかな?

・・・・うだるような酷暑の中,それにも増してアツイ映画を見せてもらった。

2008年7月22日 (火)

近距離恋愛

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お気に入りのパトリック・デンプシーのラブコメ。何のひねりもない物語だったけど,肩の力を抜いて大笑いしながら楽しめたので,感想もサクッと簡単に・・・。

アメリカのウェディング・プランのあれこれが興味深かった。
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特に花嫁付添人の役割って大事なのね!
挙式までの花嫁の心の支えになったり,あれこれ段取りをしたり。そのリーダーを男性のトムがつとめるというのが,ほとんどジョークで面白い。そりゃ,ゲイに間違えられるわな。

この勢いで行くと,もしかして結婚式の時にパト様のドレス姿が拝めるのでは・・・とアヤシイ期待をしてしまったが,さすがにそれはナシだった。・・・・ほっ。ついでに言うなら,スコットランドの伝統的な結婚のしきたりも,(あれって全部本当なの?)面白かったなぁ。

なんといっても,全編,
キュートなパト様heart02 満載です。

いわば大男の部類に入る彼が,この作品ではけっこうパワフルにドッタンバッタン跳んだり跳ねたりする。バスケットとかのシーンもあるけど,お店のウェイターとぶつかって跳ね跳んだり,結婚式場に馬で乱入してふっ飛ばされたり・・・・・。大男だから,かなりの迫力。
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パト様の演じるトムは,二枚目の色男,という設定なのに,本気の恋には不器用で三枚目・・・というのが憎めない。なんとかハンナの結婚を阻止しようとあの手この手で頑張るけど,何から何まで,どうしても恋敵に敵わないのだよ,これが。(顔だけは絶対勝ってると思うけど・・・)

あと,二人が知り合うなれそめのシーンが冒頭に出てくるのだけど,10年前,という設定なので,パト様も前髪を下ろして若造りしているけど,これがなかなか可愛かった・・・。

そうそう,一番気に入った格好は,
ずばり,あの,ミニ・キルト!
(パンチラに場内は爆笑だった・・・)
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可笑しくて,かわいらしくて,
ちょっぴりお下品なスパイスも効いてて・・・・


まぁ,無難なラブコメで,目新しさはないのだけど,パトリック・デンプシーのファンなら十分楽しめる。魔法にかけられてでは,「僕だけ真面目な役でさびしかった・・・」と,コメントしたらしいパトリックも,今作ではきっと楽しみながら演じたことだろう。

「海の日」のミニシアターはいつになくお客さんの数も多かったが,(いつもは数人なのに,半数の入り)何とひときわ大きな声で爆笑しているオジサンがいた。もしかしてパトリックのファン・・・?んなはずないよね。単にラブコメ好きなオジサンなのか???

2008年7月21日 (月)

つぐない

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今頃まだ公開している劇場があったので,遅ればせながら本日鑑賞。イアン・マキューアンの原作を,事前に流し読みして臨んだが,ほぼ原作どおりで,俳優たちは皆,登場人物たちをまことに魅力的に演じ切っていた。

神経質で多感な文学少女,ブライオニーを演じたシーアシャは,全身から思春期の少女特有の,純粋で一途で,潔癖な雰囲気を漂わせていた。彼女の嘘のために,引き裂かれてしまう運命の,哀しい恋人たちを演じた二人も,また素晴らしかった。キーラ・ナイトレイは,上流階級の美女をやらせたら,右に出るものがいないのではないかな?ノーブルな美貌は,今回も輝くばかりで,衣裳の美しさも,ため息もの。
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・・・・宇宙服のようだが,これは水着。

そして,今回とことん不運なヒーロー,ロビーを演じた
ジェームズ・マカヴォイ
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エドワード・ノートン風のハンサムだけど,どっかで観たことある・・・と思ったらなんと,「ナルニア~」のタムナスさんだったのか!

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なつかしい~
あの時も上手い俳優さんだと思ったけど,文芸ラブストーリーのヒーローができるとは・・・。今後注目したい俳優さんだ。

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とにかく,セシーリアとロビーの二人の
報われない関係が,可哀そうで切なかった。

幼馴染の二人は,互いの恋心に気づき,衝動の赴くままに館の図書室で一度だけ愛を交わすが,その日のうちに,ブライオリーの嘘によりロビーは冤罪で逮捕されてしまう。そしてロビーは刑務所の後は,戦場へと送り込まれ・・・・。

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愛を確かめ合った次の瞬間には,無残に引き裂かれた恋人たち。たったあれだけの絆なのに,二人の魂は生涯,お互いのものだった。
二人の思いは限りなく深く,
共に過ごした時間はあまりにも少なく・・・・。

ロビーとセシーリアの互いを求めるまなざしや,触れ合う指先の演技を観ていると,胸が詰まった。特に哀しげなロビーの瞳と,セシーリアの官能的な「戻ってきて,私のところへ・・・」というささやきが忘れられない。

自分たちを引き離す原因を作った家族や妹を,セシーリアが生涯赦さなかったのは,仕方なかったかもしれない。家族の絆よりも,恋人との愛を選んだ彼女は,情熱的で強い女性だと思う。

自分の非を悟り,後悔と贖罪への思いにとりつかれるブライオリー。この物語のテーマである「贖罪」は,どのようなかたちでなされるのか?そもそも彼女の罪はつぐなうことが可能なのだろうか?

・・・・結論を言うと,ブライオリーは,不運な恋人たちに直接「つぐなう」ことはできなかった。運命もまた,彼らに対して非情な仕打ちをしたせいで。

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どんなことを行っても,
決してつぐなうことができない,
取り返しのつかない罪はあるものだ。

他人の人生を狂わせてしまうほどの罪を犯した場合,相手が失った幸せな歳月を,どうやって取り戻してやれるというのか。

しかし,おそらくその一生のほとんどを,贖罪への思いで過ごすことになったブライオリーも,また哀れだ。幸せを放棄したようなその生き方そのものが,たとえ相手に届かなくても,十分な「贖罪」行為ではないのか?と思った。
ロビーの冤罪を知りながら沈黙を守っていた真犯人や被害者のローラは,おそらくブライオリーのような後悔も良心の呵責も感じずに過ごしていただろうから。
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そして彼女は,晩年に出版した小説の中で,叶わなかった贖罪のわざを,せめて実現させようとする。そうしたところで,奪われた二人の幸せな人生が取り返せるものではないのは,おそらく百も承知の上で。

それでも,きっと彼女は,そうせずにはいられなかったのだろう。小説家として生きた彼女の,あれが精一杯の,責任の取り方だったのか。それとも,そうすることで,自分も癒されたかったのだろうか。

哀しく,美しく,繊細で,格調高い作品だった。
ちょっと泣けた・・・。

2008年7月20日 (日)

さらば、わが愛/覇王別姫

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愛しても,愛し足りない。
憎んでも,憎みきれない。
舞台を染める,運命の愛。

日中戦争や文化大革命などの,中国の激動の50年間に生きた,二人の京劇役者の愛憎の物語を,壮大なスケールと繊細な美学で描いた,レスリー・チャン主演,チェン・カイコー監督の一大叙事詩。1993年,カンヌでパルムドール賞を受賞。
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記者会見のレスリーheart04

ほんっとに久々に,観たい衝動にかられた。(DVD持ってる)・・・・とにかく,故レスリー・チャンの妖しいまでの美しさと,その哀れすぎる運命が心に焼きつく作品だ。何度鑑賞しても,観終わった後は呆然とした虚脱状態に陥る。

レスリーの演じる蝶衣(ティエィー) 彼の人生は,まさに悲劇の連続だった。幼少時に,娼婦の母親から置き去りにされるという,不幸な生い立ち。京劇の一座で,苛酷な修行に耐える孤独な彼の,心の支えになったのは,自分を弟のようにかばってくれた先輩小樓(シャオロウ)
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厳しい修行にも耐え抜き,立役者と女形として,成功を収める小樓と蝶衣。二人は「覇王別姫」の舞台で覇王と虞姫を演じ,大人気を博する。二人の絆は堅かったけれど,弟に対するような愛情の小樓と違い,蝶衣の抱く小樓への思いは「恋慕」だった。

小樓は蝶衣にとっては,この世の中で,唯一自分を守ってくれる人だったから。
庇護者のような彼を一心に慕い,役の上でも恋人を演じるうちに,いつしか彼に本当に恋をしてしまったのだろうか。

芸の上でも,また私生活でも,永遠に彼のパートナーでいたいと願う蝶衣は,
「1秒だって離れたくない」小樓に言う。「今までだって,ずっと一緒にやってきたじゃないか。」と面食らう小樓。「一生のことを言ってるんだ。」とすがる蝶衣だが,「芝居と現実を混同するな」言われてしまう。
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やがて,小樓は娼婦の菊仙(コン・リー)と結婚し,深く傷つく蝶衣。菊仙に対し,敵意と軽蔑をあからさまに見せる蝶衣。一方,気の強い菊仙は,夫と蝶衣との間の絆に嫉妬し,二人の芸人としての仲を裂こうとし,諍いの絶えない,愛憎うずまく奇妙な三角関係が生まれる。

そうこうするうちに,順風満帆だった彼らの役者人生は,襲いかかる動乱の渦に,否応なしに巻き込まれ,翻弄されてゆく。
日本統治時代,共産党政権確立,
文化大革命。

激動する政治や社会体制に従って,それまで民衆にもてはやされていたものが,一転して迫害され,糾弾される恐怖。生き延びるためには信頼関係にあった人をも,容赦なく裏切り,密告せざるを得ない風潮。彼らの誇りだった京劇もまた,文化大革命の嵐に容赦なくさらされる。
Cap035
そんな中で, 愛するものを次々と失ってゆく哀れな蝶衣。
もともと,わずかなものしか持っていなかった彼なのに。


生きる支えは,小樓への愛と,役者としての誇りだけだったかもしれない。小樓への思いは片思いだったとしても,そのつながりまでも,菊仙の出現によって,断ち切られる。せめて舞台の上で,彼の恋人を演じることが,残された唯一の幸せだったろうに,それさえ屈辱的な方法で,奪われてしまう。

衆人の前に引き出されての自己批判の場で,小樓から受けた罵倒と侮辱は,彼の心をどんなに激しく引き裂いたことか。それまで,どんな時も辛抱強く耐え忍んできた蝶衣が,さすがにこの時だけは,血を吐くような声音で,積年の思いをぶちまける。

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初見時は,結果的には蝶衣を苦しめる役まわりの小樓が,何となくいまいましく感じられたものだが,何度か観ているうちに,彼の立場や気持ちも理解できるような気がしてきた。

少年時代はあんなにたくましく,蝶衣の保護者のように見えた彼だが,案外小心もので,苛酷な動乱の中では,あのような言動しか選べなかったのだろう。気丈な菊仙に引きずられていたふしもあるし,なんといっても彼は同性愛者ではなかったのだから,その点では,蝶衣の愛に応じることは不可能だった。
彼もまた,形は違っても,蝶衣を大切に思っていただろうことは間違いがないと思う。少年時代の,あの厳しい修行生活で培われた絆は,そうたやすく断ち切れるものではない。

その一生を通して哀しすぎる運命に,
翻弄され続けた蝶衣。

もし,違う時代に生まれていたら。そしてまた,
もし,彼の望む形で
愛を返してくれる相手を選んでいたら。
その昔,「運命は定まっている。受け入れよ。」と諭した老師匠の言葉を,苦しみに遭遇するたびに,蝶衣は何度も繰り返し思い起こしただろうか。Cap059_6
この作品を久々に観て,
レスリー・チャンはやっぱり天才だと思った。
その仕草,その表情,その演技・・・・。
指先の動きまでが,なんとたおやかに美しいことか。

折にふれてほとばしる,秘められた情念は,観ていて鳥肌がたつほどだ。大切なものを,次々に酷くもぎ取られてゆく蝶衣の,狂おしいまでの悲哀を,レスリーは壮絶に演じきった。

平和な時代が訪れたというのに,まるで生きることに疲れたかのように,覚悟して命を絶った蝶衣の姿は,ブエノスアイレスを観たときと同じで,レスリーそのひとの,哀しい死を思い起こさせる。
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愛する男性との「覇王別姫」の舞台を,
最期の死に場所に選んだ蝶衣。

死の間際に蝶衣の心によぎった思いは,「悲しみ」ではなくて「満足」だったのか。それとも「諦め」だったのか・・・・?

大河ロマンのスケールと,細やかで切ない心情描写が,見事な融合をなしている傑作だ。

2008年7月16日 (水)

猫のおねしょ

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最近ねぇ~~,うちのななちゃんcatのことで,
飼い主はホトホト頭を痛める出来事が起こってるのですよ。

それは,ほかでもない・・・・おねしょ
知ってる???猫のオシッコって,
と~~ってもクサイ typhoon のよ

ちょっと洗ったくらいでは完全に取れないオシッコの臭い。
うう・・・思い出しただけでも,鼻が曲がる。shock

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ななちゃん,うちに拾われて来たときから,トイレのしつけは万全で
今まで粗相なんかとは無縁だったのだけどね。
やっぱり年をとったのかなぁ・・・

一番初めは,私の寝室のベッドの上に畳んであった
おニューのパンツdenimの上。
気がついたらぐっしょり濡れて異臭が・・・・・。
その下の掛け布団も敷布団もしみ込んでたから,
1度の粗相ではない。

それからというもの,いくら布団を干してもシーツを替えても
臭いが残ってるせいか,
はたまた,嫌がらせか(しかし,何の恨みだ?)
何度も私のベッドの上でオシッコをするように。

010
・・・ゴメンナサイ

疲れて眠ってる夜中にオシッコされた時は,
もう最悪
で。
さすがに,シーツをはがしながら,
部屋中を追っかけまわして叱ったら
カーテンの陰に隠れてしまった・・・。

以来,おねしょしてシーツ替えの場面が来るたびに,いつの間にか,カーテンの陰に隠れてる。(悪いとはわかってるのね)

お布団は困るのよね~~,いちいちクリーニングだし。
猫のおねしょ対策,(もしくはトイレのしつけ)
皆さんはどうされてます?

2008年7月14日 (月)

ヒトラーの贋札

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2008年 アカデミー賞 外国語映画賞受賞作品。ナチス・ドイツによる史上最大の贋札事件「ベルンハルト作戦」の秘められた真実を描いた衝撃のヒューマンドラマ。ナチスを題材にした作品は多々あるが,これは異色というか,これまで殆んど知られていなかった事柄を題材にしているので,とても興味深かった。

あらすじ: 1936年のドイツ、ベルリン。パスポートや紙幣など、あらゆる偽造を行うプロの贋作(がんさく)師サリー(カール・マルコヴィックス)。犯罪捜査局の捜査官ヘルツォーク(デーヴィト・シュトリーゾフ)に捕らえられた彼は、マウトハウゼン強制収容所に送られる。そこは犯罪者の送られる刑務所ではなく、ユダヤ人を対象にした収容所だった。(シネマトゥデイ)

とにかく,主人公サリーを初めとする,
登場人物たちの葛藤やジレンマが半端ではない。
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生き地獄の収容所の中で,生き延びるために,「贋札作り」という協力を求められるユダヤ人技術者たち。いや,協力を求められる,というようなものではなく,拒めば即殺される,という脅しに近い。

贋札作りが成功しなければ罰を受けるが,成功することはすなわち戦争を長引かせることであり,その分同胞たちが殺される・・・・,現に塀一枚隔てた向こうの世界では,毎日同胞たちが虫けらのようにいとも簡単に虐殺されているのだ。

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死と隣り合わせの極限状態の中で,
あからさまに試される,
それぞれの価値観や人間性。

いったい自分なら,この場合,どのような選択をするだろうか?・・・・この作品は,そういった問いを,観客に繰り返し問いかけてくる。

しかし,なんという酷い選択肢!
あのような,筆舌に尽くしがたい扱いを受け,いつ殺されてもおかしくない収容所暮らしを体験すれば,柔らかいベッドや,まともな食事の誘惑を退けることは,困難の極みだろう。そしてまた,たとえ危ない綱渡りのような贋札作りであっても,「少しでも長く生きながらえたい」という生存本能は,誰の心にもあるものだ。ましてや,長い収容所生活で,体も心もボロボロになって,良心も人間性もすっかり麻痺した状態であるとすれば,ナチスに逆らう気力など,残っていないだろうし・・・・。

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と同時に,苦しむ同胞を尻目に,敵に協力して自分だけが助かることへの後ろめたさや,どんな目にあわされても,息の根を止めることができない正義感を断固として持ち続ける者もまたいるわけで・・・・。

そんな反骨の精神を持ち,最後まで贋札作りを阻止しようとしたのが,印刷技師のブルガー(アウグスト・ディール)。仲間に,「お前のその正義感のせいで,みんな銃殺されるんだぞ!」と罵られながらも,最後の瞬間までその意志を曲げない。
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このブルガー役の俳優さん,どっかで観たことがあると気になっていたら,ダニエル・ブリュール主演の「青い棘のギュンター役のひとだった・・・・。どこか取り付かれたような,憔悴した雰囲気の俳優さんだ。

彼は主人公のサリーと,「贋札作りに協力するか否か」という点では,常に激しく対立する。サリーは,本来が贋作のプロという犯罪者であっただけに,正義感などでは動かない。仲間思いの,温かい心も持ち,いざという時には,十分に肝の据わった行動も取れるサリーだが,彼には「とにかく生き延びろ」という,実際的でしたたかな人生観がある。「蜂起して,心意気を見せよう」と言うブルガーに対し,「今日の銃殺より,明日のガス室がいい」と言い放つ。

サリー,ブルガー,その他のメンバーたち,そしてアメとムチを駆使して作戦の指揮を執るナチの将校たち・・・・それぞれの緊迫した思惑が交錯し,進んでいく物語から目が離せない。
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そして迎えた,唐突な作戦中止,操業停止の命令と,終戦,置き去り・・・・優遇されていたサリーたちと,収容所の一般の囚人たちとを隔てていた塀が崩された時,対峙した彼らの,互いを見つめる呆然とした表情が印象的だった。

骨と皮の同胞を前に,うなだれるサリーたちのメンバー。サリーたちの受けていた待遇のあとを,呆けた無表情で確かめる囚人たち。
どちらもナチスの被害者であることは変わりがない。

ベルンハルト作戦に加わったユダヤ人たち。彼ら一人ひとりが,どのような選択や感じ方をし,どのように苦しんだか・・・・またひとつ,ホロコーストの罪の大きさを世界に知らしめた作品だ。

2008年7月11日 (金)

ジェシー・ジェームズの暗殺

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アメリカ西部開拓期の,有名なアウトロー
ジェシー・ジェームズ
私は全く名前を聞いたことがないが,アメリカでは有名なヒーローらしい。どんな御仁だったのか,ちょいと調べてみた。

1847年にミズーリ州に生まれたジェシーは,南北戦争中にゲリラ部隊に加わり,その後は兄のフランクと一緒に一味を率いて,銀行強盗や列車強盗を働く。極悪非道な犯罪者でありながら,同時、貧しい農民たちが反感を抱いていた鉄道を襲撃したという理由で,彼らからは義賊のように見なされていた面もあるらしい。部下の青年に裏切られて暗殺されるという悲劇的な死を迎えている。

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ジェシーを演じたブラット・ピット

必要とあらば殺人や,仲間への容赦ない制裁をもためらわない冷酷さ。気さくであたたかいな雰囲気と,人を惹きつけるカリスマ・オーラ。そして,誰も信じられない,英雄ならではの孤独の深さと,内に秘めた狂気。

複雑な性格のジェシーを,
ブラピは,なんとも渋く演じていた。

そして,彼を背後からの射撃で,暗殺したことで,「卑怯者」という名を後世に残したボブ・フォード。
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演じたのはケイシー・アフレックという聞きなれない名前の俳優さん。調べてみると,なんと「オーシャンズ13」にも出てたのね。それもまた,ブラピと共演だ。あの作品の彼って,どんな役だったかも全く印象に残ってないのに,今作ではものすごい存在感と演技力。

・・・・いや,この作品,暗殺されたジェシーよりも,
暗殺した彼の方が主役なのかな?もしかして。


少年時代からジェシーに憧れ,彼にまつわるすべてをコレクションし,彼と自分との共通点を無理やり数えては,いつか自分も彼のようにデカいことをやりたいと思っていたボブ。しかし彼は昔から皆に軽んじられ,疎まれるキャラだった・・・・。

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ケイシーは目もとなんか,なかなか美しい俳優さんなのだが,この作品のボブは,それにも関わらず,なんだか「いや~な」「小心な」「野卑な」というマイナスイメージを全体の雰囲気や表情から漂わせている。この,根暗なオタクっぽい表情が絶妙で,彼が昔から誰にも信用されず,好かれもしなかったことが,すんなり納得できるのだ。

彼はどうして,あれほど崇拝していたジェシーを撃ったのか。
そしてまた,ジェシーはどうして,撃たれるとわかっていて
彼に背中を向けたのか。


この二人と,気弱なボブの兄チャーリー(サム・ロックウェル)を交えた,暗殺に至るまでの緊迫した心理戦が,とても見ごたえがあった。ジェシーとチャーリー兄弟との腹の探り合い,猜疑心のぶつかり合いは,痛々しいほどの緊迫感に満ちていた。
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いつか獅子になりたいと,分不相応な望みを抱いた愚かなネズミのようなボブ。憧憬はいつしかおそらく,屈折した怒りや憎しみに変わり,自らの裏切りをジェシーに見抜かれ,「殺らねば殺られる」というところまで,追い詰められていく。ジェシーを殺すことは,自分と兄の保身のためでもあったが,「世間から認められたい」という願望もまた強いものだった・・・。

一方,ジェシーの方は,仲間の裏切りや,自らの猜疑心に,もはや疲れ果てていたのかもしれない。あれだけの人物,成し遂げたことも,罪の重さも半端ではなく,その重荷に耐えきれずに,あえて凶弾に身をまかせたのか・・・?凍てついた湖で,「自殺したいと思ったことは?」とチャーリーに訪ねたジェシーの苦渋に満ちた表情は,何だったのだろう・・・・?
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ジェシーが死んでも,物語は終わらない。犯罪者であるのに,その遺体までがあがめられたジェシーに比べて,社会から容赦なく裁かれ,哀れな,というかまさに自業自得の末路をたどることになるボブ。彼が求めた世間からの称賛は,ほんの少しも得られなかった。

淡々と,格調高く綴られた,
世にも哀しい物語
だった。
・・・・ことに,主役がジェシーではなく,ボブだとすれば,なおさら。英雄を殺した者は,所詮,英雄にはなれないというのは,いつの世も変わらない。

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西部劇とは思えないような,静謐でデリケートで重厚なタッチ。本にたとえるなら,純文学のような品格と,堅実さも感じる作品だ。セピア色を基調とした美しい映像と,演技派の俳優陣の,繊細な演技が見事。

2008年7月 7日 (月)

七夕に想うBBM/ブロークバックマウンテン番外編5

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今年の七夕はよく晴れた。
めっちゃ暑かったけど・・・sun
今夜は,織姫さまも彦星さまも,年に一度の逢瀬を,堪能できることだろう。ところで七夕というと,BBMファンは,ジャックとイニスを連想しません?
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学校の七夕集会で,七夕の劇とか見たら,
織姫がジャックに,
彦星がイニスに思えてきて・・・・・

彦星も,イニスも牛飼いだし・・・・(馬も羊も飼うけど)ジャックが織姫ってのは,少々無理があるかな?でも,彼のキュートさは,イニスにとって,きっと どんな姫にも負けてない。

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二人で楽しく いちゃついてて,heart04 ついつい仕事をおろそかにし,父王・・・・じゃなくてアギーレに,楽園を追放されてから,まさに年に一度の逢瀬を,天の原ならぬ山の上で紡ぎ続けたふたり。

七夕の日には,願い事をするものだけど,ジャックとイニスも,満天の星の光を浴びながら,願い事を胸の中で つぶやいたことがあったのだろうか。二人の望みは,いつも肝心なところは,ズレてたけどね。

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ジャックの願いはただひとつ。
イニスといっしょに生きること・・・・・
う~~ん,健気。いじらしい。
イニスの願いは案外・・・
バレずに関係が続くといいなぁ~~
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だったりして。
う~~ん,なんて単純。
・・・・それにしても,やっぱ,ズレてる,この二人。

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年を重ねるにしたがい,次第に間遠くなる逢瀬。一途に思い続けた計画は,悲しい諦めへと変わっていったろうけど。

どうか来年もまた,こうして会えますように。
離れていても,互いの気持ちが変わりませんように。
この逢瀬を阻むような出来事が,起こりませんように。
そして,きっと,いつの日か,きっと・・・・


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流れ星に祈る,ジャックの心の声が聞こえてくるようだ。

エンジェル

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フランソワ・オゾン監督が贈る,
かわいらしくも愚かしい,一人の女性の物語。

あらすじ: 1900年代初頭のイギリスの下町で、母親とともにほそぼそと暮らすエンジェル(ロモーラ・ガライ)は、あふれんばかりの想像力と文才が認められ、16歳にして文壇デビューを果たす。幼いころからあこがれていた豪邸“パラダイス”を購入し、ぜいたくで華美な暮らしを始める。そんな中、彼女は画家のエスメ(ミヒャエル・ファスベンダー)と恋に落ちるが……。(シネマトゥデイ)

生まれ育った境遇に満足せず,名声と成功,上流社会の生活に憧れたエンジェル。少女の頃から,鼻もちならないくらい,傲慢で不躾で自信に溢れていた。母や叔母への暴言,出版社への不遜な態度,成金趣味・・・・彼女のいやな点をあげればキリがない。作家としての才能は確かなものだったのか,それともこの時代の大衆が求めるものを,たまたま彼女が書くことができたのか・・・・?

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母親や夫の死に際し,悲しみに暮れるエンジェル。その気持に偽りはないのだろうけれど,葬儀の際には,彼らの死の場面や生きざまを,ドラマチックに脚色して語り,注目を集めることも忘れない。そんなエンジェルをみていると,「自己顕示欲の塊だな~」と思ってしまう。

夫のエスメのことは,激しい情熱を傾けて愛していたが,出征するときの取り乱しようと「戦争が私たちを引き裂いたのだから,銃後の支えはまっぴらよ」という勝手な発想には,「自分のために愛してるんじゃ?」と思った。
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・・・・・そう,オゾン監督の描くこのエンジェルというヒロイン,かなり「イヤなオンナ」が入ってる。それと同時に,一途で可愛いオーラも十分備えていて,どこか憎めないところもあるのだけど。

そして,庶民出身の女性のサクセスストーリーかと思いきや,終盤になって「えっ?もしかしてサクセスではなくて,その逆?」という思いがグルグル・・・

夫の愛人に対決しに行き,彼女が誰かを知って打ちのめされるエンジェル。どんなに輝かしい成功をおさめて富を手にしても,氏素性から来る天性の品格には太刀打ちできないもんだなぁ・・・。
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 ・・・・勝負は一目瞭然

死を迎える彼女の傍らには,献身的に彼女に尽くしたノラしかおらず・・・・「あなただけが私を愛してくれた」とつぶやくエンジェルが痛々しい。彼女の夢見た人生,手に入れた成功って,すべて虚構にすぎないのか?その作品が世から忘れ去られるのも早く,死後には何も残らない・・・。

オゾン監督の紡ぐ豪華絢爛で,
夢のように美しい映像美。

美しいヒロインとうっとりするほどの衣裳の数々。しかし,根底には,モーパッサンの短編集から感じるような,ちょっぴり意地悪で,シニカルな視線もあるような・・・・。
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女性をこういうふうに描くオゾン監督・・・・
以前に書いた,BBMの番外編の記事「ゲイネスって・・・」というのを思い出した。

2008年7月 6日 (日)

バットマン・ビギンズ

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ヒース・レジャーの遺作となったダークナイト。8月9日の公開を控えて,実はバットマン・シリーズを未見の私は,そもそも「バットマンとは何ぞや??」という問題を解決すべく,バットマン・ビギンズをレンタルしてみた。

あらすじ: 両親を殺害されたブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)は、世の中に幻滅し、不当な闘いを終わらせ、弱者を餌食にする悪党を倒すことを心に誓う。(シネマトゥデイ)
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なんてシンプルなストーリー。(これ以上は言いようがない?)わかりやすいこと,この上ないのは,アメコミらしいと言うべきか。

しかし,冒頭から驚いたのは,その豪華キャストの行列だ。リーアム・ニーソン,マイケル・ケイン,ライナス・ローチ,ゲイリー・オールドマン,モーガン・フリーマン,キリアン・マーフィー,そしてなんと渡辺謙さんまで!男性陣の豪華なこと。一人残らず私の好きな俳優さん・・・・というのが何とも嬉しいではないか。

それにひきかえ,紅一点ののケイティ・ホームズ(このひと誰よ?)が地味なヒロインだったのは,ちと不満だけど・・・

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キリちゃん(キリアン)の
悪役って初めて観たけど~~

あのトレードマークの水色の瞳が冷酷そうで,厭味で,なかなか似合うでないの。幻覚を起こさせる毒薬をあやつる精神科医の役なので,一部の隙もないスーツ姿が,悪役とはいえ,素敵~。

私は,バットマンって,糸を出すスパイダーマンみたく,超能力の備わったヒーローかと思ってたら,基本はフツーの人間で,鍛錬や,お金をかけた最新兵器やグッズなどで,いろんな力を身につけた,いわゆる「努力のひと」なんだね。

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この「ビギンズ」は,両親を殺害された故に,悪を憎むようになったブルースが,ゴッサム・シティにはびこる悪を成敗する目的で,バットマンというヒーローキャラを作り上げてゆくまでのお話。ダークで重厚な映像と,息をのむスケールのアクション,ブルースがバットマンになってゆくまでの過程とか,いろんな見ごたえがあった。

ベイルは鍛え抜かれた立派な体格だから,バットマンスーツがとてもキマルし,彼の,あの戦車のような乗り物(名前なんてゆうの?アレ)も超クール。で,彼によって一時的にも平和を取り戻したゴッサム・シティに新たなる悪の権化ジョーカーが現れる・・・というところでジ・エンド。
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・・・・・ということで,走る走るだけど,めでたく予習終了。
さ~,あとは
8月9日を待つばかり。

公開のその日にはきっと見れないとは思うけど。でも,「ダークナイト」のヒース,一度もメイク落とした素顔は見せてくれないのかな?一瞬でいいから,素顔が見たいんですけど。

2008年7月 4日 (金)

僕のピアノコンチェルト

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ラスベガスをぶっつぶせだの,奇跡のシンフォニーだの,最近多い天才もの。これもその一つだから,天才くんの感動のサクセスストーリーかと思いきや,ヒューマンドラマというよりは,なかなか痛快で面白い洒落たお話だった。

主人公のヴィトスは,ピアノだけでなくIQも測定不能なほどの天才児。幼児なのに難しい本を読みチェスで大人をまかし,幼稚園の先生をやりこめ,ベビーシッターの少女に,ませた恋心を抱く。

当然同年代のこどもたちからは浮きまくり。無理もない。両親,特に母親は彼に英才教育の機会を与え,将来の輝かしい成功を夢みている。

おじいちゃんだけが,ヴィトスのよき理解者だった。「普通の人間になりたい」とつぶやく彼に,おじいちゃんは「大事なものを一度手放してみてごらん・・・」とアドバイスするが・・・・。
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天才の気持ちって理解できんな~~」と天才映画を見るたびに思ってたけど。彼らにしかわからない苦労ってのも,あるのね・・・・と思った物語。幼い時に才能がわかる場合が多いから,本人がその価値とか,進む方向とかを判断できないままに周囲にコントロールされる危険性はあるんだよね・・・。

で,おじいちゃんのアドバイスをヒントに,
ヴィトスが取った手段とは・・・・

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基本はネタバレの私でも,この作品はネタばらししませんので,どうかご自分の目で確かめてくださいな。この作品,後半が俄然,面白くなりますよ~~。え?そっちの方向いっちゃうの~~?真面目な天才ものじゃなくて・・・?と,一瞬面食らうけど,先の読めない展開に,ちょっとはらはらするし,冒頭は,お高くとまってるようにも見えたヴィトス少年にもとっても親しみを感じるようになるから・・・。

で,結局,才能は自分の意志で使いこなしてこそナンボのもんだと,私はそのようなメッセージも受け取ったのだけど・・・・。
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それにしても,ヴィトス少年の演奏は素晴らしかったな~。演じたテオ・ゲオルギュー自身が天才ピアニストってのも,すごい。なかなか演技もうまかったし。

「人生はソロでなくコンチェルトのようなもの・・・」と銘打った感動作?それも間違いではないだろうけど,私にとっては,感動作というよりは痛快作の部類に入る。

2008年7月 2日 (水)

久々の放心状態/ブロークバックマウンテン番外編4

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最近,古いBBMの記事にコメントをいただく機会があって,なんだか無性に再見したくなって,半年ぶりにDVDを引っ張り出した。

思えば,自由になる夜の時間が,ブログ三昧になる以前は(約1年前までは)1週間に1度は観ていたBBMのDVD。もちろん,そのころはさすがに,さわりの部分だけだったけど。

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この春に買った最新のPCで観てみたら,まあなんと。映像がくっきり美しく,音質もよいので,ジャックやイニスの細かい表情や声音が,以前観ていたときよりずっとずっとクリアに読み取れた。

彼らのまつ毛の震えや,吐息の数々。
背景に流れる風の音や鳥の声。水のせせらぎ。

そしてあの,注目のテントシーンも,ずっと明るくて,
なにしてるか,よ~~くわかった。
(別にそこまで見えんでもよいが)

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思えばこの作品に出会ったときから,はや数年の月日がたつ。そして,これからも歳月は,容赦なく過ぎてゆくだろう。

ジャックを演じたジェイクは,
きっと,このころよりずっと大人になったろう。
そしてイニスを演じたヒースは,
もうこの世にはいない・・・。

しかし,スクリーンの中に寄り添う二人は,あの時と少しも変わらない姿で,当時とまったく同じ感動を,私に与えてくれた。ああ,やっぱり,今でもあの山に彼らがいるような・・・・そんな錯覚さえ起こるのだ。
あの山に登りさえすれば,いつでも逢える。
決して色あせない…風化することもない・・・・
彼らの愛に。

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ブログを書くようになってから,好みに関わらず,話題作は観るようになったから,この数年の間に観た映画は数知れない。だけど,BBMを再見してみると,あらためて思う。
もしかしたら,私はこの作品さえあれば,「他の映画が全くなくても生きてゆける」かもしれないと。

こんなに,映画の世界にのめりこむようになったきっかけも,「BBMのような感動を与えてくれる作品にまた巡り合いたい」からなのかも。残念ながら,私にとって,そこまでの作品には,まだ出会えていないけど。

再見したからには,再び彼らの世界に引き込まれてしまって,心は現在,あの山の上をさまよう。きっとしばらく下山できない。
明日は・・・仕事が手につくだろうか。
(でも,しなきゃ,仕事・・・sweat01

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