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    ブロークバックマウンテンの名シーンの数々です。

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2008年4月の記事

2008年4月30日 (水)

紀元前1万年

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いかにも歴史的な興味をそそるタイトルに騙されてはいけないという皆様のレビューを肝に銘じて,ローランド・エメリッヒ監督の,大味・大袈裟・大風呂敷の世界を,割り切って楽しんでまいりました! happy02 なかなか面白かったですsign03

紀元前1万年・・・・未だ誰も見た事のない世界・・・・うん,だから何でもアリだった!

時代考証の仕様がない
わけで,でもいくらなんでも,それはありえないんじゃ・・・・?と思わず口をついて出そうな建造物や衣装や文明も,ところかまわずバンバンでてくるし,主人公たちはまるでワープしてるかのように,雪山から砂漠まであっというまに移動するし,動物は恩返しするし,人は生き返るし・・・ううむ,こ,これはファンタジーの部類に入るのか・・・?

つっこんではいけない,というよりはつっこみながら観るのが正しい鑑賞法,のような楽しい作品だったよ~wink (←褒めてます)
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ストーリーはとってもシンプルで,襲ってきた敵にさらわれた恋人を奪い返しにゆく,ひとりの若者デレー(スティーヴン・ストレイト)の物語。彼が部族の指導者ティクティクとともに,苦難を乗り越え,仲間を募りながら,奴隷にされた仲間たちを救うために長い旅をし,遂に目的を遂げる『世界最古の英雄譚』なのだけどね。

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しかし,サーベルタイガーって恩返しをするのか・・・。大きさはぜんぜん違うけど,cat虎猫好きの自分としては,「可愛い~~heart04」と心の中で叫んでしまったわ。(←おばか?)

恋人と仲間が連れ去られた砂漠の中の都市・・・・マンモスを家畜がわりにしてピラミッドを建設中で,しかも指導者たちは弁髪って一体・・・・いろんな文明をごった混ぜにしてる。

絶対的な権力を持つ,神秘的な存在の「大神」。どんなパワーがあるのかと思いきや,デレーの槍の一投げであっさり・・・・エバレットを蘇らせた「巫母」のほうが余程パワーがあるよね~~。・・・と,あげればキリのない,楽しいつっこみどころはさておき・・・・

みどころはやっぱり,CGを駆使した,映像の美しさや壮大さかな。確かに,史実かどうかはともかくとして(絶対史実のはずはないけど)観たことのない世界は体感できる。

マンモスが群れをなして爆走するシーンは迫力満点!冒頭の狩のシーンもよいが,砂漠都市で,反乱を起こすマンモスたちのシーンは見ごたえがあった。もうすっかり「やれ~!やっちまえ~!」状態。

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アポカリプト」に似たストーリーでもあるけど,雰囲気は全然違う。展開は笑っちゃうくらい強引で,ご都合主義なところもあって,お手軽で,なんとなく,映画・・・というよりはアニメのストーリーのようだ。 そこがまた,サックリと観れて,この作品のよい点でもあるのだろう。何も考えずに,勝手にめまぐるしく変わる雄大なシーンを味わうことができれば,鑑賞後は,きっと心地よい爽やかな気分に満たされるだろう。

え~と,ここまで書いて,自分の記事読み返してみると,まるでケナしてるみたいな書き方してますけど,けっして,そんなことはありません。しつこいようだけど,褒めてます(信じて~~sweat01)

 

2008年4月29日 (火)

クローバーフィールド/HAKAISHA

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巨大都市ニューヨークが,“未知の何者か”によって,ある晩突然大規模に破壊される様子を描いた,SFパニック・アクション。

未知の生物とやらが,都市を破壊するだけのシンプルな設定のはずなのに,ブロガーさんたちから,けっこう評価の高いこの作品。劇場で観て,その理由がよくわかった。

とにかく,
度肝を抜かれっぱなし。

この作品,冒頭の,主人公ロブの送別パーティから、悲惨なラストに至るまで,全編を通して主人公の友人が撮影したハンディカムの映像だけで通している。だから,突然惨劇に襲われて,マスコミからの情報も皆無のまま,訳もわからす逃げる主人公たちと,われわれ観客は,全く同じ視点と情報量になるわけで、そこにものすごい臨場感が生まれる。(ひと昔まえの話題作「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」をちょっと思い出した。)

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発端は地震のような衝撃。「天変地異か,はたまたテロかsign02」と戸惑って戸外へ出た住民たちの目の前に,自由の女神の巨大な首が地響きをたてて吹っ飛んでくる。(一瞬,大仏かと思ったsweat01 )まるで9.11事件のように倒壊するビル。

「破壊者の正体はいったい・・・?」と,観客も,衝撃の度に激しく揺れるビデオの映像と細切れになるシーンを,懸命に目を凝らして追うことになる。だって,よく観ないと,ちらっと一瞬しか映らないものが多すぎるからだ。

やがて,程なく,破壊者は,何か見たこともない巨大なモンスターらしいことがわかるのだけど,その全貌はなかなかはっきりとはつかめない。主人公たちは,惨劇の現場であるマンハッタン島から,さっさと逃げ出せばいいものを,ロブがアパートで怪我をして動けない恋人を助けに戻ると言い出し,友人たちは(ビデオを撮影しながら),彼といっしょに彼女の救出へと向かう。
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え~とですね,この展開は少し無理があるとは思ったけど。だって,あんなパニック事態で,あの程度の人間関係の相手を命がけで助けに戻るかなぁ・・・?(おまけにロブはその直前に兄さんが死んでるんだから,そっちのショックの方が大きいのでは,普通。)
友人だって,自分の恋人じゃないんだから,あそこまでは付き合わないよ。あんな得体の知れない恐怖の中をね~。

ここらへんの不自然さは,製作側に,彼らを最後まで事件の目撃者にしなくてはならない都合があったからでしょうね~。さっさと逃げ出されちゃ,お話が続かないわけで。

それに,ビデオも「いつまで撮影し続けられるかな~,撮影不能になった地点で,お話は終わるんだよね」と心配しながら観てたら,これが結構しぶとく撮影を続けるのだ。ロブの友人とやらは。(あんな状態で,いつまでも撮影しながら逃げるなんて,普通はありえないけどな~.,カメラなんて,ほっぽり出して逃げるわよね)

しかし,そこらへんもよく考えてあって,撮影する友人のキャラは,ややKY気味の,お調子者っぽい青年を設定していたように思う。確かに彼なら,「撮影してる場合じゃないでしょ!」という時でもカメラを回していそうだ。
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モンスターは2種類いて,地上で暴れまわる巨大なやつと,トンネル内で襲ってくる大グモみたいなやつ。トンネル内のやつに噛まれると,バイオハザードみたいに何かに感染して死んだりして・・・・。とにかく予測不可能な恐怖は凄かった。巨大なほうは,ラスト近くになって,その全貌のビデオ映像が映し出される。

やつらが果たして宇宙から飛来してきたものなのか,それとも何か国家機密にでも関わる極秘の研究の副産物として生まれたものなのか,最終的には軍はやつらを根絶できたのか,被害はニューヨークだけですんだのか。

答えは観客には示されないまま終わる。ロブたちが認識できたこと以上の情報は,最後まで観客には与えられないままだ。もちろんロブたちにもハッピーエンドは訪れない。しかし,この設定の場合,ハッピーエンドなんかにしたら,かえってぶちこわしだろう。

とにかく,「面白い」と言う感想とは,ちょっと違うような気もしたけど,恐怖と臨場感が凄い作品で,メチャメチャ圧倒された。今日は久しぶりに劇場へ行けたので,3作品を連続して観たのだけど,この前に鑑賞した「紀元前1万年」と「大いなる陰謀」の余韻が,見事にどこかにすっ飛んでしまったわ。

2008年4月27日 (日)

しあわせな孤独

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デンマークの女性監督,スザンネ・ビアが,ドグマの手法で描いた,愛についての,リアルで深い,心に沁みいる物語。DVDで鑑賞。

セシリヨアヒムニルスマリー
突然起こった不慮の事故で,それぞれの運命と,愛の行方が狂ってしまった,4人の男女。明日は幸せな今日の延長線上にあると信じて疑わなかった彼らの思い描いていた未来や,平穏な家庭は,交通事故という,誰にでも起こりうる出来事によって,もろく崩壊してゆき,彼等の人生は痛ましく交錯しながら,先の見えない袋小路へと,次第に追い詰められてゆく・・・。

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ドグマ
というのは,1995年に,ラース・フォン・トリアーらが始めた,デンマークの映画運動。その特徴は,オールロケ,手持ちカメラによる撮影,効果音や照明効果の禁止・・・等があるらしい。
この作品も,ドグマの手法での撮影なので,まるでドキュメンタリーのような生々しい雰囲気が際立っていた。余計なBGMや,回想シーンなど皆無の映像は,まるでホームビデオで実際の出来事を撮影したかのよう。だからこそ余計に,自分や知り合いの身に実際に降りかかってもおかしくない出来事のような,息詰るリアルさを感じた。

セシリとヨアヒムは,婚約し,幸せの絶頂にあったのに,ある朝,彼女の目の前でヨアヒムはマリーの運転する車にはねられ,全身不随になってしまう。衝撃を受けながらも,何とか現実を受け止め,彼を支えて生きていこうとするセシリを,ショックが大きすぎるヨアヒムは激しく拒絶し,彼女を傷つける態度を取る。
Cap002
一方,医師のニルスは,加害者マリーの夫で,事故発生時から,セシリの相談相手になっていたが,ヨアヒムの態度に深く傷ついたセシリは,やがてその空隙を埋めるために,精神的にも肉体的にもニルスを求めるようになり,ニルスもまた,彼女を愛してしまう。

配偶者や,婚約者に対する裏切り・・・・
事故の被害者側と加害者側の,
普通ならありえない関係・・・。

本来なら非難したくなる結びつきなのに,なぜかこの物語の中では,ごく自然なことのように思えた。

Cap005
突然降りかかった,重すぎる現実を受け入れられず,セシリに理不尽に辛く当たるヨアヒムの態度。行き場の無い愛を,一時的に受け止めてくれる相手を求めたセシリの脆さ。そんな彼女を本気で愛してしまった,ニルスの優しさ。・・・・どれこれも,あの状況なら起こっても仕方のない無理のないことなのではないかと。

普通は誰か一人の登場人物(たいていは主人公)に共感し,物語全編にわたってその人物の気持ちにずっと寄り添いながらストーリーを追っていくものだけど,この作品に限っては,4人の男女全員に感情移入してしまった。場面が変わるごとに,あるときはセシリに,またあるときはニルスに,そしてあるときはヨアヒムに,マリーに・・・・入れ替わり立ち替わり共感している自分がいた。
Cap007
どの人物も,基本的にはとても善人で,そして誰でも持っているような愚かさや弱さも露呈するのだけど,物語の進行に従って,切ない優しさや,再生への強さもまた,見せてくれたからだろうか・・・・。

誰も悪くない。誰も責められない。

ただ,運命の歯車が違った方向に回り始めただけなのでないか・・・・そんな風にさえ思えてくる。

セシリとの関係が妻子に知られたとき,妻の罵倒にじっと耐えるニルスを見て「やっぱり家庭を壊すリスクは犯さない弱気な男なんだろうな・・・・」と思っていたら,セシリのために家を出る決断までした真摯な彼の行動を,なぜか応援したくなったり・・・・。

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最初は遠ざけたセシリを,また呼び戻したヨアヒムの心情にも,心が締め付けられたし,結局は愛する彼女を手放す決意をした彼の哀しい決断もまた,とても切なかった・・・・。

事故の加害者なのに,ヨアヒムを見舞うでもないマリーの態度に,「罪の意識が希薄なんじゃ?」と最初は不満を抱いていたのだけど,夫に出ていかれるシーンで,泣きながらすがる彼女はやはりかわいそうに思ったし,その後,供たちのために健気に立ち直った彼女の姿には小さな感動を覚えた。

Cap046
そしてセシリ・・・・。運命に流されがちな,弱さと脆さを持った女性だけど,同時に,どんなときも誠実に相手を愛そうとする,芯の強さをも秘めているような女性。演じたソニア・リクターは,新人女優だということだけど,彼女の繊細さと愛らしさが,この作品の大きな魅力のひとつになっていると思う。

それにしても,スザンネ・ビア。すごい監督さんだ。なんて深く,細やかに人間というもの,人生というものを理解しているのだろうか,と思う。
Cap008
降りかかってくる不慮の出来事に,あっけなく砕け散ってしまう人生の設計図。その中できっと,あわてふためいた私たちの誰もが,ごく自然に見せるだろう,弱さや愚かさや,優しさや愛や,土壇場の強さ・・・・。ほんとに自分の身にも起こりそうな,切なくいとおしい物語に思えて,当分心から離れそうにない。

追記:ニルス役のマッツ・ミケルセン・・・なんだか,好みだな~雰囲気が。と思ってたら,キング・アーサーで,私の一番お気に入りだったトリスタン(鷹を連れていた騎士)の役の人だったcoldsweats02と,後で知りました!え~,全然わかんなかったよ~。でもやっぱり好みだわ。heart04

2008年4月25日 (金)

ディスタービア

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DVDcdで鑑賞〜。
自宅軟禁中の高校生が,退屈しのぎに近所ののぞき見を始めたせいで,殺人事件に巻き込まれていくサスペンスドラマ。ヒッチコックの名作「裏窓現代版高校生バージョンみたいな物語だ。

あらすじ: 交通事故で父親を亡くしたケール(シャイア・ラブーフ)は自分を見失い,学校で教師を殴り,3か月の自宅軟禁処分を受ける。時間を持て余した彼は、退屈しのぎに近所ののぞき見を開始。彼の親友のロニー(アーロン・ヨー)と、隣に引っ越してきたアシュリー(サラ・ローマー)も巻き込み、3人はスパイ活動に熱中していく。(シネマトゥデイ)
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シャイア・ラブーフは,パニクったアクションものが多いけど,確かにあわてふためいたdash演技が上手い。それに,トランスフォーマーの頃に比べると,ちょっと大人になって凛々しさを増した感じ。彼って,美形というよりは,親しみやすい顔なのだけど,なかなかよい感じのナイスガイに成長するんでは?と今回思ってしまった。

最初に面白いなぁ,と思ったのは,自宅軟禁の彼が,足首に取り付けられた監視用のセンサー。自宅軟禁の場合,本当にあんなものをつけられるのか?自宅から30メートル外に出たら即センサーが作動し,ランプの緑が赤に変わって10秒以内に戻らなければ,警察が駆けつけるbomb・・・・なんて,なんだか生き残りゲームみたい。

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しかし,この監視センサーが,ケールの自由を制限し,彼は,殺人犯を目撃しても,自由に動き回って調べたり危険から身を守ったりすることができない。「自由を束縛された目撃者」という点では,「裏窓」と同じだ。「裏窓」では,たしか主人公は足を怪我して動けなかったけれど。

青ヒゲのごとく女性を殺害しては,遺体をおぞましい方法で隠匿する,隣のサイコ野郎に扮したのは,私としては未だにグリーンマイルの優しい看守役の印象の強い,善人顔のデヴィット・モース。のっそりとした大男の彼からは,なんとも薄気味悪い雰囲気が漂い,一見善人にも見える表情が邪悪なものに豹変する時の恐ろしさは,格別のものがあった。
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ケールの母親役の女優さんが,「やけにスタイルがよくて,綺麗なshineお母さんだな~,どっかで観たことあるけど誰だろ~~?」と思っていたら,なんと,マトリックスキャリー・アン・モスだった!wobbly 普通の格好してると,全然そうだとは気づかなかったわぁsweat01
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身動きの取れない軟禁中のケールが,犯人に対抗する武器は,携帯電話やデジカメなど、現代の若者らしいハイテク機器。そして彼の味方は,同じく高校生の親友ロニーや,彼女のアシュレー。彼ら若者がチームを組み,素人捜査をするところなどは,その無謀さゆえにドキドキして目が離せない。

クライマックスになると,ケールと犯人との,手に汗握る追いかけっこやバトルも繰り広げられて,やっぱりシャイアは死に物狂いで逃げる役が,何故か似合う俳優だ。
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全体的にみて,「先が読めないこともない」のだが,そうだとしても,なかなか面白く観ることができた作品だったし,俳優さんもみんな好演していたと思う。

私としては,自宅軟禁のシステムやグッズ(あのセンサー)が,一番もの珍しくて楽しめたような気がするけど。・・・・・それにしても,他人のプライバシーを覗き見すると,こんな風に,トラブルに巻き込まれることもあるので,気をつけましょう・・・coldsweats01 という教訓は・・・別に込められてはなかったよね?
Cap038
普通の少年っぽい雰囲気のわりに,セクシーkissmarkな美女とラブラブheart04になる役が多い(似合う?)シャイアくん。彼が出演すると,青春ムービーのような要素がどうしても強くなるのかな?そっちの方はちょっと削って,サイコ・サスペンスの部分をもっとしっかり見たかったかなぁ。(猟奇的な死体とかさ,もっと期待したんだけど・・・・

2008年4月21日 (月)

映画・俳優・雑記 索引

Gaspard_ulliel_1222185992   
アイマックさんバトン
イメージバトン
「干支でシネマ」バトン
スターのお仕事バトン
アイマックさんバトン(本編)

ヒース・レジャー逝去
まなざしに魅せられて♪ジェイク・ジレンホール
マリオンおめでとう!第80回アカデミー賞受賞
知性と怪しさと/ギャスパー・ウリエル
ザ・ダーク・ナイト(公開予告)
ほろ酔いシネマ
グレイズ・アナトミー 観始めました。
頑張るオジサンたち!
愛しのシャーロック・ホームズ
寝苦しい夜の悪役祭り
ダイエット・シネマ
「秋の童話」DVDボックス買っちゃった
ダークナイト待望のDVD!
一周忌
第81回アカデミー賞発表!
「レッドクリフ Part I」のDVD!
DVD化,もしくは再版してほしい作品たち
クリスマス・シネマ


2008年度マイベスト作品
2009年度マイベスト
2009年に観たお気に入り旧作DVD!
2010年劇場公開映画私的ベスト10
2011年度劇場公開作品マイベスト7 
2012年度鑑賞作品 マイベスト10 
2013年ありがとう!マイベストシネマ 
2014年度 マイベスト!
2015年 マイベストシネマ
2016年 マイベストシネマ

2008年4月20日 (日)

イノセント・ラブ

Cap037
原題は「この世の果ての家」。そのまま訳せばいいのに,どうしてこんな,内容と合ってない陳腐な邦題をつけたのだろう。
性別を超えた愛とは,家族とは,死とは・・・・
いろいろ考えさせられる深い深い作品。原作はもっと深いそうだが,未読なので映画から受けた印象しか語れない。

ジョナサンとボビー。
彼ら二人の間の絆や,はぐくまれた愛情とは,いったいどんなもので,どのような旅路を経て,どんな終着点を迎えたのか。冒頭からラストまで,私はずっとそのことばかり考えながら,切なく物語を追っていった。

Cap003
ジョナサンはゲイで,少年時代からずっとボビーを愛していたと思う。ひとつの家で,兄弟のようにいっしょに過ごした少年時代から,死ぬまでずっと。
そしてボビーは・・・・・。ボビーの愛は,果たしてジョナサンと同じものだったのだろうか。確かに少年時代に,ためらいがちに肉体的な接触を求めてきたジョナサンを,ボビーは拒むことなく受け入れる。

しかし,数年間の別離を経て,成長した二人が,ニューヨークで再び同居を始めたとき,昔の関係を「覚えてるかい?」と遠慮がちに尋ねたジョナサンに,ボビーは「あの時は,子供だったからね」と,さりげなくはぐらかす。それを聞いたジョナサンは,ボビーにそれ以上肉体的な関係は求めず,ゆきずりの相手とアバンチュールを繰り返し,ボビーがクレアと恋仲になってからは,二人を残してアリゾナへと去る。
Cap016
二人の男性を愛したクレア

奇抜なファッションやメイクで装いながらも,無尽蔵の包容力を持った,懐の深い女性。彼女がまず愛したのはジョナサンで,その愛が報われないことを知って,ボビーを愛するようになる。子供が生まれてからは,ボビーとジョナサンと3人で,子供のために新しい家庭を築こうとするが,結局,彼らの間の絆には入り込めないことを悟った彼女は,子供を連れて去ってゆく。

傷つきやすい子犬のような瞳の,ピュアで優しいボビー。
ボビーという人間を理解するためには,きっと彼の生い立ちを考慮する必要があるのだろう。たてつづけに愛する肉親を失った孤児のボビー。彼が内面に抱える孤独感は,いかほどのものだったのか。
Cap022
彼の人生は,ずっと自分の「居場所」探しの旅だったろう。クレアが彼のことを,「どこへ行っても,何をしても生きていける器用なひと」と評したけれど,どんな形の器に入れられても,自在に形を変えて満たすことのできる水のように,寄る辺のない境遇のボビーもまた,どんな相手にでも寄り添って生きてゆける順応性を,身につけざるを得なかったのだと思う。

だから彼はあんなにも優しく,あんなにも控えめで優柔不断だったのではないか。ひとりぼっちになりたくないから,相手との関係を崩したくないから。

ボビーはゲイではないように描かれているが,ジョナサンへの愛は,私には,単なる友情や兄弟愛を超えているように思えた。彼は成人になってから同性愛行為の経験はないので,肉体的にはノンケのようだけど,精神的にはゲイに近いものも持っているのでは?とも思う。
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ジョナサンを抱きしめて踊るボビー。「兄弟のキスだよ」といってジョナサンにくちづけするボビー。あれは,単なる優しさゆえだとは思えない。彼もまた,葛藤していたのだろうか

ボビーと,ジョナサンと,クレア。
世界の果てに,彼らだけの理想の家庭を作ろうとしたこの三人は,いっしょにいて,互いに慈しみあいながらも,それぞれが,やるせない片思いを抱えているように感じられて仕方がなかった。

ジョナサンのボビーへの愛。思いとは裏腹に,踏み出せないままの切ない関係。そして,クレアのジョナサンへの報われない思い。・・・・二人の間で揺れるボビー

どんなときも相手に合わせているようにも見えた彼は,ジョナサンとクレアの,どちらも愛していたのだろうか。「私と一緒に来る?」というクレアの誘いを断ってジョナサンとの人生を選んだボビーは,やはりジョナサンを一番愛していたのだと思う。

二人の間の愛は,きっとひとくちには言えない,複雑でいろんな要素の絡み合ったものかもしれない。ジョナサンがクレアに「あなたの本命はボビーでしょ?」と問われたときに,ジョナサンが「・・・そんなに単純じゃない」と口ごもったように。
Cap033 
紆余曲折を経た二人の愛は,「この世の果ての家」に静かな終着点を見出したのだろうか。暮れなずむ雪景色の中,二人の家の窓のあたたかな光が,いつまでも優しく切ない余韻を残す。

たとえ,どんな愛し方でもいい。常人には理解できなくても,そこに存在するのが愛であり,100組の恋人たちがいれば,100通りの物語があるのが愛である。そして,あらかじめ愛し合うように運命づけられた二人,というものもまた存在するものだと思うから。人間の作ったルールに当てはめることができないのが愛というものではないだろうか。
この美しく騒々しい世界には,
そう,どんなことも起こりえるのだ。

2008年4月18日 (金)

グレイズ・アナトミー,観始めました

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魔法にかけられてパトリック・デンプシーの別の顔が観たくて,お友達ブロガーさんオススメの,このドラマを見てみました。

ドラマにハマると,映画を観る時間がなくなるので,あまりハマらないよう自制していたのですが・・・・・。いやぁ,なかなかよいではないですか,これ。早くも ハマりそうな予感がいたします。(やばいcoldsweats01

まだシーズン1しか観てないので,「第一印象」みたいなことしか書けませんが,これって,昔ハマッた病院モノのERと比べると,同じ病院モノでも,時代の流れもあるだろうけど,ずいぶん軽くコメディタッチになってますね。「インターンの成長物語」なんだろうけど「医者の本音」が,そこここに散りばめられてて,それがとても面白いです。

医者って,そんなにオペがしたいのか!というのが一番の驚きでした。自分のキャリアのため,そして医者としての研鑽のため,難易度の高いオペを,奪い合うなんて,ほんとかな~~?なんか,患者の命を救いたいという動機より,そっちのほうが強い医者もいるみたい。
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パトリック・デンプシーが演じるドクターは,ドクターらしくない,くだけたセクシーな雰囲気をまとっています。腕のよいドクターなんでしょうが,恋の腕もたちそうです。確かに『魔法~』より,ある意味 数段,魅力的かも。

このドラマ,登場する医者や,インターンたちがみんな個性的で,彼らの個性が絡み合ったり,ぶつかり合ったり,影響を与え合ったり,そんなドタバタも面白いし,一風変わった患者たちとの,やりとりもまた,目が離せません。彼らインターンが,失敗しながらも,医者として成長してゆく感動も,一応味わえるようになってるし。

当分,映画鑑賞の合間にレンタルを続けそうです。

2008年4月17日 (木)

ロンリーハート

Cap023
1940年代のアメリカで,実際にあった連続殺人「ロンリーハート事件」の映画化。私の好きな題材であるし,俳優さんもいいので,DVDリリースを楽しみにしていた作品だ。

あらすじ 1951年3月8日。ニューヨークのシンシン刑務所で、アメリカを震撼(しんかん)させた凶悪な殺人犯、レイモンド・フェルナンデス(ジャレッド・レト)とその恋人マーサ・ベック(サルマ・ハエック)の死刑が執行されようとしていた。しかし、彼らを逮捕した張本人であるエルマー・C・ロビンソン刑事(ジョン・トラヴォルタ)は、浮かない顔で執行を見つめていた。・・・・・(シネマトゥデイ)
Cap032
このような凶悪犯罪を,カップルでやり続けるというのは,珍しいような気がする。レイとマーサ。彼ら二人が出会わなければ,このようなおぞましい犯罪は,スタートしてなかったかもしれない。

寂しい戦争未亡人をひっかけて,財産を奪う,結婚詐欺師のレイ。おそらく根っからの小悪党なんだろうけど,マーサと組むまでは,彼は殺人者ではなかった。騙した女性を惨殺するようになったのは,マーサがレイと女性の関係を激しく嫉妬したからだ。

・・・・このあたりの心理は,常人には理解できないし,もちろんしたくもない。
最初の殺人のシーン,行為中の二人に忍び寄って,女性の頭を背後から殺す場面は凄かった。

「愛しているから,殺した」「人殺しをするほど人を愛したことがある?」と逮捕されたマーサがロビンソン刑事に言うが,それはちょっと違うんじゃないかなぁ。愛ではなくて,狂気じみたエゴイズムにすぎないのではないか?

この二人はどちらもどうしようもない人間だけど,レイよりマーサのほうが,より邪悪で激しくてクレイジーなものを持っていたように感じる。きっと,そうならざるを得ない生育暦があるのかもしれないが・・・・。

サルマ・ハエックは情熱的な役が多い女優さんだけど,こんな筋金入りの悪女を演じる彼女は初めて。もちろん,すごくハマってました。
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そして,レイを演じたジャレッド・レト。
『アレキサンダー』で,コリンの恋人役を演じたときの優しい感じが記憶にあったので,殺人犯の役など似合わないというイメージを持っていたのだが・・・・・ところがどうして,彼はソフトでお洒落な雰囲気の詐欺師と,冷酷な殺人者の二つの顔を持つレイを,うまく演じていた。

それにしても,up の画像のように,美しい前髪を持っている彼が,この役のためにわざわざ前髪をゴッソリ引っこ抜かれて(痛そう!)サザエさんの波平みたいな禿げ頭にしたそうだ!実在のレイがそんな頭だったからだが・・・・・。凄い!役のためにそこまでやるか?監督さんも,はじめから毛の薄い俳優さんを起用してあげればよかったのにね。(○ュード・ロウとかさ)
Cap026
彼らを執念で追い続け,死刑をも見届けるロビンソン刑事。実は彼は,監督さんのお祖父さんに当たるそうだ。なるほど,この作品にかけた監督さんの思い入れは並々ならぬものがあったに違いない。

・・・・にしても,トラヴォルタって
こんなに太ってたっけ・・・・?pig

ロンリーハートという題は,被害にあった女たちが,戦争未亡人やオールドミスなど「寂しい女たち」だったからだが,レイとマーサの深い闇のような孤独をも指しているのだろう。

他人とは分かり合えない,似たもの同士の彼らが出会って,互いのありのままを受け入れ,愛し合った。しかし,それはゆがんだ愛であり,この二人は,社会に害をなす,世にもおぞましい取り合わせであったと思う。

極悪な犯罪者の心理は,理解できないものが多いけれど,この事件の犯人たちの動機は,今まで観たものの中でも,最も共感できなかったかなぁ。・・・・・

2008年4月14日 (月)

ほろ酔いシネマ

Ffoo_126 私は,お酒は普段は 
あまり飲まないけど
飲めばけっこう強いほうだ・・・・confident
ワインなら,
ボトル1本くらい一人で開ける。

おおぜいで飲むよりは,夜更けにひっそりと,ひとりワインや,ひとりビールをたしなむのが好き。

・・・・特に週末の夜は,1週間の疲れを癒す意味で,ゆっくり,まったりと(太るのでつまみはなしで)グラスを傾けることが多い。特に,DVD鑑賞なぞしていて,劇中にお酒が登場すると,自分も真似して飲みたくなる。

インはチリワインがいい。ほんと,美味しいよ。何でも,その昔,チリに移植されたブドウは,その後,ヨーロッパでブドウが病気になって全滅したときも被害に合わなかったので,当時のままの美味しいワインができるらしい。

そして,ビールはベルギー・ビールがお気に入り。旨みとコクがあって,まろやかで,アルコール度数も高めなので,気持ちよく酔える。
好きな銘柄は・・・・・
Topchimay21 シメイビール
ベルギーのトラピスト修道院で製造されているビール。
Hoegdn_k ヒューガルデン禁断の果実
濃厚でフルーティな味わい。スパイスも入ってる・・・。しかし,なんというネーミング。

そして,お酒の友でもある映画・・・というか,
観てるとお酒が飲みたくなる映画は・・・。

プロヴァンスの贈りもの ワインが断然飲みたくなる!
バベットの晩餐会
 これもワイン,というかフランス料理が主役の映画なんだけど。
傷だらけの男たち
 アル中の金城さんが飲んでいたウィスキー。
↓の画像にあるように,とても美味しそうだ
Cap018

そして,ウィスキーといえば,やっぱりBBM.。
ウィスキーのまわし飲み,やってみたい
・・・・ああ,ヒース・・・。
Cap147

ちょっと変わったお酒は,鮮やかな緑のアブサン
Cap020
太陽と月に背いてや,フロム・ヘルで登場した,強烈なお酒。もちろん私は飲んだことはないけど,どんな味かしら?

あと,アイルランド映画を観ると,ギネスが飲みたくなるんだよね。ちなみに,洋画中心のワタクシ,お酒のほうも,日本酒はまるきり飲みませぬ。

ほろ酔い気分で映画を観て,いつもは絶対ゆるまない涙腺を,わざと酔いにまかせて全開にする。人生,長いこと生きてきたら,あんなことも こんなこともあるわけで,大人だからこそ,口に出しては言えない 悩みや痛みもあるわけで,常日頃,心の奥にしまっていた鬱憤を,涙といっしょに気持ちよく流し去ってしまうひとときって,必要だと思う。

それでは,皆さん・・・・
Han
     チアース!

2008年4月13日 (日)

ダブリン上等!

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・・・・・少し古い作品だけど皆さん,これ,ご存知ですか?すっごく面白いですよ〜happy02

アイルランドのダブリンで,どん底人生から這い上がろうとする「負け犬人生」の人々の,おかしなおかしな群像劇。主要登場人物は,冴えないスーパーの店員や,バスの運転手,銀行マン,やさぐれ刑事,小悪党,男性不信の女性,夫に出て行かれた妻などなど・・・・。

彼らそれぞれの,不器用きわまる生き方と,
少し常軌を逸した行動。

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職場を解雇されたり,自分を捨てた夫を見返そうといろいろやってみたり,けちな銀行強盗をたくらんだり,仕事に熱中するあまり孤立したり・・・・
みんな,少し愚かだったり,思慮が足らなかったり,不運だったりして,全員が自分の置かれた状態に多かれ少なかれ不満を抱いている。

前半は,ばらばらに同時進行してゆくかのように見える彼らの物語が,後半は滑稽に絡み合いながら,ラストへと見事に収束していく,「笑える」犯罪映画だ。
主要登場人物が11人という多さ。よく,こんなややこしいストーリーを成功させたなあ,と脚本家の腕に感心した。

キリアン・マーフィ目当てで観たのだけど,「小悪党を地そのままで演じてる」ようにしか見えないコリン・ファレルのハジケぶりimpact に釘付けになった。

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彼が演じたレイフは,冒頭,甘い言葉でレジの女店員をくどいた後,いきなり彼女の顔面を殴ってpunch 強盗をやらかすようなチンピラである。ちょいワルな表情や,だらしなく崩れた服装や仕草が,コリンにすっごく似合ってて,アレキサンダー大王役より,こちらのコリンの方が100倍もハマってて魅力的だ。

お目当てのキリアンは、この作品ではまったく普通の平凡な青年ジョン
彼は,思ったことを口に出すのが苦手なたちで,恋人のディドラと別れる羽目になり,その腹いせもあって,レイフが持ちかけた銀行強盗の話にのってしまう。

彼が大好きなブラウンソース
なんとwobbly 紅茶にまで!入れて飲んでいた。紅茶の入ったカップに,ソースをぶちゅ〜っとタップリ入れて,スプーンでぐるぐる・・・・。それをキモそうに見ていたレイフにもすすめ、半信半疑だった彼も,「マジでうめえゃ」とハマってしまう。

へぇー、どんな味かしらん?と興味をそそられて,私も紅茶に,お好み焼きソースをいれて飲んでみた。(ブラウンソースがお好み焼きソースと同じ味かどうかは知らないけど)
ん〜〜,・・・・・・甘酸っぱかった。catface

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物語が終わってみると,登場人物の大半が,最初よりほんの少し,自分の人生を希望あるものに変えていた。・・・・・恋人とよりを戻したり,自信をつけたり,えらく強気になったり・・・・もちろん例外もあるけれど。(レイフのように。)

それにしても,この映画の邦題「ダブリン上等!」は,作品の雰囲気にぴったりで,お見事だと思う。原題は「inter Mission」(幕間,とか休憩時間という意味)なのだから。
あと,ストーリーと同じく,はじけたノリノリの音楽note が,とってもクールだ!

2008年4月11日 (金)

ダークナイト(公開予告)

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朝、出勤前に観たテレビで「ダーク・ナイト」が8月公開されると報じてました。ちらっと映った予告編のヒースのジョーカー。鳥肌が立つような 鬼気迫る演技。さすがだなあ,ヒース・・・・と感じると同時に,やはり込み上げてくる悲しさに,しばし浸ってしまいました。

そう,やっぱりもう,
この世にはいないんだなあ・・・と。
この作品をあとに残して,
逝ってしまったんだなあ,と。


ヒース自身、どんなにか公開作を観たかっただろうな,と思うと切ないですね。きっと,関係者も同じ思いかと。

私も,劇場でひとり,大泣きしてしまいそうな予感もしますが,命を削るような 彼の渾身の演技。どんなに辛くても,しっかり見届けたいと思います。

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あんなにも,
演じることに 全身全霊を傾けていた彼の作品を観て,その演技に酔いしれ,いっぱい感動したいです。きっと天国のヒースも,それを一番喜ぶと思うから。

しかし、私はなぜか,このバットマンシリーズはどれも未見なので,ダーク・ナイト公開までに,これまでのバットマンシリーズを観とかなきゃ。そもそも,バットマンに関する知識が皆無なので,予備知識がいりますよね。

2008年4月10日 (木)

ラスト、コーション/原作の世界

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アン・リー監督作品ラスト、コーションの原作者は,張愛玲(アイリーン・チャン)という上海生まれの女流作家である。この映画の日本公開がきっかけで,「色・戒」(ラスト、コーション)を含んだ彼女の短編集が,初めて日本で翻訳されたそうだ。(集英社文庫。定価495円)

そう,あの重厚で濃密な「ラスト、コーション」の原作は,文庫本にしてわずか50ページほどの短編なのだ。映画化されるにあたっては,原作にはない,多くの付け加えられたストーリーや,人物像への深い書き込みがあったようである。

原作も映画も,ともにイー家で婦人たちが優雅にマージャンに興じているシーンから始まる。女流作家だけあって,女性の容姿や,衣装の描写はさすがにきめ細やかだ。たとえば,チアチーについては,「・・・薄化粧のなかで,入念に彫刻されたような薄い唇には,そこだけルージュがきらきらと光って,赤いしずくがしたたり落ちてくるようになまめかしい・・・」とある。
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その後,映画はクライマックスの宝石店のシーンに至るまでの間,チアチーの回想シーンなどに多くの時間を割き,彼女が愛国劇に出演していた学生時代から,イーの愛人となって命がけのスパイ活動をするようになるまでの道のりや、彼女を取り巻く人間模様を丁寧に描いている。

しかし,原作のほうは,この後すぐに宝石店の「逃げて!」(原作では『早く行って!』だが)のシーンになり,その場面にのみスポットを当てていた。(もちろんそこに至るまでの過去のいきさつも,ところどころ,必要最小限に,散りばめられてはいるけれど,)

原作の登場人物と,映画の登場人物は,少し雰囲気が違っている。
チアチーはそんなに大差がないように思えたが,イーは,『ネズミを思い起こさせる顔』の小男となっていて,老獪で油断のならない男,という印象が強い。この映画のトニーは,それまでのイメージとは別人のように「嫌な奴」という雰囲気を漂わせていたが,なるほど,あれは原作にかなり忠実だったわけである。
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一番原作と違うのは,活動のリーダー,ユイミンの描き方。彼のキャラクターや,物語への絡み方は原作ではとても記述が少ない。ほとんど名前だけの登場人物に近いのだ。映画では,彼とチアチーの間にはプラトニックな恋心が互いに存在していた設定になっていて,愛する女性に危険な任務を負わせるユイミンの鬱屈した感情や,チアチーの揺れる思いなども感じ取れる演出がされていて,物語に切ない奥行きを与えていた。

そして,一番気になった,チアチーを処刑したイーの気持ちは・・・・。これも,原作と映画では,少し色合いが違うように思えた。

私は映画を観て,このときのイーの複雑でつらい気持ちをいろいろと想像して,切なさに胸を締め付けられたものだが,原作のイーからは,「ふてぶてしさ」や「安堵感」のようなものも感じられて,「えー?」と思ってしまった。

だって,映画のトニーの演技からは,そんな雰囲気は微塵も感じられなかったから。
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「計画は,実に綿密,周到だった。ただ,美人が急遽,計画を変え,この俺を逃がしてくれた。彼女はやはり俺を心底,愛していたんだ。・・・(中略)・・・・彼女は死ぬ前に,きっと俺を憎んだに違いない。だが,『毒なき者,男にあらず』だ。このような男でなければ,彼女だって愛してくれなかったはずだ。・・・・(中略)・・・・彼女の影が永遠に俺の傍にいてくれて,慰めてくれるだろう。彼女は俺を恨んだに違いない。俺に対する感情が最後にいかに強烈にどのようになっても,それはどうでもいい。ただ感情があったことは間違いないのだ。二人は原始的な猟師と獲物の関係,虎と虎の手先の関係,究極の専有関係に他ならなかったのだ。彼女が生きていれば俺のもので,死ねばその亡霊も俺のものだ。(原作より引用)


どうです?この強烈な独白。
このような愛し方で満足する,
イーという男。


これを,もし台詞でそのまま語られたら,映画の印象はまた違っていただろう。

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リー監督は,確かに二人の間の『猟師と獲物のような,究極の専有関係』を,あの過激な性愛描写で,しっかりと表現してみせたのかもしれない。しかし,ラストの悲劇に対する,ふたりの感情の解釈や脚色は,リー監督独特の,切ない味付けが,ふんだんになされていたように思う。

監督や俳優の力量で,映画は,原作を素晴らしく底上げし,何重にも深みを増したものに仕上げているように感じた。

2008年4月 8日 (火)

猫のあだ名

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私は,飼ってるペットに,
ヘンなあだ名をつける癖がある・・・・。

以前飼ってた文鳥は,たしか「ピピちゃん」という可愛い本名があったのだが,文太というあだ名でばかり呼んでいた。そしたらある日,文太がいきなりタマゴを産んで,びっくりした。

「はぁ~~,アンタ,女の子だったの~?」
・・・・・なのに文太なんて,男名前で呼んでいた・・・・sweat01 それでも面倒くさくて,それからも文太と呼ばせてもらいましたケド。

で,うちの猫の本名は,「なな」。
いつのまにかついたあだ名の方は,「どちべえ」という。え?なんで「どちべえ」かって・・・・?coldsweats01

なんでそうなったんだっけ・・・廊下をどたどたdash 走ってたからかもしれない。どちべえ」と呼んだり「どっちゃん」と呼んだりひどいときは「おどち」とか・・・・本名の「なな」の出番はあまりない。人前で呼ぶときは,さすがに「ななちゃんnote」と呼ぶけどね。いや,決して嫌がらせでやってるんではなくて,可愛いのでついヘンな名前で呼びたくなる,Sっ気のある飼い主なのだ。

それでも「なな」でも「どっちゃん」でも,どちらでも,猫は面倒くさそうに,シッポをひと振りして,お返事してくれる。
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・・・・呼んだ?

なかなか,愛(う)いヤツじゃ。

2008年4月 7日 (月)

迷子の警察音楽隊

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迷子の警察」という,あってはならない取り合わせ。おまけに「音楽隊」という何やら愉快げな言葉までくっついた題名に,とっても興味をそそられて鑑賞。頭の中には,なぜか「ブレーメンの音楽隊note」のラブリーな映像が浮かんだりして。そのあらすじは・・・

文化交流のため、イスラエルにやって来たエジプトのアレキサンドリア警察音楽隊のメンバー8人。しかし、空港には迎えもなく、団長(サッソン・ガーベイ)は自力で目的地を目指すが、なぜか別の街に到着してしまう。途方に暮れる彼らを、カフェの店主ディナ(ロニ・エルカベッツ)がホームステイさせてくれることになり……。(シネマトゥデイ)

全員が,鮮やかなセルリアン・ブルーの制服を着こんだ音楽隊のメンバー。だだっ広い異国の地で,楽器とともにぽつんと取り残されて,それでも生真面目に整列している彼らの姿からは,冒頭から,哀愁の混じった可笑しさが漂う。
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対立する宗教と、異なる文化や風習をもつ,エジプトとイスラエル。ホテル一つない僻地の町で,見ず知らずの異国の家庭に一晩やっかいになるなんて,泊まる方も泊める方も,最初はさぞ居心地が悪かったに違いない。

音楽が彼らの心をつなぐ架け橋となって,ほのぼのと心あたたまるひとときが訪れる・・・と言うような展開になるのかなと思ったら,いや,別にそこまでの展開にはならなかった・・・sweat01 えっ?そんなハナシじゃないのか・・・wobbly

彼らと,投宿先の家族との間に流れる,ぎこちない空気と,すれちがう会話。いっしょに知っている歌を口ずさんだりして,一応うちとけようと努力を試みるが,劇的な盛り上がりもないまま,気まずい夜は更けてゆく・・・・。あ~あ。

しかし,中には控えめだけど,心のあたたまるエピソードもある。イケメン警官が,オクテのイスラエル青年のダブルデートに同行し,彼に恋の手ほどきを教えるシーンは,とても微笑ましく,優しさとユーモアが込められた場面だった。

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また,頑なで感情を見せない隊長が,慣れない英語でディナと会話を重ねるうちに,自分のもっとも触れてほしくない「家族の死という封印した哀しみ」を告白するシーンは,じーんとした。

見ず知らずの相手だから。別世界の住人だから。
かえってプライドも捨てて
弱みをさらけ出すことができたのだろうか。

国が違っても,生きてきた歴史が違っても,信じる神様が違っても・・・・れもがみんな,それぞれの痛みや幸せを抱えて,懸命に生きていて・・・・。そして,同じ人間だからこそ,国籍を越えて互いに癒し合うこともできて・・・。

彼らのささやかな人生が,ほんの少しだけ交錯した不思議な夜が明けて,無事に行き先にたどり着き,演奏をする彼らの映像で,物語は幕を閉じる。誇らしげに指揮をとる隊長のもと,彼らの国の音楽が高らかに響く。彼らの奏でる音楽の調べは,きっと昨夜の交流のおかげで,より美しく冴え渡ったのではないだろうか。

淡々としたストーリーにもかかわらず,鑑賞後に,じわじわと心が満たされる作品。カンヌで審査員を魅了し,「一目惚れ賞」を獲っただけのことはある。

2008年4月 4日 (金)

アレックス・ライダー

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史上最強のティーンエイジャー・エージェントアレックス・ライダーの痛快スパイ・アクション!DVDcdで,彼のルックスに惹かれて鑑賞lovely

イギリス発,まるでモデルのように美しい14歳の金髪碧眼のイケメン・スパイの登場だ。私のお気に入りのギャスパー・ウリエル風のお顔である。

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アレックス(アレックス・ペティファー)は,ある日,謎の死を遂げた叔父のイアンが英国諜報機関の諜報員だったことを知る。彼自身も幼い頃から,語学や格闘技などスパイに必要な技術を教え込まれていたアレックスは,その能力を買われ,史上最年少のMI6諜報員になる・・・・。

アレックスの叔父役のユアン・マクレガー。「ミス・ポター」の時同様,結構アッサリと死んでしまう役。特にこの作品では,登場とほぼ同時に死んじゃう役だ・・・sad

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叔父の跡継ぎをするような感じでスパイの仲間入りをしたアレックス。少年スパイが主役だから,カーチェイスも車ではなく,自転車やバイクを使い,いかにも子供が喜びそうな,おもちゃのようなスパイ・グッズも盛りだくさん。

そして彼を取り巻く上司や敵などは,コメディタッチで描かれていて,とっても軽いノリで楽しめるように作られている。
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おとぼけビル・ナイやら・・・・

Cap030
キモいミッキー・ロークやら・・・

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ミルキーの「ペコちゃん」そっくり・・・

そして,アレックス君は,もちろん美しいだけでなく,アクションも凄い。走ったり跳んだり宙返りをしたりと,鮮やかな離れ業を見せてくれるのだが,どんな激しいアクションの場面でも,やはり貴公子のように美しいんだな,彼の顔が・・・・。スパイの顔としては不自然に感じるくらい。
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まだ14歳だから,もちろんお相手にセクシーなボンドガールなぞ出てこず,健全なもんである子供むけのミニ007,といったらいいか,アレックスはどんな危機もわりとアッサリとクリアして,満身創痍なんかにならないし,第一,敵がそんなに怖くない。(今回のミッキー・ロークは,怖いどころか笑えるキャラだった)

とにかく肩の力を抜いて楽しめた。爽快!の一語に尽きる。ラストの雰囲気からは,続編もありそうな感じだけど,どうかな。

う~ん,観なくても別に困らない作品だけど,観ても損はない,無難な面白さがあったかな・・・。めちゃ若くて美しい少年スパイが見たい方(←それは私です)には,是非オススメ。
Cap056
・・・・きれ~いheart04

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