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2008年5月の記事

2008年5月27日 (火)

モーテル

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殺人現場を盗撮して楽しむ,サイコな殺人鬼の経営するモーテルに泊まってしまった夫婦の,死に物狂いの脱出劇

近年,やたらグロさや痛さを売りにしたホラーやサスペンスが氾濫する中で,これは珍しく,凝ったトリックや特殊メイクや,異常なシチュエイションなどに頼らずに,地味でレトロながらも,シンプルかつ直球勝負のサスペンスだった。・・・・こういうの,かなり,好きかも。

Cap021
デヴィッド(ルーク・ウィルソン)とエミリー(ケイト・ベッキンセール)は,離婚を決意した夫婦。どうやら愛息子の死が,彼らの不和の原因らしいが,妻の実家から帰るとちゅう,車の調子が悪くなり,ふたりはさびれたモーテルに泊まるはめになる。

薄気味の悪い雰囲気に,躊躇する妻と,彼女の忠告にわざと逆らっているとしか見えない,意固地な態度の夫。なるほど,冒頭からこの夫婦の間には険悪なムードが漂いまくっている。(夫が妻の直感を信じてこんなホテルに泊まらなければ,そのあとの災難は起こらなかったと思うけど・・・・。)

で,通されたお粗末な部屋にいくつも置いてあったビデオテープを,無聊を紛らすために再生してみた夫は,その中に収録されていた,生々しい殺人シーンを見ているうちに,それが自分たちが今いる部屋の出来事であることに気づく・・・・。

この殺人ビデオが,何とも素人くさくて,それゆえに,余計リアルで恐ろしい代物となっている。映し出される人たちは美形でもなんでもないごく普通の外見のひとたちで,彼らが覆面した3人組になぶり殺しにされるシーンは,実際にあったことの映像のような錯覚を起こさせるのだ。
Cap010

モーテルの真の目的がわかって戦慄を覚えるデヴィッドとエミリー。この,盗撮に気づいたあたりが,一番怖かったかも。それからは,いよいよ命がけの鬼ごっことかくれんぼが開始する。

部屋の中だけでなく,モーテルの建物全部を使って(地下道や天井裏まで)犯人たちから逃げ惑う二人。このあたりの展開は,シンプルではあるけれど,手を替え品を替え,息つく暇もないスピーディな展開で,はらはらドキドキした。

絶望的な状況でも,決してあきらめない夫がいきなり頼もしい奴に見えてきたから不思議だ。(もっともこのモーテルに泊まる原因を作ったのは彼なんだから,そのくらい頑張らないと,ヨメに申し訳ないというものだけどね)
Cap001
犯人たちは3人。その中でも親玉は,フロントにいたこいつ一見ごく普通の,しょぼいおじさんのような外見なのに,うちに狂気をタップリ秘めているのが怖い。被害者たちに盗撮にわざと気づかせて,恐怖のどん底に陥れるのが楽しくてたまらない,といった異常者だ。被害者が怖がるのを見て興奮するのかもしれない。

彼ら犯人のくわしい人間像や背景,犯罪の動機などは一切説明なしだが,この作品は純粋に「異常な殺人からの脱出」だけに絞って描かれていたので,そんなものがなくても十分面白かった。
Cap011
やっと呼ぶことができた警官も,あっさり犯人たちに殺されてしまうし,(この手の作品では警察が頼りにならない,というのはお約束だけど)ついに夫がやられたときには,ハネケ監督の超後味の悪い作品「ファニーゲーム」を思い出したりもしたのだが・・・・。

夫が殺された(と,見えた)後の,
ヨメがいきなり強い,強い!

それまでパワーを隠してたんちゃうんか?と思うくらい。(ケイト・ベッキンセール,何たって,もとヴァンパイアだもん・・・・

このひとは,女性らしい繊細な美しさもあるのに,やはりアクション女優の貫録もある。犯人たちから逃げるために,庭を全力疾走するシーンは,いっしょにいた夫よりも足が速かったような・・・。
Cap014
ま,最後は,息も絶え絶えのハッピーエンド,という感じだが,自分も全力疾走したあとのような,「疲労感」と「達成感」がじわじわと・・・・。爽快感はないけれどね。

それにしても,ダンナの生命力,強すぎるように思いません?あれは,ふつうは死んでるよ・・・ぜったい。だって一晩たってるんだよ?ヨメが抱き起した時に,まさか息を吹き返すとは~~ う,嘘やぁ~~。でも,あそこで死なれても,中途半端に後味が悪かっただろうし・・・・。

B級なんだけど,主演の二人の演技のうまさが,この作品の格を上げていたような・・・・。特にケイト・ベッキンセールはよかった。

2008年5月25日 (日)

それでも生きる子供たちへ

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ルワンダ,アメリカ,中国,イタリア,ブラジル,セルビア,イギリス。7か国の子どもたちがそれぞれに直面している,厳しい現実。戦争,貧困,エイズ,犯罪,両親の不和・・・・。

これは,そんな苛酷な境遇の中でも,精一杯生き抜こうとしている子供たちの物語を,それぞれの国を代表する監督たちが綴った,愛にあふれたオムニバス映画だ。

 タンザ   
監督 メディ・カレフ/ルワンダ 
Cap111
内戦のただ中のルワンダ。ゲリラ戦の少年兵士のタンザは12歳。彼は敵の村の建物に,時限爆弾を仕掛ける任務を負う。しのびこんだ建物は,小学校。薄闇に浮かび上がる教室の風景を見たタンザの目に,強い逡巡が浮かぶ。彼が失ってしまったもの,そして切望してやまないものがそこには息づいていたから・・・・。
誰もいない教室で,黒板に残された算数の問題を解き,席に静かに座るタンザ。いつしか彼の頬には涙が伝い,それと同時に,爆弾の規則正しく時刻を刻む音は消えていた・・・・。彼のラストの目を閉じた表情の穏やかさに,胸が締めつけられる。

 ブルー・ジプシー 
監督 エミール・クストリッツァ/セルビア
Cap113
窃盗団の家族を持つ15歳のマルヤン
彼は少年院で過ごすうちに,習い覚えた理髪の腕を生かして理容師になりたいという夢を持つ。しかし出所と同時に彼の家族が迎えに現れ,その日のうちにマルヤンは父親から車上泥棒を言いつけられる。追手に追われて窮きわまった彼は,再び現実から逃れるために,少年院の中へ逃げ込むのだった・・・・。ユーモラスなドタバタ劇のような見せ方も取り入れながら,東欧の国の貧困と,犯罪者を親に持つ子供の実情を鋭く描いた辛口の作品。

  ビルーとジョアン 
監督 カティア・ルンド/ブラジル
Cap125
ブラジルの大都会の底辺に生きる幼い兄妹,ビルーとジョアンの一日。二人はリヤカーを引いて,空き缶や廃材を拾い,換金して小銭をかせぐ。ジェットコースターさながらにリヤカーを飛ばしてみたり,ゲーム感覚で空き缶を荷台に放り込んだり,彼らの「仕事」はさながら楽しい遊びのようだ。遭遇するちょっとしたトラブルも,二人は持ち前の明るさと機転でくぐりぬけていく。
長い一日が終わって二人が帰りつくのは,壊れたきたない積み木を重ねたような貧民窟。背景の高層ビルの林とのあまりの違いに,しばし呆然としてしまった。

 アメリカのイエスの子ら 
監督 スパイク・リー /アメリカ
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ブランカの両親はHIV感染者。両親は,ブランカもまたHIVに感染していることを,彼女には隠していた。しかし,学校で「エイズ・ベイビー」と呼ばれていじめられたブランカは,真実を知って衝撃を受ける・・・・。
日本の人権教育の中にも「HIV患者に対する差別」の項目はあるのだが,わが国ではどうしても現実感が希薄なこの問題が,アメリカではとても重要な問題なんだなと,あらためて思う。絶望の中から,それでも両親の愛を支えに,一歩前に踏み出そうと決意した健気なブランカの姿からは,かすかな希望の光が見える。

 ジョナサン 
監督 ジョーダン&リドリー・スコット/イギリス
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言いたかったことは,たぶん,「戦火の中でも,柔軟な対応性と,希望を失わずに生きることができる子供たちならではの,強さや素晴らしさ」なのだろうか。
しかし,7作の中では唯一「取ってつけたような」印象を受けた作品。リドリー・スコットと,娘のジョーダン・スコットの作品だけど,彼ら自身が,戦争や貧困や犯罪が日常に溢れているような苛酷な環境で育ったとは思えないから,他の監督作品に比べると説得力が弱いのだろうか。(リドリーさんは戦争映画を撮るのは得意だが)
主演のジョナサンくんは天使のように可愛かったし,映像の美しさと格調の高さはさすがだったけれど。

 チロ  
監督 ステファノ・ヴェネルッソ/イタリア
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大窃盗団のボスの庇護のもと,ヴァチカン広場などで,金持ちの腕からロレックスをむしり取って逃げる,などの窃盗を繰り返す少年チロとその仲間。少年でありながら,その抜け目のない目配りや,脅しの効いた台詞などは,いっぱしのヤクザとそう変わらない。
しかし,彼が自宅のバラックの前で,母親の自暴自棄な台詞を耳にし,影絵遊びの中で自分を撃ち殺す真似をするシーンからは,彼の心の中のやり場のない悲しみを感じた。
そして,ラストの遊園地のシーン。彼らにも,本来の子供らしい純真な心が宿っているんだと感じて,何ともいえない気持ちになった。

桑桑(ソンソン)と子猫(シャオマオ) 
監督 ジョン・ウー / 中国
Cap143
裕福だけどいがみあっている両親をもった桑桑(ソンソン)は,母に叱られてお気に入りのフランス人形を道端に捨てる。拾ったのは,足の不自由な子猫(シャオマオ)を育てていた廃品回収のお爺さんだった。ある日ソンソンは,街で花売りをしていたシャオマオの腕に,自分が捨てた人形が大切に抱かれているのを目にする・・・・。
子供の無垢な心は,どんなささやかな喜びをも,驚くほど敏感にキャッチして,大きな輝きに変えることがある。それは時には絶望から人々を救う力をも持つ。そんな心温まる物語だった。可憐なソンソンもよかったが,シャオマオのあどけない天使のような笑顔が何とも素晴らしい。(「おしん」を少し思い出したけど)
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子供の頃,目の前にひろがる世界は,
今よりもっともっと狭かった。

世界は,限られた情報と,なじみのある人たちと,情景だけでできていて,その向こうに何があるのか,知るすべをもたなかった。だからこそ,知らない世界に思いを馳せ,現実離れした夢を見ることもできたし,知らないがゆえに,大人から見たら小さな悩みでも,世界が終ってしまったかのように,大きく感じられたりもした。

あの頃の子供の感性を,とうに忘れてしまった今になっても,毎日,彼らのような年代の子供たちと,親しく接する仕事をしていると,彼ら特有の,みずみずしい感性や,たくましい柔軟性に驚くことがある。
無経験のものだけが持つ,恐れを知らぬ強靭さ。
絶望の中でもなお,あきらめずに見ることができる夢。

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この作品を観ると,世界のあちこちで,彼らがどんなに過酷な状況に置かれているのかが今更のようにわかる。なんという,貧富の差!満足に学校にも行けない子供たちがこんなにいるとは!

それでも,子供たちは,自分に与えられる環境を選べない。生まれおちたその国で,そこがどんな状況であろうとも,子供だけが持っているあらゆる能力を駆使して,懸命に生きていくしかない。そして,そんな彼らの生きざまから,私たち大人が力を貰えることもあるのだ。

世界がよくなるように,少しでも何かできればよいと,素直に思える作品だった。

2008年5月24日 (土)

猫のお留守番

Fan2_016_2おかげさまで,
1週間の療養を経て,
なんとか職場復帰できるまで,
回復しました。

その間,皆様から,たくさんのあたたかいお見舞いコメントをいただき,ありがとうございました。とっても嬉しかったです。

これからは自分の体力を過信せず,健康管理も念頭においてやっていきたいと思います。え~,気をつけることは結局,睡眠と,食事と,節酒 なんですが・・・

いやしかし,人間ひどいめにあわないと,なかなか生活悪習慣は断ち切れないものですな。で,復帰記事第一号に映画感想は,さすがにしんどいので気軽に書ける猫ネタでございます。
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気軽って何よ,あーた,失礼な

で,私はここ数日,自宅に昼日中からいることを余儀なくされたおかげで,われわれが出かけている間の猫の生態を,観察できる機会に恵まれた。・・・・で,いまさらながら,そのよく寝ることに呆れたわけだけども・・・・。

猫って,家じゅうでいちばん自分にとって快適な温度の場所で寝てる・・・。寒い時はもちろん陽のあたる窓辺だし,暑い時は私のピアノの上で長くなってる。

・・・・気楽なものだ。これでは犬と違い,満足な留守番は頼めまい。いや,もちろん,猫に留守番を期待する方が間違ってるのだが。

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今日の昼寝場所はココよん

我が家はかつて,2度も同じ空き巣に入られたという過去を持つ。おまけに,家族全員が被害にまったく気がつかなかったというおまぬけぶり。そののち,別の家に入って警察に捕まった当の空き巣の自供によって,実はうちも,2回も被害にあっていた,ということが判明したのだ~

その空き巣くんは(ハタチそこそこの若者だったそうな)物色した痕跡を,まったく残さないタイプだったので,とられた500円玉貯金のビン(10万くらい貯まってた)を,母なんか「あんたがなくしたでしょ!」と父を責めていたくらいだもん・・・。

しかし,このとき,家人の間で話題になったのが留守番の猫は,空き巣が入ったとき,どうしていたのか・・・?」ということ。

かくれてこっそり様子を窺っていたのか・・・・?
それとも,好奇心旺盛につきまとったのか・・・?
ま,まさか,あいそをふりまいたり
してなかったろうな?


ばぁ~~

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こ~んなふうに

「あんた,空き巣のこと,ちゃんと報告しなきゃダメじゃん」と,みんなから無理な小言を言われても,どこ吹く風の猫であった・・・。

ま,田舎だからと,それまで裏口の戸締りをしなかったのが一番悪いんだけど。それ以来,我が家はちゃんと,裏口も鍵をかけて外出するようになった。

2008年5月20日 (火)

しばらく更新をお休みします

Fmo3_012 しばらくったって、
十日ぐらい(だといいですが・・・)

実は、やはりまた
体調不良がぶりかえしてしまいました。
四月からの無理がいっぺんに出て,歯髄炎、偏頭痛、一時的な高血圧による吐き気や難聴など。(T_T) さすがに仕事もドクターストップがかかって、今週はずっと療養します。今は毎日、日替わりで何かの痛み(歯とか頭とかクビとか)と闘っております。

しかし血圧上がるとこんなにしんどいとは、初めて知りました。(死ぬかと思った。( ̄□ ̄;)!!)ま、そんなわけで、更新その他もろもろ、ちょっとストップさせていただきます。また全快したらおつきあいをよろしくお願いしますね。
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2008年5月16日 (金)

クローズZERO

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累計発行部数が3200万部を超える、高橋ヒロシ作の大人気コミック「クローズ」の実写映画化らしいけど、私は原作にはあまり関心はなく,「とてもいい!」という世間の評判を聞いてDVDで鑑賞。ひとことで言えば,最悪の不良学生が集まる鈴蘭男子高校の覇権争いのお話。監督は『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』の鬼才・三池崇史。かっこいい若手俳優が多数出演しているのだが、私は小栗旬くんしかなじみがない。山田孝之くんなんか,初めて見た。

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わたしは暴力ものは平気だけど,もちろん大好き,というわけでもなく,全編ほぼ喧嘩映画,というのは,冒頭から違和感を覚えなくもなかったが・・・(食べ慣れない料理を食べてる感じだ)

しかし,すぐに,この世界にはまりこんで観てしまった。それは,この監督さんの描く,とてつもなくカッコよく美しく完成されている,映像というか画と,やはり主人公の源治をはじめとする不良たちの魅力に惹きつけられたのかもしれない。

ストーリーは,あってないようなもの。
「鈴蘭のテッペン(頂)を取る!」という
覇権争いもうそれのみ
対戦するのは 源治軍団VS芹沢軍団。
Cap076
合間に,「おちこぼれのチンピラ片桐と源治の友情」や,「黒木メイサ扮するルカと源治との間の恋心」や,「源治と芹沢の共通の友人,時生の手術」などのストーリーも絡んでくるけど,片桐との友情はともかく,他の二つのエピソードは,別になくても全く支障はない。(この物語には,むしろ女は必要ないとさえ思う。センチメンタルな恋愛なぞ,場違いで邪魔に感じる。)

また,名前と顔とが結びつかない不良キャラもごちゃごちゃ出てきて,(みんな顔似てるし~),原作を知らない身としては,誰が誰やら,その相関関係も把握できないのだが,それでも最小限,源治と芹沢とそれぞれの主要メンバーの顔だけ見分けがつけば,ストーリーには何とかついていけた。

それにしても,こんな男子校に「鈴蘭」という可憐な名前がついていることに,まず笑えたんだけど。
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学園内の,どの場面でも,不良学生たちは,喧嘩をしているか,睨みあっているかで,授業風景なぞ皆無だ。(教師もほとんど登場せんし・・・)いや,実際は授業もしてるんだろうけど,あの高校の教師にだけはなりたくないなぁ・・・。怖すぎ。

そして最近の不良ルックって,学ランをあんなふうに着こなすんだなぁ。ズボンは落としかけに穿いて(腰パン?)上着も短め?その下に何を着るかもセンスが問われるところか。しかし,小栗くんの不良学ランスタイルの決まっていたこと!
何着ても似合うんだな~
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小栗旬も山田孝之も,どちらかというと,童顔なのではないだろうか。それなのに,この映画の中で,目を怒らせ,肩をゆすって闊歩する彼らの,ぞくぞくするほどの,ガラの悪さときたらどうだ。特に山田孝之は,いざ戦いが始まると,ほとんど目がイッちゃってる感じだ。・・・・やばい。

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この世界観は,現実に自分が住んでる世界とは,あまりにもかけ離れすぎていて,もちろん共感できはしないのだけど,勢力争いを繰り広げる彼らが,体を張って渡り合い,とことんやりあったあとは,負けた方は潔く勝者に従う,という生き方には爽快感を感じる。
豪雨の中の乱闘シーン。水しぶきで煙る校庭での,あの壮絶な泥まみれ,血まみれの闘いは,何度でも見たくなる。

ひとことで言えば,熱い映画。
理屈抜きに,体も心も熱くなる映画だった。
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たまには,こんな作品を鑑賞するのもいいと思った。(気分が若返る。)それにしても,このあいだ観たキサラギを思い出すと,小栗くんは,ルックスがいいだけでなく,つくづく器用な役者さんだと感心した。

2008年5月14日 (水)

愛しのシャーロック・ホームズ

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アルセーヌ・ルパン,シャーロック・ホームズ,明智小五郎・・・・。彼等のシリーズ,小学校の図書館に,少年少女向けの全集があったっけ・・・。

皆さんはこの三人のうち,
どなたが一番お好きですか?

え?三人とも,どうでもいいって?
まあまあ,そうおっしゃらずに・・・

わたしは、やっぱりホームズが好き
何といっても 19世紀の植民地時代のイギリスが好きだし。.彼のやや変人じみた魅力的で個性的なキャラクターや,科学捜査の草分け的な活躍ぶりも面白い。
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そして,ホームズを演じた役者といえば,この人,ジェレミー・ブレット。ホームズを演じた役者さんは数多けれど,この方の演じたホームズは,その外観から雰囲気から立ち居振る舞いから,原作のホームズ像にいちばん近い,と言われている。・・・確かに。

このたび,わが町のレンタルショップに,新しく,グラナダTVの「シャーロック・ホームズ」シリーズの完全版を置いてくれたので,グレイズ・アナトミーと交互にレンタルしている毎日。ドイルの原作は,すべて読んでいたけど,ドラマを観るまえに再度読み返して,記憶を確認したりしながら,楽しんでいる。

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ジェレミー演じるホームズの,ほれぼれするような姿勢のよさや,突飛ともいえる,芝居がかったリアクションや繊細な表情に「次はどんな反応をするのかな?」と目が離せず,19世紀のロンドンのあの有名なベーカー街の,洗練された陰鬱なムードを楽しんだり,その魅力は尽きない。

石畳に響く馬車の音。
室内を照らすランプや暖炉のあたたかな光。
そして,ホームズやワトソン博士の
いわゆるダンディな「英国紳士」の服装。
バイオリンで奏でられる哀愁を帯びたテーマ音楽。
・・・・いいなぁ,古き,よき英国。
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アガサ・クリスティの「エルキュール・ポワロ」完全版も置いてくれたので,そちらの原作も大好きな私としては,当分,英国探偵ドラマにもハマりそう・・・。

ああ忙しい・・・

2008年5月12日 (月)

アイマックさんバトン(本編)

            Fzak_013いつもお世話になっている
小部屋日記の
アイマックさん
から,
本のバトンをいただきました。

アイマックさん,いつもありがとう!

実は映画を観るのに負けないくらい,本好きの私です。
バトンの項目は・・・


→ 最近思う【本】
→ こんな【本】に感動!!!
→ 直観的な【本】
→ 好きな【本】
→ この世に【本】がなかったら

では,早速いってみましょう。


 最近思う【本

私の読書傾向ですが,映画のブログをやるようになってから,アレですね。映画の原作を好んで読むようになりました。映画鑑賞の後で原作を読むと,補足説明になったり,映画で脚色された部分がわかったり・・・・と楽しめます。映画も素晴らしいけど,原作も素晴らしかった・・・という作品も多いです。その代表は。
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シービスケット あるアメリカ競走馬の伝説
(ローラ・ヒレンブランド)ソニー・マガジンズ
ドキュメンタリーなんですが,そして長編ですが,映画に負けないスリルと感動,そして当時の騎手の苦労話とかに満ちています。主人公のシービスケットをめぐるエピソードも盛りだくさん。すごくシービスケットが愛おしくなりますよ。


こんな【本】に感動!!!

これは,たくさんあるけど,
昔からの一番の涙腺刺激小説は・・・
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レ・ミゼラブル (ユゴー) 
河出版世界文学全集

省略してないもののほうが,当時のフランスの世相が詳しくのっていて面白かったですね。ジャン・バルジャンが息を引き取るシーンは,いつも号泣してました(多感だった昔のことです・・・)


直観的な【本】

直観的というのが,またまたよくわからないけど,すりきれるほど読み込んだシリーズ,という解釈をさせていただくと・・・
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「赤毛のアン」全集 
(モンゴメリー著・村岡花子訳 講談社)
これは中学時代から,成人するまで何度も繰り返し楽しみましたね。講談社のこのシリーズが発行されてすぐのときで,一月に一冊ずつ,お小遣いで買って揃えた懐かしい全集です。

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このお方・・・・芥川龍之介の全集も読破しました。
彼の描く,やや狂気をはらんだ美しい世界が好きで(その文体も)全集をそろえたのは,卒論のテーマに彼を取り上げてしまったせいですが・・・。

好きな【本】

いちばん好きなジャンルは,なんといってもサスペンスだと思います。そして,犯罪のトリックや特異性をウリにしているものより,切ない「動機」がテーマであるものが好きですね~。人間って,悲しいものなのね~なんて,読後に絶望感や虚脱感に襲われるときが多いですけど。

日本のもので好きな作家の代表は
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「火車」などで有名な,宮部みゆきさん。
あと,「砂の器」「ゼロの焦点」松本清張さんとか・・・・。

海外ものでは,ウィリアム・アイリッシュ
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彼の文体は,独特の哀愁が漂って,なんともいえない味わいがあります。代表作は「幻の女」ですが,「裏窓」とか「ポワゾン」(アンジーとバンデラスの)とか映画化された作品もたくさんあります。あと,悪女とバッドエンドを描かせたら右にでるもののない,カトリーヌ・アルレー(代表作「わらの女」も好きです。


この世に【本】がなかったら

うーん,映画がなくなるより,辛いと思う。この世に本がなくなることは,まずありえないと思うので「本が読めなくなる環境におかれたら・・・?」と考えると,もうこれは退屈でしょうがないでしょうね。入院中に一度読書禁止の憂き目にあったことがありましたが,地獄のような一日でした。

小学生のときは,田舎道だったので,図書館で借りた本を読みながら歩いていましたね。(ばれてよく先生に怒られてました。)今では考えられない のどかさです。あと,夜中に布団かぶって本を読んだり・・・。

次にバトンを回す人は,まだ決めてません。
またそのうち個別にお願いにあがるかも。

2008年5月 4日 (日)

大いなる陰謀

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2001年の9・11事件からいつのまにか7年の歳月がたった。われわれ日本人にとっては,いまひとつ実感のわきにくい面もあるかもしれない「アメリカの対テロ戦争」。

お恥ずかしいことに,自国の政治にも疎い私は,この件に関して詳しい知識はあまりない。この「大いなる陰謀」という作品,私にそっちの方面の知識が豊富だったら,もっともっと深い見方が出来たのだろう,と思うと少し残念である。(私の無知がね。)
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しかしそれでも,劇中に登場する用語にも時折「?」と首をかしげながらも,この作品の訴えたいことは,なんとなく伝わってきたように思う。

テーマは「対テロ戦争に疲弊したアメリカの現状」・・・らしい。最初はおそらく「聖戦」のように,奮い立って始めただろうこの戦いに対して,アメリカ国民は,7年の間に,次第に無関心や不信感をつのらせてきているのだろうか?

この物語では,政治家,ジャーナリスト,大学教授,志願兵・・・と立場の違う登場人物が,この問題に対する,それぞれの異なった見解や思惑について,ワシントンDC、カリフォルニア,アフガニスタンと舞台を変えながら,スリリングな対話劇を繰り広げてゆく。
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大統領の椅子に対して野心まんまんの,アーヴィング上院議員を演じるトム・クルーズ。彼は,対テロ戦争の新作戦を,アフガニスタンで極秘に開始するにあたり,マスコミをうまく利用しようと,ベテラン・ジャーナリストのジャニーン・ロスに独占インタビューを申し出る。

ジャニーンを演じるメリル・ストリープ。彼女は上院議員の「作戦は必要不可欠で,絶対に失敗しない」という自信に満ちた言葉を聞かされるが,大儀の裏に,彼個人の野望の匂いをそこはかとなく嗅ぎ取る。しかし,ジャーナリストとしての正義を貫きたくても,話を持ち帰った社の上司の見解とは,激しく対立し・・・・。
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一方,その頃,カリフォルニア大学の歴史学教授マレーロバート・レッドフォード)は,成績優秀であるが怠惰な生徒トッドを呼び出し,兵士を志願したふたりの教え子の話を始めていた。・・・・そしてその教え子の二人は,アフガニスタンで,今まさにアーヴィング議員の作戦遂行のため,最前線に送られていた。

平和ボケした日本では,いまいちピンとこないのだけど,ある国が,ひとつの戦いを仕掛けるときに,関係者のすべてが,同じ動機,同じ志,同じ目的を抱くことはもちろん不可能だと思う。みんな自分の利害関係とか,思想とかを考えるから。
しかし,よくわからないけど,この物語に描かれた「作戦」とやらは,それにしてもひどいのではないか,と感じた。そのバラバラぶりが。動機の不純っぽさが。
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最前線で今まさに犬死の危機にさらされている二人の若者の,純粋な愛国心に比べて,作戦の首謀者であるアーヴィング議員の本当の目的の胡散臭さが,なんとも許せない気持ちになってくる。(トム・クルーズ,悪役やんけ,イメチェンかな)
なんとなく感づいてはいても,最後はやはり諦めムードを漂わせるジャニーンや,裕福で,苦労を知らないリッチな階級の学生の無関心さも,この国の抱える問題の奥の深さを浮き彫りにして見せている。

原題はLions for Lambs」―羊たちに率いられたライオンたち―というこの作品。羊たちとは,志願することで愛国心を示したかった二人の学生たちを指しているのだろうか。彼等の純粋な愛国心を捨て石のように扱って,アメリカはいったい,今後どのような方向へ進んでゆくのだろう。
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戦闘シーン以外は,主要人物の対話が中心となっているこの作品。さすがに実力派の名優ばかりなので,丁々発止とした彼らの対話のやりとりは,表情ひとつとっても見ごたえがあって,飽きることはなかった。

ラストはずっしりと重い,胃もたれのような余韻・・・・。政治に疎い他国の私でもこうなのだから,アメリカの国民は,この作品をどのように受け止めたのだろうか・・・。レッドフォード監督は,自国が抱える最重要な問題を,包み隠すことなく,真摯に世界に向けて発信したのかもしれない。
 
「何かしなくては・・・でも,何を?」とあたかも,答えの出ない難問を投げかけられたような,居心地の悪さも感じるのだけど,何も知らないよりは,観てよかった,と思えた。

2008年5月 3日 (土)

頑張るオジサンたち!

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先日の劇場鑑賞の際に目にした「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」の予告編!あの「タータタッタ~~,タータタ~」という懐かしいBGMを聴くだけで,いやがうえにも高まる,血中アドレナリン濃度・・・・

そして,見慣れたインディの帽子と,シルエットが画面に登場すると,なんとも感無量の思いが押し寄せてきたが・・・・。ふと,そのときによぎった,ハリソン・フォードのお年。別にファンでもなんでもないので,よく知らないけど,最近の彼は,役によっては白髪が目だっていたような。
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あわてて調べてみたら,な,なんと65歳!ううむ,いつのまに。それにしてもその年で,飛んだり跳ねたりするアクションに挑むとは。・・・・家族は本気で心配するんじゃなかろうか,(事故とか心臓発作とか。)

65歳ったら,退職して5年後の年じゃないか,一般の会社とかでは。わたしは,思わず,5年ほど前に退職した上司のお顔をあれこれ思い浮かべ彼らが全力疾走 したり,高所からターザンジャンプをしている図を想像して,すっかり肝を冷やした 私が彼の娘なら,泣いて止めるかも。

しかし偉いなぁ,ハリソン!頑張れ~~(←人ごと)予告編では,ハリソンの他にスピルバーグさんとルーカスさんも顔を揃えて,と~っても嬉しそうにPRしていた。(お二人とも日本語上手かった)ハリソンも含めて,お爺さんが3人で頑張ってる作品・・・いや,失礼。

と,感心していたら,今度は「ランボー/最後の戦場」の予告編が・・・。
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おお,「ロッキー」に続いて,ランボーも「爺さん編」をやるのか・・・・。今回の舞台はミャンマーらしい。スタローンは61歳。こちらもなかなかのものだ。それにしても,シルバー世代の返り咲きブームは,やっぱり嬉しいなぁ。

ランボーはわからないが,「インディ・ジョーンズ」は絶対劇場で観るぞ~~。シャイアくんも好きだし,ね。久しぶりに,あのシリーズでワクワクできるかと思うと今から楽しみ。

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