ダブリン上等!
・・・・・少し古い作品だけど皆さん,これ,ご存知ですか?すっごく面白いですよ〜
アイルランドのダブリンで,どん底人生から這い上がろうとする「負け犬人生」の人々の,おかしなおかしな群像劇。主要登場人物は,冴えないスーパーの店員や,バスの運転手,銀行マン,やさぐれ刑事,小悪党,男性不信の女性,夫に出て行かれた妻などなど・・・・。
彼らそれぞれの,不器用きわまる生き方と,
少し常軌を逸した行動。
職場を解雇されたり,自分を捨てた夫を見返そうといろいろやってみたり,けちな銀行強盗をたくらんだり,仕事に熱中するあまり孤立したり・・・・
みんな,少し愚かだったり,思慮が足らなかったり,不運だったりして,全員が自分の置かれた状態に多かれ少なかれ不満を抱いている。
前半は,ばらばらに同時進行してゆくかのように見える彼らの物語が,後半は滑稽に絡み合いながら,ラストへと見事に収束していく,「笑える」犯罪映画だ。
主要登場人物が11人という多さ。よく,こんなややこしいストーリーを成功させたなあ,と脚本家の腕に感心した。
キリアン・マーフィ目当てで観たのだけど,「小悪党を地そのままで演じてる」ようにしか見えない,コリン・ファレルのハジケぶり に釘付けになった。
彼が演じたレイフは,冒頭,甘い言葉でレジの女店員をくどいた後,いきなり彼女の顔面を殴って 強盗をやらかすようなチンピラである。ちょいワルな表情や,だらしなく崩れた服装や仕草が,コリンにすっごく似合ってて,アレキサンダー大王役より,こちらのコリンの方が100倍もハマってて魅力的だ。
お目当てのキリアンは、この作品ではまったく普通の平凡な青年ジョン。
彼は,思ったことを口に出すのが苦手なたちで,恋人のディドラと別れる羽目になり,その腹いせもあって,レイフが持ちかけた銀行強盗の話にのってしまう。
彼が大好きなブラウンソース。
なんと 紅茶にまで!入れて飲んでいた。紅茶の入ったカップに,ソースをぶちゅ〜っとタップリ入れて,スプーンでぐるぐる・・・・。それをキモそうに見ていたレイフにもすすめ、半信半疑だった彼も,「マジでうめえゃ」とハマってしまう。
へぇー、どんな味かしらん?と興味をそそられて,私も紅茶に,お好み焼きソースをいれて飲んでみた。(ブラウンソースがお好み焼きソースと同じ味かどうかは知らないけど)
ん〜〜,・・・・・・甘酸っぱかった。
物語が終わってみると,登場人物の大半が,最初よりほんの少し,自分の人生を希望あるものに変えていた。・・・・・恋人とよりを戻したり,自信をつけたり,えらく強気になったり・・・・もちろん例外もあるけれど。(レイフのように。)
それにしても,この映画の邦題「ダブリン上等!」は,作品の雰囲気にぴったりで,お見事だと思う。原題は「inter Mission」(幕間,とか休憩時間という意味)なのだから。
あと,ストーリーと同じく,はじけたノリノリの音楽 が,とってもクールだ!
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ななさん、こんばんは~。TB&コメント、ありがとうございました。
この作品を観た当時は、キリアン・マーフィーはあまり有名ではなかったので、特に彼に注目して観たわけではなかったのですが・・・普通でしたよね、彼。というか、周りの人たちが個性的で・・・。なんといってもコリン・ファレルのキレっぷりが(笑)。
それにしてもななさん・・・紅茶にお好み焼きソースって・・・・(爆)。
投稿: mayumi | 2008年4月14日 (月) 00時55分
mayumiさん こんばんは
そういえば,キリちゃんは,まだ「28日後・・・」でブレイクする前だったわね。
周りの人があまりに個性が強すぎて,彼の比較的マトモさが
いい意味で目だってました。
コリンはそんなにファンではないのですが,この作品のコリンは好きです。
紅茶にお好み焼きソース・・・
「マジでうめぇや」と言うほどの代物ではなかったけど
けっこうおいしかったですよ。
ブラウンソースならもっと美味しいのかなぁ?(←まだ言ってる)
投稿: なな | 2008年4月14日 (月) 19時55分
ななさん、こんばんわ
コリン好きですよ~、映画によっては良くない時もあり(あくまで外見ですが「フォーンブース」と「アレキサンダー」は眉毛目立ちすぎでした、映画は良かったけど)この映画は未見ですが、見たいなあ~、コリンがいいんですよね、そしてキリアンと・・・、ふたりともアイリッシュなんですよね、アイルランドが舞台の映画も興味あるし・・・でもコリンもちょっと影があって無口な役が多いってか、そいうの似合ってません?「イノセントラブ」や「SWAT」「マイアミバイス」など好きですね~、もちろん「アレキサンダー」も大好きです。
投稿: イニスJr | 2008年4月14日 (月) 23時23分
イニスJrさん こんばんは
コリン,ファンというほどではないけど,結構作品見てます。
繊細な演技も,もちろん上手なコリンですが,この作品みたいに
ぶっ飛んでる 役の彼,すっごく素敵なんですよ!
なんというか・・・・その魅力を口ではうまく説明できないので,
ぜひ機会があればごらんになってください。
コリンの作品の中では「イノセントラブ」(これ大好き)とか,もちろん「アレキサンダー」もシリアスな役ですね。(ゲイの役,結構こなしてますね,彼)確かにそういう役の彼も素敵だと思います。(「アレキサンダー」は作品自体は私も好きです。コリンの金髪が微妙~だったけど。)
でも,この「ダブリン~」を観たときに,「うわぁ,このひとはこれが一番だ!」と思ったんですよ。それくらいハマってました。いったい,地の彼ってどんな人なんでしょうね。
投稿: なな | 2008年4月14日 (月) 23時44分
これは最高に面白かったです~♪
そうそう、おっしゃる通り、不器用なやつらの
軌道を逸した作品でしたね^^
そこがまたと~っても好きでした♪
>この映画の邦題「ダブリン上等!」は,作品の雰囲気にぴったりで,お見事だと思う。
ほんと~!私もこの邦題つけた人に、☆た~~~くさんあげたいです(^ー^* )フフ♪
ここまで上手い具合に内容にあってて、洒落た邦題をよくぞ
考え出したな、って感心しちゃいました♪
TB&コメント、どうもありがとうございました~♪^^
(古い記事だったのに、見つけてくださってありがとうございます♪)
投稿: メル | 2008年4月15日 (火) 15時32分
メルさん, こんばんは!
あまり知られてないのかな,これ。
でも観ないともったいないくらい,面白い作品ですよね!
邦題がすごくイカシてる!
ほんとに,つけた人のセンスは素晴らしいと思います。
「ダブリン上等!」の「上等!」が特に作品の雰囲気にぴったりですね。
「ダブリン万歳!」とかじゃなくて,「上等!」というのをよくイメージしたなぁ・・・。
DVD記事の数が半端じゃないメルさんなら,きっとご覧になってると思って探したら
やっぱり記事を書いてらして,ちょっと感動!しましたよ。
投稿: なな | 2008年4月15日 (火) 21時36分
ななさん、こんばんわ~
「ダブリン上等」レンタルしてきて見ました。もう1本借りたのはジェイクパパ監督、ママ脚本の「欲望」です・・・ジェイクはチョイ役出演でチャリンコに乗ったオコチャマ(小学生くらい?)で可愛かった!何故か金髪?
「ダブリン」ですが、中々面白い群像劇でした、コメディタッチなところとかは少々「アメリカンビューティ」の影響あるのかな?って思いましたが、コリンはこの頃はヤンチャなコリンだったんですよね、だからはまってましたね、サッカー選手だったから走りも
見事!ファーストシーンはヤンチャじゃ済まないですが(でも最近はすっかり落ち着いて渋い役が似合ってますよね?)
登場人物がそれぞれユニークで繋がってるところはよくできてるし、面白い!キリアンが一番主役っぽかったんですが・・・コリンはあまり出番がなくなかったですか?(少々不機嫌)登場人物で僕が一番好きなタイプ(性格がです)は冴えないスーパーの店員ですね。あとは自己中で、彼と結ばれたヒゲの妹も好きですね。
考えてみるとコリンも色んな役をやりますね、「ダブリン」もいいですが「マイノリティレポート」のインテリ刑事もいいいし「フォーンブース」の長髪の変な男もいいし、もちろん「マイアミバイス」の渋い刑事も「アレキサンダー」の情熱的な男もいいです!!今回また1つコリン映画を制覇できました~
投稿: イニスJr | 2008年4月24日 (木) 21時40分
イニスJr さん,
おお,ご覧になりましたか~~。それにしても,ジェイクパパ監督の「欲望」って・・・そんな珍しいの,よく置いてありましたね~。さすが東京だわ(感心)小学生のジェイク観たい~~!でもほんとに,なぜに金髪?
「ダブリン~」面白かったでしょ?たしかにコリンは出番少ないし,最後はあんなことになっちゃうけど,冒頭のシーンといい,彼が一番インパクトがありましたよ。みんなが「一番地のコリンに近い役」と言ってるから,実際にコリンはあんなヒトなんでしょうか?
そうだとすると,「イノセント~」や「アレキサンダー」のキャラを演じたコリンは,カメレオン俳優ですね。素晴らしいと思います。
イニスJrさんは,キリアンの親友の彼(の性格)がお気に入りなんですね。ナイーブなタイプですね。ヒゲの彼女とハッピーエンドで,お似合いでした。
私はキリアンの演じたジョンの性格が好きかなぁ。思ってることをはっきり言えないひとって好きです(あ,イニスだ,それ・・・)
私はコリンの作品,未見のものも結構あるので,これから少しずつ観ていきたいですね。「アレキサンダー」もう一度観てみようかな~。長いと不評だったこの作品,結構好きなんですよ。気が向いたら感想書きたいです。
投稿: なな | 2008年4月24日 (木) 22時47分
こんばんは。すっかりご無沙汰しててごめんなさい。
わたしも、なんとも呑気でゆる~い雰囲気、大好きです。
わたしは、キリアン・マーフィーやら、コルム・ミーニィやら、ケリー・マクドナルドあたりを目当てに観たんですけど、
こ~んな展開のお話だったとは!
スコットランドの『トレイン・スポッティング』、アイルランドの『ダブリン上等!』、
一見似てるかと思えば、すっかり雰囲気が違う、って、
どちらもお国柄を反映してるのかしら。。。
それにしても、あの小憎らしいラストったら!
投稿: 悠雅 | 2008年4月26日 (土) 01時04分
悠雅さん こちらこそご無沙汰しておりました。
TB,コメントありがとうございました。
そしてまた,この作品を,悠雅さんも好きだと伺って嬉しいです。
キリアンを目当てにご覧になったのは同じですね~。
これはほんとうに,アイルランドやイギリスらしい,優れた群像劇だったと思いますが
おっしゃるように,ある意味キレのわるい,ゆるーい雰囲気が
滑稽なのに,くつろげる感じでよかったです。
人間,この愚かでいとおしい者たちよ・・・っていう感じですかね~。
「トレイン・スポッティング」は未見なんですよ~,名前はさんざん聞くんですがね,今度また見てみます。
投稿: なな | 2008年4月26日 (土) 01時53分