魔法にかけられて
ディズニーだしぃ,お子様向けだしぃ~ と,鑑賞を後回しにしていたこの作品。世間の評判がすこぶるよろしいのを耳にして,本日鑑賞してきた。そしたら・・・
これがまた,お見事!のひとことに尽きる 素晴らしい作品だった 楽しくて,可笑しくて,可愛くて,ちょこっとほろりとして・・・・子供だけではなく,大人もみんな文句なく楽しめる,そして鑑賞後は素直に幸せな気分になれる,そんな愛すべき作品。
童話の国のお姫様ジゼルは,婚約者のエドワード王子の継母に,深い井戸の底へ落とされる。そこはなんと現代のニューヨークにつながっていた・・・!
もしも,童話の中のプリンセスやプリンスが実写となって現代に現れたら・・・・?童話キャラと現代人。互いの価値観はまったく違い,かみ合わない会話やトンデモなリアクションが引き起こす大騒動が,なんとも可笑しい。
心優しく,動物に囲まれて,歌とダンスと,恋への憧れで生きているようなお姫様のジゼルと,白馬を颯爽と乗りこなし,同じく愛する女性に忠誠を誓うエドワード王子。童話の世界ではとても素敵に見える彼らも,現代社会に放り込まれると,ただの「イカレたコスプレ人間」にしか見えない。
ひょんなことから,ジゼルを居候させる羽目になったロバート とのやりとりを通して,ジゼルは現実社会のあれやこれやを体験する。童話の世界でしか通用しない彼女の風変わりな言動は,あるときはみんなを困惑させ,またあるときは反対にハッピーにさせる。
出会いとともに恋に落ち,「いつまでも幸せに暮らす」ことのできる童話の世界。それに比べて互いを知り合う期間が存在し,「いつまでも幸せに暮らす」ことができるとは限らない現実の世界。童話の世界では感じたことのない,怒りや哀しみといった複雑な感情。
歌い,踊り,夢見るだけのお姫様だった彼女が,次第に現実世界の感覚を身につけていき,ロバートに抱く感情もまた変わってゆく・・・・・。
童話キャラを演じた役者さん,
みんな素晴らしかった。
ジゼルを演じたエイミー・アダムス。もともと愛くるしい女優さんだけど,彼女の身ごなしが,まさにディズニーアニメの,お姫様の動きそのものなのだ。(絶えず踊っているような軽やかな歩き方とか,両手の指を優雅に反り返らせてしゃべる癖とか,可愛らしく見開いた瞳とか)
エドワード王子(ジェームス・マースデン)もまた,非の打ち所の無い,ながーい足とか,能天気に見えるほどのお人よしスマイルとか,「いるいる,こんな王子様」と膝を叩いて納得。このエドワード王子の,底抜けにいいヤツなんだけど,ヌケてるキャラというのがとってもよかった。
歴史に残る王子様などは,もっとしっかりした御仁でないと務まらないだろうが,お姫様に求婚するためにだけ登場する童話の王子様って,きっとこんな風に,単純にいいヤツなんだろうなぁ。
ナサニエルを演じたティモシー・スポールに至っては,演技なんかしなくても,もともとのお顔が,童話の世界の住人のようだ。
そして何といっても一番のヒットは,役者ではないが,ジゼルを助けようと奔走する,リスのピップ。現代ではしゃべれなくなってしまい,懸命にパントマイムで意志を伝えようとする,その仕草の可愛らしさと可笑しさに,笑った,笑った!そしてまた,そんな必死のパントマイムが,察しの悪い王子に全く伝わらないので,また笑えた。笑いを噛み殺しながらの爆笑だったので,最後は涙が出て悶絶しそうだった。
ラストはちょっと意外な展開(でも,なんとなく予想はできたけど)が待っていて,スーザン・サランドン演じる魔女とのバトルシーンもあって,結局はみーんなが幸せになって・・・・。
冒頭とラストを飾る「飛び出す絵本」の仕掛けも素晴らしかった。ここらへんの完成度の高さは,さすがディズニーだ。
オーケストラ仕様の華やかなテーマ曲に包まれるエンドロールの間,なかなか立ち上がる気になれず,沸き起こってくる「幸福感」にしばらく身をゆだねておりました・・・
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