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2008年4月17日 (木)

ロンリーハート

Cap023
1940年代のアメリカで,実際にあった連続殺人「ロンリーハート事件」の映画化。私の好きな題材であるし,俳優さんもいいので,DVDリリースを楽しみにしていた作品だ。

あらすじ 1951年3月8日。ニューヨークのシンシン刑務所で、アメリカを震撼(しんかん)させた凶悪な殺人犯、レイモンド・フェルナンデス(ジャレッド・レト)とその恋人マーサ・ベック(サルマ・ハエック)の死刑が執行されようとしていた。しかし、彼らを逮捕した張本人であるエルマー・C・ロビンソン刑事(ジョン・トラヴォルタ)は、浮かない顔で執行を見つめていた。・・・・・(シネマトゥデイ)
Cap032
このような凶悪犯罪を,カップルでやり続けるというのは,珍しいような気がする。レイとマーサ。彼ら二人が出会わなければ,このようなおぞましい犯罪は,スタートしてなかったかもしれない。

寂しい戦争未亡人をひっかけて,財産を奪う,結婚詐欺師のレイ。おそらく根っからの小悪党なんだろうけど,マーサと組むまでは,彼は殺人者ではなかった。騙した女性を惨殺するようになったのは,マーサがレイと女性の関係を激しく嫉妬したからだ。

・・・・このあたりの心理は,常人には理解できないし,もちろんしたくもない。
最初の殺人のシーン,行為中の二人に忍び寄って,女性の頭を背後から殺す場面は凄かった。

「愛しているから,殺した」「人殺しをするほど人を愛したことがある?」と逮捕されたマーサがロビンソン刑事に言うが,それはちょっと違うんじゃないかなぁ。愛ではなくて,狂気じみたエゴイズムにすぎないのではないか?

この二人はどちらもどうしようもない人間だけど,レイよりマーサのほうが,より邪悪で激しくてクレイジーなものを持っていたように感じる。きっと,そうならざるを得ない生育暦があるのかもしれないが・・・・。

サルマ・ハエックは情熱的な役が多い女優さんだけど,こんな筋金入りの悪女を演じる彼女は初めて。もちろん,すごくハマってました。
W551642view
そして,レイを演じたジャレッド・レト。
『アレキサンダー』で,コリンの恋人役を演じたときの優しい感じが記憶にあったので,殺人犯の役など似合わないというイメージを持っていたのだが・・・・・ところがどうして,彼はソフトでお洒落な雰囲気の詐欺師と,冷酷な殺人者の二つの顔を持つレイを,うまく演じていた。

それにしても, の画像のように,美しい前髪を持っている彼が,この役のためにわざわざ前髪をゴッソリ引っこ抜かれて(痛そう!)サザエさんの波平みたいな禿げ頭にしたそうだ!実在のレイがそんな頭だったからだが・・・・・。凄い!役のためにそこまでやるか?監督さんも,はじめから毛の薄い俳優さんを起用してあげればよかったのにね。(○ュード・ロウとかさ)
Cap026
彼らを執念で追い続け,死刑をも見届けるロビンソン刑事。実は彼は,監督さんのお祖父さんに当たるそうだ。なるほど,この作品にかけた監督さんの思い入れは並々ならぬものがあったに違いない。

・・・・にしても,トラヴォルタって
こんなに太ってたっけ・・・・?

ロンリーハートという題は,被害にあった女たちが,戦争未亡人やオールドミスなど「寂しい女たち」だったからだが,レイとマーサの深い闇のような孤独をも指しているのだろう。

他人とは分かり合えない,似たもの同士の彼らが出会って,互いのありのままを受け入れ,愛し合った。しかし,それはゆがんだ愛であり,この二人は,社会に害をなす,世にもおぞましい取り合わせであったと思う。

極悪な犯罪者の心理は,理解できないものが多いけれど,この事件の犯人たちの動機は,今まで観たものの中でも,最も共感できなかったかなぁ。・・・・・

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映画 ら行」カテゴリの記事

コメント

コメント&TBありがとうございました。

レクターさんまで行ってしまうと、そもそも共感、理解しようとも思わないのですが、この2人は一見普通の人なので、共感出来ずに「自分勝手だなあ…」という印象になってしまうんですかねえ。

>監督さんも,はじめから毛の薄い俳優さんを起用してあげればよかったのにね。(○ュード・ロウとかさ)

それやってしまうと、ホラ…○ュードは言い訳が立たなくなってしまうじゃないですか(笑)

また遊びに来ますね~

ななさん☆
こんにちは〜。
コメントTBありがとう

これもうDVDになったんですねー
トラさんはここ近年やたら中年太りしてますね(笑)
ジャレットレトは毎度役の度にがらりと印象が違ってて
ホント役者魂感じます☆
期待してなかったけど面白かった♪
キャストが良かったせいが大きいな〜

こんにちは、ななさん♪
本当、この映画のジャレッド・レトは、頑張っていましたよね。
マーサに銃を向けて、悩んだ結果、やはり女を撃ってしまうシ-ン、あの時のジャレッド・レトの演技は、素晴らしいものがありました。
あの瞬間以降、小悪な犯罪者、ただの詐欺師が、本当に極悪人になってしまうんですよね。
その迷いを見せた演技は、なかなかに絶品でした。

りおさん,こんばんは!いらっしゃいませ

確かにレクター博士や,「パフューム」のグルヌイユのレベルになると
そもそも異人種って感じで共感しようという気もないですが
普通の人間ぽくみえる犯罪者の場合,「そうなっても無理ないか」と,共感というか同情というか,そんなものを感じるときもあるのですが
この二人には無理でしたね。確かに自分勝手。

>それやってしまうと、ホラ…○ュードは言い訳が立たなくなってしまうじゃないですか(笑)
・・・きゃはは,確かに

私もまた遊びに伺いますね~。FC2さんからは,TBがうまく受信できないことが多くてご迷惑をかけるのですが
これからもどうぞよろしくです!

migさん こんばんは

そう,もうDVDになったのよ~
予告で楽しみにしてたから,早速レンタルしたのだけどね。
世間では『不評』の方にあたるのかしら。
でも,サルマ・ハエックのキレた悪女ぶりといい
ジャレットの名演技といい,トラさんの貫禄といい
及第点は取ってる作品だと思いました。
こういう題材が好きなひと(それはわたし)にはオススメかな?

とらねこさ~ん 

そうそう,マーサはもともと悪女だったけど
レイはもっと小心者でしたよね。マーサに振り回されてたというか。
でも,「あの瞬間」から,彼は一線を越えてしまいましたね。
犬ほしさに露天商のおじいさんをためらいもなく撃ち殺したときは
もうすでに「極悪人」の貫禄が漂っていました。
ジャレッド・レトって,こんな役もできるんですね!

そうそう、「あなたは、自分のために殺人を犯してくれるくらい、愛されたことある?」な~んて言われててもね~。そりゃ違うでしょ、って言いたくなりますよね。
でも、あの取調べのシーンでの彼女の迫力にはぞくぞくしました。エルマー刑事たじたじ・・というか彼女の演技にトラさんが食われちゃてたような気がしました。
ジャレッド・レトも頑張ってましたね~、剃って・抜いて、ハゲのヅラつけて(^^;;) あぁぁ~~~。役者根性ですよね~。
2人のすざましく酷い犯罪の物語と平行して、エルマー刑事の
再生の物語にもなってたし、処刑シーンでの2人の刑事の言葉のやりとりと、本当にこれで良かったんだよな、と言う言葉に死刑制度についての疑問もなげかけられてたし、犯罪の割には後味が良かったかな、と思いました。

メルさん こんばんは

そうよね~,「自分のために人を殺してもらったって」私なら嬉しくはないケド。
そういう発想自体が異常よね~~
サルマ・ハエックは妖艶で,クレイジーで,魅力的ではありました。
実際のマーサは,あんなに美人じゃないし,太ってましたけど。
ジャレッドの天晴れな役者根性には頭が下がります。
役のために減量したり増量したりするのも大変ですが
毛を抜くなんてねぇ~~~,今は生えてきてるのかな。
生えそろうまでも,へんな髪型だよね,ぷぷぷ・・・

彼らが死刑になって「これでよかったのか?」と交わす台詞ですが
私は「よかったに決まってるじゃん」と突っ込んでました。

 今夜3度目のお邪魔です。
 ジャレット・レトって違う映画でも体重をかなり増量して大デブになったとか・・・かなり変人ぽいですね、彼は、でも「アレキサンダー」のジャレは良かったです~、この映画は殺人犯と刑事のドラマということで僕的にもかなり見たいツボですね、見所はやはりジャレとトラボルタの演技でしょうか・・・とにかくソソル映画ではありますね。
 一時期この手の映画をよく見てたような気がしますが、BBM以降少し変わった気もします、「ファーゴ」や「ナチュラルボーンキラーズ」などの大作?から「コピーキャット」「毒殺日記」「フェティッシュ」などもお気に入りです。

イニスJr さん  3度目のこんばんは

そうそう,ジャレット,大デブになった映画ありますね~,未見ですけど。
それで,完璧にもとに戻してますもんね。偉いです!
「濃ゆい」系のお顔だちですが,「アレキサンダー」のときのコリンを見つめるまなざしとか,ぐっと来ましたね。
え~と,この作品は,傑作というほどではないと思いますが,「連続殺人犯」ものがお好きなら,オススメです。「ブラックダリア」よりずっとすっきりまとまってます。役者もみんないいですしね。
↑に挙げられてるお気に入りの犯罪映画の中に「毒殺日記」があったのでとても懐かしくなりました。私もあの作品,とっても好きでした~(爆)


ななさん今晩は

この作品は主演と思っていたトラボルタさんよりも
マーサにそそのかされて犯罪に走り結局殺人まで犯した
小心者の詐欺師と悪女になりきったマーサを中心にした
作品でしたね、マーサの嫉妬心と猜疑心に恐怖を抱きながらも
彼女の体から離れられないその弱さが彼の心を壊しちゃった
んだね、本当の悪はマーサでした。

せつらさん こんばんは

あまり共感できない犯罪ものでした。
サルマ・ハエック,好きな女優さんですが
今回の役はどうもいただけなかったです。
実在したマーサはサルマほど美人じゃなくて
ますます共感できないドラマでしたね。

こんばんは なな様 これ 新聞広告に男女の出会いを求め呼びかけるコラム「ロンリーハート」がきっかけで殺人事件に発展したんでしたね。

僕もこの作品見ました。 が...マーサがねぇ~

>実在したマーサはサルマほど美人じゃなくて

 実際のマーサ・ベックの写真みました。
サルマのようなセクシー・レディー...じゃなかったぁ~

 僕は 一時期 実録犯罪のいきさつが好きで バラエティ番組の「ザ世界仰天ニュース」や「奇跡体験アンビリバボー」をよく録画していました

 たたりとかの心霊写真とかの科学や物理とは無縁のホラーよりよっぽど説得力があるからです。

 むろん 今回の「ロンリーハート」事件もそのひとつで やはり「仰天ニュース」で過去に取り上げていました 

 レイとマーサも男と女のロマンスがあるにはあるが ちがう方向のロマンスだったため そのロマンスのために殺された犠牲者たちは たまったものではない。

 結局、この身勝手な事件を起こしたふたりはゴミのような人間である なな様 レイ&マーサに感動しちゃいけませんよ

 最後に 新聞広告に男女の出会いを求めるコラム「ロンリーハート」にまつわる殺人事件を 僕は もうひとつ知っています。

 それは 次のコメントにて なな様に 教えます。

zebraさん こんばんは

実在したマーサの写真見ましたか~
サルマとは似ても似つかないのでビックリしたでしょう。

>僕は 一時期 実録犯罪のいきさつが好きで・・・
私も実録犯罪のいきさつって好きですよ。
zebraさんほど詳しくはないですが
それでも「これは実話です」とかいうサスペンス映画好きですね。
私は性悪説支持者なので・・・
もちろん犯罪はどんなものでも許されることではありませんが
そこに至るまでの事情とかに妙に惹かれます。
人間て弱いし愚かなものですからね・・・。

返信コメントありがとうございます。

なな様 レイ&マーサ事件以外の もうひとつの「ロンリーハート」殺人事件のいきさつを教えたいと思います。

 犯人は 主犯格は アイネーズ・ブレナン
共犯者は三人の息子 アイネーズは農場経営者。40代半ば。離婚歴あり。

 ニューヨークの新聞コラム「ロンリーハート」に投稿し交際希望者を募集します

 「わたしの農場に来て しあわせな家庭をいっしょに築きましょう」と言葉たくみに言いくるめて自宅を兼ねた農場に引っ越させて

 相手が信用しきったところで 悪魔の本性を現し 農場の裏庭で相手の男性を殺害します。

 殺害の実行犯は三人の息子たちで 殺害した遺体を冷たい農場の土に埋めて 被害者の金品の類を奪います。

 アイネーズとその息子たちの毒牙にかかった男性は3~4人いたそうです。

その後 殺された被害者の親戚が行方不明を不審におもって警察に通報し アイネーズの農場にたどりついて 家宅捜索した結果... 数体の遺体が土の中から掘り起こされて 事件が発覚します

 アイネーズは 男性をひきつける美貌があった反面 、とても冷たい心の持ち主で 人のお金や物をほしがる貪欲さが事件の引き金になったみたいです。

 離婚した元夫も「アイネーズに殺される」と思い 彼女から逃げたのが真実でした!

 裁判の結果 三人の息子のうち アイネーズと 三男は終身刑。ふたりの兄は終身刑を免れました。


 判決に不満だった判事は 「もし やつらを絞首台に 送れるなら それが私のこの上ない喜びだ」 と
あからさまに言い放ったくらい ひどい事件でした

 長男と次男は消息不明。三男は出所後 行方不明。 アイネーズは刑務所で病死。

 これが もうひとつの「ロンリーハート事件」...「アイネーズ・ブレナン事件」の真相です。

>私は性悪説支持者なので・・・実録犯罪のエピソードを知ったら また紹介します

 最後に 「レイ&マーサ」ケースと もうひとつの「アイネーズ・ブレナン」ケース。

 なな様は どちらの「ロンリー・ハート」事件が 悪質だと思いますか?

zebraさん 再コメントありがとうございます。

新聞コラム「ロンリーハート」って
今でいう「出会い系サイト」みたいなもんですかね。
犯罪に巻き込まれる可能性もやっぱりあったでしょうね。

>もうひとつの「アイネーズ・ブレナン」ケース。
ほおお,これは知りませんでした。
金銭目的という点ではこちらが悪質かもしれませんね。

性悪説というか,人間はすべからく罪人の素質を持っていると
キリスト教徒の私は考えるので
誘惑や境遇いかんでは
誰でも罪を犯す可能性はあると考えております。
・・・にしても凶悪犯罪者には誰でもがなれるわけではなく
それはやっぱり
生まれ持った何か邪悪なものもあるのかもしれませんが。


こんばんは なな様

>人間はすべからく罪人の素質を持っていると
キリスト教徒の私は考えるので
誘惑や境遇いかんでは
誰でも罪を犯す可能性はあると考えております。

 う~ん 僕は あまり難しいことは理解できませんが なにか なな様には 説得力ありますね。

 また 実録犯罪のいきさつが ありましたら教えます

 


zebraさん こんばんは

>誘惑や境遇いかんでは
>誰でも罪を犯す可能性はあると考えております。
キリスト教的な価値観では「原罪」といって
ひとはみな生まれながらにして罪人だという考えです。
もちろんだからこそ罪を犯さぬよう
信仰や倫理観や法律などが必要なわけですし
大抵の人々は心の中のよこしまな願望を
そのまま行動に移さないだけの常識や自己管理能力は持っています。
それが生まれつき欠落しているか
常人には理解できないような境遇に毒されてしまった人たちが
犯罪者となる場合があるのではないかと感じます。
あくまでも私見ですがね。

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