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2008年2月の記事

2008年2月29日 (金)

追悼ヒース・レジャー/サハラに舞う羽根

Cap033_2 
これは、ひとりの青年士官の,愛と友情を描いた物語なのか?それとも彼の命を賭けた成長物語なのか?

物語の舞台はヴィクトリア朝の大英帝国。エリート士官のハリー(ヒース・レジャー)は、美しいエスネと婚約したばかりで軍人としての将来を嘱望されていた。そんな時、植民地・スーダンの暴動を鎮めるために、ハリーの部隊に出征命令が下る。しかし、戦うことに疑問を抱いたハリーは、軍を除隊し、3人の友は臆病者を意味する白い羽根をハリーに送りつけ、婚約者のエスネまでもが4本目の羽根を残し去っていく。憔悴したハリーのもとに届く、スーダンでの苦戦の知らせ。友の命が危険にさらされていることを知ったハリーの脳裏によみがえるのは、親友ジャックの「君になら僕の命を預ける」という言葉。ハリーは、4本の羽根を懐に,スーダンへと旅立つ。
Cap015_3 
キリストみたいなんですけど。


エリザベス・シリーズ
の監督の作品だし、原作も有名らしいのだが・・・確かに壮大で息を呑むほど美しい映像や,起伏にとんだストーリー展開など,見所は満載だったが,主役のハリーの性格や,行動の理由などが,私には今ひとつわかりづらく,そのせいで物語の冒頭からずっと,完全にその世界に入り込めなかった作品だったのが惜しい。

彼は優秀な軍人だったのに,なぜ戦地に赴くのを頑なに拒んだのか?「恐怖」のせいだと,彼は言っているが,後の彼の砂漠での捨て身の行動を見ると,彼が臆病者だったとはとても思えない。彼自身も,恐怖の内容についてははっきりと説明していないし。英国の植民地支配のための戦いが主義に反したということもあったのか?         

それなのに,後になって艱難を乗り越えて,単身サハラに赴いたのは何故なのか?

大英帝国のためではなく,友の危機を救うために戦いたかったのか?それとも4枚の羽根が彼を導いたと言っているから,羽根に象徴されている臆病者の汚名を返上したかったのか?それは,英国人特有の誇り高さのせいなのか?

Cap022 この2点は,ものすごく大切で,2通りも3通りも解釈があっては困るのに,どうもその点に関するはっきりした答えが観客に提示されないまま,物語がすすんでいったように思う。ヒースの演技が悪いのでなく,脚本のせい?気持ちを表す台詞が,説明不足に思えたのだ。

ハリーが除隊を決心するまでの葛藤とか,羽根を受け取ってからの落ち込みようとか,苦悩する様はとても痛々しく,ヒースの演技は見事だったと思う。だからこそ余計に「何で最初から戦いに行かなかったの???そんなに苦しむなら」とその理由がずっと気にかかって・・・・。(この記事も最初から?マークだらけだが)ヒースはこの時,顔がやたらほっそりしていて,頬がこけてる感じが,痛ましいけど,美しかったなぁ・・・・

Cap012
サハラに行ってからのハリーは,まるで神か天使が乗り移ったかのように,強く,崇高な犠牲的精神に満ちている。現地人のふりをして(これ,結構似合う)傭兵として英軍に入り込み,荷運びなどの重労働をこなし,まぎれこんだ敵のスパイを追いかけて敵の作戦を見破ったりと,命知らずの大活躍を繰り広げる。挙句の果てには,捕虜になった友を救い出すために自分も捕虜収容所に囚われ,死ぬほどの目にあいながらも脱獄に成功したり・・・・。

それはそれで面白く,また,ラクダや馬を自在に操るヒースはため息がでるほどカッコよく,脱獄時に,砂丘の上を砂まみれになりながら繰り広げた死闘などは,手に汗を握ったけれど,どうも冒頭のハリーに抱いた「だから,何で除隊したの?」という疑問がずっと小骨のようにひっかかったままだったなぁ。

Cap029
書き込み不足と言えば,婚約者のエスネの人柄や,ハリーに対する愛情についても,イマイチはっきりしないように思えて,せっかくのケイト・ハドソンが魅力のないキャラに見えた。「自分の理想のためにハリーを愛していたんじゃないのか,彼女は」と思ってしまった。ま,4枚目の羽根をハリーに送りつけた地点で,私の中ではもう「何だこのオンナ」状態だったが。後で後悔してもねぇ・・・・。それにハリーの活躍を知ってからまたよりを戻すのもなんだか・・・。

彼女の気持ちの変化も,もっと深い台詞で表現されてたら,共感できたかもしれない。

Cap048_2_2
それに比べて,ハリーと親友ジャック(ウェス・ベントリー)との絆は心に沁みた。ラストの顔をさわるシーンは何度観ても好きだ。あそこで,ジャックが何も言わないのがまたいい。あえて言葉にしなくても,通じ合うものがこの二人にはある。ジャックの最後の演説は,やや蛇足っぽいけど。

この映画のヒースは,いろんな髪型やファッションを見せてくれますが,若いということもあり,どれもとても似合っていて素敵です。物語は長いし,途中マークに悩まされはしましたが,全編を通してヒースに見とれているうちに,終了した,という感じでしたね・・・・。私は。

2008年2月28日 (木)

猫の好きなミントティー

今年も花粉症の季節がやってきた・・・・・

私は杉花粉症とは,もう20年近くもの間,親しく おつきあいさせていただいているが,昨年から症状が出なくなった。きっと昨年から続けている岩盤浴のおかげだとは思うが,もしかして これきり縁が切れるかもしれない・・・・嬉しい限りだ。

Ffoo_121 それでも,この季節は花粉を持ち込まないよう、外から帰って来た猫の花粉を ビシバシはたきまくり,この期間は布団は干さないようにして,最低限の注意はしている。食べ物や飲み物も,解毒作用のあるものを心がけたり・・・・。抹茶が私の場合一番効いたが,ミントティーもそのひとつ。

ところが!

先日,目撃してしまった・・・・

うちの猫が,わたしの飲みかけのミントティーを飲んでるのを・・・・

それもテーブルの上におもむろに飛び乗って,何の迷いもなく。あんまり面白かったので,叱るのも忘れて写真なぞ撮ってしまった。
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おや,何する気?まさか

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これっ やめなってば

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あ~あ やっちまった

・・・・こいつ,もしかして,今までも隠れてこんなことやってたんじゃなかろうか?

飼い主が黙認したのをいいことに,わたしのマイカップは,この日以来猫のマイカップに・・・・・

くそぉ,今度,ビール
入れといてやろうかな?(冗談

2008年2月27日 (水)

知性と妖しさと/ギャスパー・ウリエル

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ときどき,フランス人になって
フランスに住みたいと思う・・・・。

フランスが好きだから,というのではなく,もっともっと,ギャスパー・ウリエルの出演作を観たいから・・・。フランスでしか公開されなかった作品を,思い切り堪能できるから。Cap060
初めて目にしたのは,かげろうイヴァン役。戦争の混乱に乗じて感化院を逃げ出し,美しい人妻と恋に落ちる痛々しいほど粗野で,孤独な青年を演じていた。

その次に観たのはロング・エンゲージメント。オドレイの演じたマチルドの恋人マネクの役。「かげろう」のときとは うってかわって繊細な心優しい青年の役で,最初は同じ人物とは 気がつかなかったほど。
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彼が美しさだけでなく,その演技力の確かさを証明して見せたのがハンニバル・ライジングでの若きレクター博士の役。名優アンソニー・ホプキンスのイメージが定着している レクター博士。

見た目ぜんぜん殺人鬼にみえない美青年の彼が,どう演じるのかと思っていたら,これがなかなか凄かった。仕草や立ち居振る舞い,しゃべり方,表情などがホプキンスそっくり。
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彼の全身から漂う,酷薄さ,不気味さ,そして狂気は,「羊たちの沈黙」や「ハンニバル」「レッド・ドラゴン」で目にした獄中のレクター博士から感じたものと同じだった。よっぽど研究したんだろう,ホプキンスの演技を。その熱意と,それを表現できるだけの才能に,脱帽
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まだ若いのに凄い俳優だ。
彼の好きなところは,深みのある低い声から感じ取れる知性と,その美しい表情からにじみ出る 一種独特の妖しさ。でも,何と言っても一番好きなのは,やはり 彼の演技の才能かもしれない。

パリ・ジュテームと,THE LAST DAYからこっち,彼の作品は日本ではリリースされてなくて,さびしい。一日も早く,何でもいいから,彼の作品が観れますように。ハリウッドで,また大作に恵まれますように。そう願ってるファンはきっと私だけでないはず・・・・だよね?
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2008年2月25日 (月)

マリオンおめでとう!第80回アカデミー賞受賞!

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マリオン・コティヤール主演女優賞をみごと受賞しました。 先日エディット・ピアフ~愛の讃歌で,その素晴らしい演技を観たばかりなので,深く納得しました。フランス人の主演女優賞は,1959年『年上の女』のシモーヌ・シニョレ以来,実に49年ぶりだそうで,授賞式のマリオンの感激は,ひとしおだったそうです。

彼女の演技はロング・エンゲージメントで初めて目にしましたが,死んだ恋人の復讐を果たすミステリアスな娼婦の役で,主演のオドレイより、ある意味印象に残る演技を見せていましたね。

プロヴァンスの贈りものでは,ラッセル・クロウが恋に落ちる,エキゾチックな美女の役。しなやかで素敵な女性を,爽やかに好演してました。そして受賞作のエディット・ピアフ~愛の讃歌~。本来の美貌を完全に封印して,ビアフその人になりきった迫真の演技に,すっかり圧倒されました。彼女がこの役作りに,どんなに心血を注いだか苦労が忍ばれます。

天分に恵まれた、
素晴らしい女優さんですね。
今後も応援していきたいです!

2008年2月24日 (日)

キャンディ

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DVDで鑑賞 
キャッチコピーは「ドラッグに溺れて愛し合い,傷つけあった恋人たちを描く,鮮烈なラブストーリー」・・・・正直,やりきれないほど痛ましいお話だった。

舞台はオーストラリア。恋人たちの名は,キャンディ(アビー・コーニッシュ)とダン(ヒース・レジャー)。この二人の性格や考え方や人生観が,この物語の大きな核だと思う。特にダンの。

キャンディは,若く美しく,みずみずしい女の子。彼女は厳格な母親にけなされながら育ったストレスや劣等感で,実は心の奥に傷を抱えているようにも見受けられた。

そして一方ダンの方は,・・・これは結構どうしようもない,オトコだ。優柔不断で,努力が嫌いで,こそ泥くらいは平気でやっちゃうくらい,道徳的な観念が欠如してて・・・。もちろん定職にもついてない。だらしない性格であることは,ルーズな服の着方からも一目瞭然。しかし,心根は優しく,愛情深い。ただし,自分にも優しいから,いやなことを我慢してまで生きるつもりはないらしい。

おお,こいつは・・・・
典型的な,だめんずではないか。(既視感が・・・・)
ただし,「悪気のない」だめんずだ。(だからと言って女性に及ぼす害が少なくなるわけでは決してないが。)
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1 天国
二人の恋人時代。ダンはキャンディにドラッグを教える。次第にエスカレートするふたり。楽しみ,愛し合い,何ものにも束縛されずに,生き生きと愛を謳歌する恋人たち。そりゃ,楽しいだろう。求めるものも,人生観も,よく似てるふたり。何の責任もなく,目的もなく,享楽的で,刹那的で。恋人たちの表情は,無邪気な幸福に輝いている。

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2 地上
結婚した二人。職につかないダンと,家事ができないキャンディの暮らし。まるで子供同士の結婚のように,生活能力ゼロのふたり。部屋はすぐにゴミ溜めのようになり,ドラッグを買うお金欲しさにキャンディは売春をするように。それでもダンは働かない。すさんだ顔でキレるキャンディを,情けなさそうに見返すだけ。・・・ああ。

やがてキャンディは妊娠し,おなかの子のために,二人はドラッグをやめる決心をする・・・・。それも二人で自己流に。しかし思ったとおり,禁断症状はそんな生易しいものではなかった。結局キャンデイの赤ちゃんは,この世で産声を上げることはできなかった。
Cap104
3 地獄
ドラッグに蝕まれ,壊れてゆくキャンディ。子どもが早産死してから,復活するドラッグ漬けの日々。田舎に引っ越しても,生活はすさむばかり。何も言い返さないダンに,憎しみと怒りの罵声を浴びせるキャンディ。彼女の言動は次第に常軌を逸するようになり,ついに入院する。

涙ぐみ,血走った目で「どうすれば・・・・?」と問うダンに「お前にできるすべてをしろ。彼女に必要なすべてを」と冷たく言い放つ義父。そこで,退院して訪ねてきたキャンディのために,ダンが下した最後の決断は・・・・・。
Cap115
DVDのパッケージに,この映画を「ベティ・ブルー」以来の衝撃!と記述してあったが,残念ながら,ベティ・ブルーほどの深みや凄みはない。あえておちゃらけた言い方を許してもらえるなら,これはドラッグの怖さを織り込んだ「だめんず君の成長物語」のように思える。

ラストでとったダンの行動は,「あんなの,たいしたことない」とも見えるかもしれないけど,だめんず君が愛する人から,自分で身を引くというのは,普通はなかなかできることではない。だめんず君の辞書には,「ストーカー」という言葉はあっても,「身を引く」という言葉は載っていないから。

彼女は俺のすべて」今までずっとそう思っていたダン。入院し,回復して彼の元を訪れたキャンディの瞳には,まだ彼への愛が宿り,自分も今は仕事についている。さあ,やりなおそう!とダンはなぜ言えなかったのか?
彼はやっと悟ったのだ。
自分といると,またキャンディが傷つくことに。

Cap079_2
二人の間に愛さえあれば,
必ずうまくいくなんて,幻想だ。

ダンも,キャンディも人並み外れて弱く,未熟な人間だから,この二人は,たぶんいっしょになっちゃいけない。自分をリードして,カバーもしてくれる,しっかりした相手を,お互いに見つけるべきなのだろう。幸せになるためには。

彼女を幸せにできるのは,俺じゃない。

それに気づくことができたなんて,あなたは偉いよ,ダン!成長したね。私には,そんな物語に思えて,かつてボロボロに傷ついたこの二人に,心の中で小さくエールを送った。
Cap125キャンディを演じた アビーが素晴らしい。「プロヴァンスの贈り物」や「エリザベス・ゴールデンエイジ」での彼女は,ただ美しいだけで,あまり演技力を発揮する場が無かった印象だけど,この作品の彼女は,ドラッグの禁断症状に苦しむ壮絶な演技とか,とても上手い女優さんだなあ,と思った。

そしてヒースは・・・・。またまた別人格の彼を見せてもらった。無邪気で,気弱で,恋人に手も上げれないほど優しいくせに,売春なんかは平気でさせる,どうしようもない,だめんず君。おどおどした目や,情けなさそうな微笑や,子供みたいな一途だけど幼稚な愛し方や・・・・。
根は善人なんだけど,人に迷惑ばかりかけていて,愚かでどうしようもない人間だけど,憎めない,そんな難しい役ができるなんて。
ヒース,あなたも,
ほんとに偉かったんだね。

2008年2月23日 (土)

スターのお仕事バトン

いつも あたたかくって素敵な記事を書いておられる「+++ Candy Cinema +++ 」のAnyさんから,スターのお仕事バトンをいただきました。Anyさん,いつもありがとう~~

これ,とても楽しそうなバトンですね~  
さっそくいってみたいと思います。

1. 映画に出てくる「刑事」といったら誰?

 「犯罪者の事情に同情する人情刑事」
刑事だって人間だ!犯人に同情して何が悪い!
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「砂の器」
丹波哲郎

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ブレイブ・ワン」のテレンス・ハワード
彼のラストの選択はもちろん賛否両論ですけど・・・・・。



2 .映画に出てくる「犯罪者」といったら誰?

「更生はムリムリ!」編
・・・・だって僕たち どうしてもやめられないんだもん,
楽しくて・・・
Cap017 
ハンニバル・ライジング」を演じたギャスパー

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パフューム~」のベン・ウィショー


「あ~あ,やるつもりじゃなかったのに~」編
・・・・あれよあれよと言ううちに,気がついたら連続殺人犯!いまさら後へは引けません!
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「ファーゴ」ウィリアム・H・メイシー

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リプリー」のマット・デイモン



3. 映画に出てくる「弁護士」といったら誰?


「不可能を可能にする熱血」編
 花も嵐も踏み越えて~~ 
正義のためにエンヤコラ
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「評決のとき」マシュー・マコノヒー
マシューは「アミスタッド」でも,正義のために闘う弁護士をやってます。(似合う!)あと,このジャンルは「告発」クリスチャン・スレイターとか。
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「父の祈りを」エマ・トンプソンとか。


 「依頼人にしてやられた」編
依頼人に騙されたおまぬけな弁護士?いえいえ,依頼人(エドワード・ノートン)が一枚も二枚もうわ手だっただけで,ギア様,決してあなたのせいではありませんとも・・・。
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「真実の行方」
リチャード・ギア



4. 映画に出てくる「医者」といったら誰?

「昔から医者ってなかなか大変」編
麻酔なしで自分で自分を手術したり,革命の動乱にまきこまれたり・・・・・ねぇ?
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「マスター・アンド・コマンダー」ポール・ベタニー
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「ドクトル・ジバゴ」オマー・シャリフ

5. 映画に出てくる「大統領」といったら誰?

「へ~,大統領ってこんなこともできるんだ」編

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「インデペンデンス・デイ」ビル・プルマン
・・・自国だけでなく,アメリカ大統領は地球の危機も救える
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「ピアノを弾く大統領」アン・ソンギ
大統領だって,ピアノも弾けりゃ,恋もする。


6. では、この人の
「大統領」役を見てみたいと思うのは誰?

205 
ロバート・レッドフォード!!

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・・・・か,ローワン・アトキンソン・・・・。



7. 最後に、映画に出てくるちょっと変わった職業で印象に残ってるのは何?

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悪霊喰」でヒースが演じた罪喰いとか

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「ジョー・ブラックをよろしく」
ブラピが演じた死神とか・・・・・。(こんなんも職業と呼べるなら)


8. バトンを回す人たち
まだ決めれないので,後でお伺いしますね!また,興味のおありの方はどなたでもどうぞ!

≪コピペ用≫
1.映画に出てくる「刑事」といったら誰?
2.映画に出てくる「犯罪者」といったら誰?
3.映画に出てくる「弁護士」といったら誰?
4.映画に出てくる「医者」といったら誰?
5.映画に出てくる「大統領」といったら誰?
6.では、この人の「大統領」役を見てみたいと思うのは誰?
7.最後に、映画に出てくるちょっと変わった職業で
 印象に残ってるのは何?
8.バトンを回す人たち

2008年2月22日 (金)

傷だらけの男たち

Cap001  クールで切ない映画の内容に比べて,邦題のセンスのなさには,やや不満を感じるけれど。さすがインファナル・アフェアの アンドリュー・ラウ監督作品だけあって,美しくスタイリッシュな映像,緊張感や切なさを効果的に盛り上げる洗練された音楽,そしてトニー・レオン金城武の二人のセクシーな男たちの,哀切でスリリングなストーリーに酔いしれた2時間だった。
Cap002
トニーの演じるヘイと,金城の演じるポン(←子ダヌキみたいな名前だね)は,警察の上司と部下の関係だった。しかしクリスマスに恋人に自殺されたポンは,それ以来警察を辞め,私立探偵に転身,悲しみを忘れることができず,酒浸りの毎日を送るように。一方ヘイは富豪の娘スクツァンと結婚し、幸せな生活を送っていたが,ある日スクツァンの父チャウとその秘書が,自宅で何者かに惨殺される。

容疑者の二人のチンピラは,仲間割れのため数日後に遺体で見つかったが,「真犯人は他にいる」と疑いを持ったスクツァンは,ポンに調査を依頼する。殺されたチャウの過去をたどるうちに,ポンは彼がマカオである一家を惨殺したことを知る。一方,スクツァンの命もまた何者かにねらわれ・・・・。
Cap038
これは,心に深い傷を負った二人の男たちの物語。
一人は最愛の恋人に,ある日突然自殺されてしまった男,ポン。もう一人は,少年時に家族を目の前で惨殺され,人生の全てを瞬時に奪われた男,ヘイ。

彼らの傷は深く,(どう考えても,ヘイの傷の方が深いとは思うが)その痛みから逃れるために、また傷を癒すために,片方は酒に溺れ,もう片方はその一生を復讐にかけた

ヘイは復讐を遂げるために,自分の過去を隠し,憎い敵チャウの娘を妻にして義父に近づく足がかりとし,目的を達した後は,妻の命まで奪おうと試みる。(・・・いやはや,すごい方法だ。いくらなんでも,もっと手軽にできなかったのか?

それに目的のためとはいえ、憎い仇の娘となんか,結婚する気には,なかなかなれないものだが。恨みが激しく傷が深いほど,復讐への執念は常人には理解不能なほど膨れ上がるものなのだろうか。
Cap013
ヘイを演じたトニー・レオンは初の悪役

過去を隠し、周囲を欺いている彼は、相反する二つの顔を持つ。よき社会人、よき夫である善人の顔と復讐者,殺人者としての悪人の顔

その表情の演じ分けが見事だった。ポンや妻に見せるのは善人の柔らかな笑顔。しかしひとたびその仮面を脱ぐと,その下に暗く険しい一匹狼の表情が現われる。じっと動かない石のような表情の下に,秘められた決意が,常にめらめらと燃えているような感じだ。そして復讐を決行するときの彼の表情は,まさに冷徹そのもので背筋が寒くなる。
Cap014_2
また,実際に酔って演技をしたともいわれている金城武は,その端正な顔が自暴自棄な悲しみにすっかりすさんでいるのに,これまで観た彼の作品の中で一番美しく,セクシーに見えた。

二人の男のそれぞれの傷は,
物語の終わりには少しでも癒えることができたのか。


ポンの傷を癒したのは,思いもしなかった方法だった。恋人の死の原因になった恋敵を赦し,彼を見舞うことで,ポンは再生への道を歩きだす。傍らには底抜けに明るい新しい恋人の笑顔が彼を支える。
Cap023
しかし,より深い傷を抱えていたヘイの方はどうだろう。彼の策略によって昏睡状態に陥った妻が,実は仇チャウの実子ではないと後でわかり,ヘイは,たった一人の家族である妻を,自分が再び失おうとしている事実に愕然とする。いまさらのように,妻への愛に気づくヘイ。しかしどんなに献身的に看護しても,事実を知った妻は,もはや彼の愛を信じることを拒否して死んでいく。

インファナル・アフェアのように、この物語もまた,二人の男の生きざまを対比させて描いている。
憎しみを捨てることで,知らぬ間に傷を癒したポンと,
復讐を遂げることで,実はより深い傷を負ったヘイ。


復讐と赦しと,どちらの道がたやすい道だろう。
時には,赦す勇気を持つほうが,復讐するより,もっと困難な道ではないかと思う。しかしもし赦すことができたなら,そのとき初めて,ひとは他者から受けた理不尽な傷の痛みから解放されるのかもしれない。
Cap051_3
とはいえ,ヘイが選んだ道も責める気持ちにはなれない。たとえ心の平安は復讐によっては得られないとわかっていても,復讐によってしか晴らせない恨みもまたあるものだ。ヘイの場合はそれほどの恨みだったろう。彼の傷は,やはりポンとは比べ物にならないくらい深かったのだ。

事件の真相を
突き止めたポンが,病院の屋上でヘイと対決するシーンは,インファナル~の対決シーンを思い出した。(ただし,こちらはあちらよりずっと静かな対決だけど)すべてを包み隠さず話すヘイの心が,復讐を終えてもなお,より深い哀しみにとらわれていることを感じたポンは,黙ってその場を後にする。

鑑賞後に感じる,やるせない哀しさ,切なさをどう表現したらいいのか・・・。
しかし・・・なんだな。
Cap028
傷の痛みに耐えているイケメンって,セクシー


トニー・レオンは・・・・年齢を重ねるごとに,新しい魅力も重ねていってる気がする。これ,ハリウッドでリメイクが決定してるらしいけど,トニーのような,繊細な男の色気を出せる俳優さん,ハリウッドにいるのかな・・・・?
・・・・レオ? 健闘を祈る!

2008年2月20日 (水)

エディット・ピアフ ~愛の讃歌~

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あまりにも有名な,シャンソンの名曲「バラ色の人生」と「愛の讃歌」はもちろん知っていたけど,ピアフの歌声を聴いたのは,実は初めてだった。

・・・・衝撃だった。
彼女の声の,まるで魂をふりしぼるような,力強さと,豊かさ。ややハスキーな声で,オペラ歌手のような美しい声ではないが,一度聴いたら決して忘れることができないほど,心の奥までずしんと響く声。そして歌うというよりは、全身全霊をこめて切々と訴える,というような感じの歌い方。

彼女のステージを体験したならきっと誰でも,その圧倒的な声に聞き惚れ,歌う姿や表情に見惚れ,歌詞にこめられた愛や人生への熱い思いに,深く心を揺さぶられるに違いない。


そして,この映画で語られた彼女の人生は,まさに幼少の時から,壮絶としか言いようのない,波乱に満ちたものだった。
Cap100
1915年にパリの下町に生まれたエディット。父は大道芸人,母はカフェの歌手。彼女は幼くして父方の祖母の営む売春宿に預けられる。失明の危機からの奇跡的な快復。父に連れられて体験したサーカスの一座での生活。彼女はまさに,社会の底辺の汚泥の中で生まれ育った,傷だらけの名もない花だったのだ。

幼少の時の暮らしで体験した娼婦との触れ合いや,根無し草のような生活は,後の彼女の奔放で情熱的で,刹那的な生き方に影響を与えたのかもしれない。ストリートシンガーとしてスタートした彼女がナイトクラブのオーナールイ・ルプレに見いだされ,その才能を認められて歌手デビューしてからも,幼い頃から彼女の一部になってしまったかのような悲劇は,終わることがなかった。
Cap105 繰り返される,愛するひととの突然の別れ。
祖母の娼館で自分を可愛がってくれたティティーヌとの別離。若くして産んだ娘の死。自分を見いだしてくれたルプレの死や,最愛の恋人マルセルの事故死・・・。

特にマルセルの死を知った場面の彼女の嘆きようは,すさまじいものを感じた。そのほかにも,殺人の容疑者にされたり、交通事故にあったり,モルヒネ中毒に苦しんだり,リウマチで歩くのさえ困難なほど身体がぼろぼろになったり・・・,まるで磁石のように,悲劇を引き寄せるピアフ。
Cap115 しかし,冒頭にあげた彼女の歌の魅力は,、彼女がこのような悲劇的な人生を体験したからこそ,生まれたものなのだろう。彼女の歌うバラードからは,人生の苦みや痛みを味わったものにしか出せない哀切な深みが感じられる。

音楽にしても,文学にしても,絵画にしても,およそ芸術というものは,表現者の人生を反映するもの。喪い,傷つき,それでも愛しつづけた彼女の歌う歌は,大地のような力強さと,魂をえぐるような痛々しさに満ちて,今も人々の心を魅了する。その奇跡のような歌声を聴いて,彼女の死後40年たっても彼女の歌が愛されているわけがよくわかった。

死の床で,走馬灯のように人生を振り返るシーン「後悔してないわ」という歌が背後に流れる。悲しみも,苦しみも,喜びもすべて受け入れた人生を謳いあげた歌詞に,目頭が熱くなる。歌うために生き,愛するために生きた,彼女の傷だらけの人生は,しかし何と美しいことか。

ピアフを演じたマリオン・コティヤールが素晴らしい。
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本当はセクシーな美人なのに,本物のピアフに似せて背中をまるめ,チョコチョコ歩き,口をへの字に結んでびっくりまなこ。その顔は,ちょっと犬の狆(ちん)に似てる。

そして迫力のある,ハスキーボイス。歌う台詞はもちろん吹き替えだが,息継ぎのタイミングまでパーフェクト。骨格から,身のこなしから,彼女のすべてが,まるで造形しなおしたかのように,,ピアフその人になりきっていた。それは,神業と言ってもよいくらいの偉業だったと思う。
Cap131
劇中のそこここに,散りばめられたピアフの名曲と,マリオンの演技を堪能するだけでも,この映画は十分に観る価値のある,素晴らしい作品だった。

2008年2月16日 (土)

エリザベス:ゴールデン・エイジ

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エリザベス』のシェカール・カプール監督が、今回は女王の“黄金時代”を描いた歴史大作。主演はもちろん前作に続いて、エリザベス一世を演じるために生まれてきたかのようなケイト・ブランシェット。その他にジェフリー・ラッシュやアビー・コーニッシュ、クライヴ・オーウェン、サマンサ・モートン、リス・エヴァンス・・・英と豪の俳優でがっちりと固めている。

この物語の核は二つ。
一つは当時の世界を支配していたスペインと,エリザベスとの闘いであり,もうひとつは,女王と冒険家ウォルター・ローリー卿との淡い恋である。
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「聖戦」と称して,宗教の名の下に殺しあう,と言う狂った世界観は,特にこの時代(=16世紀)ならではのもの。なぜなら,これは,宗教革命が起こり,それまで権威を誇ってきたカトリックにとっては赦しがたい存在のプロテスタントが誕生し,全ヨーロッパにその勢力を伸ばしていった時代であり,また,宗教が政治を動かしていた時代でもあったから。

宗教というのはあくまでも,強制するものではなく,自分と神との個人的な問題であるから,自分自身で選び取るもの。
他人に自己の信じるものを強制して,命まで奪うのは言語道断である。もっともキリスト教がそんな性質を持った宗教というのではなく,ローマ法王が絶対的な権力を持っていた時代に,ヴァチカンの権威をおそれないプロテスタントや英国の国教会の存在は,カトリックにとっては,いかにも困りものだったのだろうと思う。

私はプロテスタントだけど,長年親しくしているカトリックの友人もいるし,「昔なら殺しあった仲だよね」と,彼女と笑い合える時代と国に自分が生きていることを,つくづく感謝する。特にこの作品や,「王妃マルゴ」なんかを観ると余計に。
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エリザベスはプロテスタント。彼女の母アン・ブーリンと結婚したいがために,前妻のキャサリンを離婚する目的でプロテスタントに改宗(というか,ローマ法王と縁を切った)父王ヘンリー8世。そのせいあって,ヴァチカンおよびカトリックはヘンリー8世とアン・ブーリンの結婚を認めず,一人娘のエリザベスのことも「妾腹」「異端者」とさげすみ,英国の正式な王位継承者として認めようとせず,彼女の従姉妹のスコットランド女王メアリー(サマンサ・モートン)を擁護してエリザベスを暗殺しようとする。

一方,その当時全ヨーロッパでもっとも勢力を誇っていたスペインは,世界をカトリックで制覇しようという野望のもと,英国を侵略しようとする。エリザベスが謀反罪でメアリを処刑したことを理由に,スペインは無敵艦隊を英国に差し向ける。歴史に名高い,アルマダの海戦である。強風の助けを借り,焼き討ち船を使った戦法で英国はこの無敵艦隊に大勝利を収め,英国にはエリザベスの統治のもと,ゴールデン・エイジが訪れる・・・。

スペインとの戦いに関しての,エリザベスの毅然とした姿勢には,まことに惚れ惚れする。異端とみなしたものに対して容赦のないスペイン側に比べると,エリザベスは宗派に関してはもともと穏やかな政策で,降りかかった火の粉は払うが,不要な弾圧をカトリックに対して行ってはいなかった。

しかし,ひとたびスペイン大使から宣戦布告されると,火花を散らす勢いで啖呵を切り,一歩も引かない。女性とは思えないような,並々ならぬ判断力と胆力。彼女の中の,「男性」としての一面が,潔いほど発揮される。

彼女の従姉妹で処刑されるメアリー。サマンサ・モートンはさすがの名演技で,処刑シーンの彼女の静謐な表情などは深く心に残ったが,もっとエリザベスとの確執,というか,お互いにどう思っていたのか,書き込んでほしい気もした。
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二つ目の核となる,ローリー卿との恋(ほとんど女王の片思いなのだが)では,女傑エリザベスの「女性」としての一面が描かれる。過去の苦い体験,また国家に身を捧げる決意のために,生涯恋心を封印して生きる決心をしていたエリザベス。彼女の心を揺らしたのは,新大陸に冒険を挑んできた探険家のローリー卿(クライヴ・オーウェン) アメリカのヴァージニアは,彼が発見して女王の名にちなんで名づけたのだとは知らなかった。
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実際はこんな御仁。

エリザベスが彼に惹かれたのは,彼の野生的なところと,生き生きと輝く瞳に象徴される,自由な魂だったのかも。実際に演じるクライヴは,そんな魅力に溢れていた。が,しかし・・・
・・・・・
わたし,こいつキライだ。
いや何,二股かけたとは言わないけど,女王にも思わせぶりな親しい態度をとっておきながら,よりによって女王の秘蔵っ子の女官に手をつけなくても・・・・。あ,エリザベスがけしかけたんだっけ?それにしてもこっそり結婚までしなくても,・・・。

ベスの妊娠と結婚を知って,嫉妬のあまり取り乱して彼女を責める女王は,それまで鎧のように彼女を覆っていた威厳もプライドもかなぐり捨てて,傷ついた生身のオンナそのものをむき出しているようで,とても痛々しかった。そんな女王の錯乱ぶりを冷ややかに責めるローリー卿・・・・。ムカツク。いやぁ,投獄されて当然っしょ。

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彼女の闘いは,なんと壮絶で,終わりがないのだろう。
国外には英国を狙うスペインやカトリックの勢力。国内にもまた,失脚を狙う陰謀の数々。そして,彼女自身の中でも,人並みの愛を求める弱さがあり,表には出せない,恐怖との闘いがあり・・・・。
心から信頼できる友人や,愛してくれる家族は,ほとんどいなかったのではないか。

この物語は,そうした
エリザベスの孤独な闘いを浮き彫りにし,ケイトは彼女を,あたかもエリザベスが乗り移ったかのような見事に演じきったと思う。

ラストの彼女の笑み。
ベスとローリーを赦し,生まれた赤子に祝福を与えるエリザベス。前作「エリザベス」のラストで顔を白塗りにした彼女からは,まるで殉教者のような悲壮さも伝わってきたのだけど,今作のラストの彼女からは,神々しいまでの慈愛が感じられた。
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残念ながら,前作をしのぐほどの面白さはないけど(ストーリーは仕方ないかも)それでも十分見ごたえのある作品だし,ケイトの存在感や,衣装の豪華さは前作を上回っていた。
彼女の衣装の色彩の美しさはため息もの。ライトブルーや濃い紫,真紅,群青色,黄金色・・・どの色もケイトにはよく似合っていた。海戦シーンはもっと観たかったが,海に映える炎の色が息を呑むほど美しかった。

2008年2月14日 (木)

まなざしに魅せられて♪ジェイク・ジレンホール

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このブログにも、「俳優・雑記」なるカテゴリーを設けたので,好きな俳優についても,多少書かなきゃいけない・・・(ような気がする)

ジェイク・ジレンホールの
魅力について・・・(*^_^*)

さんざん映画の感想記事で書いてるから,いまさら この場で語る必要もないくらいだけど。彼のお顔は,はっきりいって,実は好みでなかったりする。(おいおい)私の場合は,彼の顔ではなくて,雰囲気が好きなのかなあ,と思ったり。

私は,もちろん食べる方のスイーツにも目がないけど,男性も,どこか甘い雰囲気のある人に惹かれる。彼の甘いところ,それはやや高音で,語尾が優しくまつわりつくように聞こえる,その声音だったり,口角がキュッと上がった優しげな口元だったり。
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彼の演技。初めてスクリーンで観たのはムーンライト・マイル。前髪パッツンの坊やヘアだったけど,胸のうちに溢れる,様々な感情を雄弁に語る碧い瞳が印象的で,「こんないい子がいたんだなあ」 と記憶に刻んだのが,そもそもの発端。

その次に観たディ・アフター・トゥモローで,彼がジレンホールという,聞き慣れない名前であることを覚えた。そして,その次に観たのがあのブロークバック・マウンテン。・・・これで,私は彼に完全にノックアウトされた。
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彼が演じたのは,イニス・デルマーに愛された男ジャック・ツイスト。その瞳に 繊細で情熱的な愛情を宿らせた彼の なんとチャーミングだったこと。その日からずっと 彼のまなざしが忘れられない。

彼の俳優としての才能の確かさもまた,疑うべくもない。あれから数年・・・・・ジャーヘッドゾディアックなどの大作を経て,確実にビッグに成長してきたジェイク。しかし今は・・・・。

晴天の霹靂のように告げられた,親友ヒースの訃報。それに打ちのめされていると聞いて,何とも 痛々しい思いがする。きっと彼にとってもヒースにとっても,忘れられない作品となったに違いない思い出のブロークバック・マウンテン。

あれほどの難役を,ともに演じ切った相棒を亡くして,彼がどれほど大きな 喪失の痛みを味わっているか,計り知れないものを感じる。
201037_23k61k6knubhdh6nc7f4u4htex_5 責任感の強い彼が,仕事が手につかないくらい落ち込んでいると聞いて,ああ,何だかやっぱり 愛情深い彼らしいな,とも思う。どんな心境でいるのか,想像するのも可哀想な気がするけど,
どうか一日も早く,
ジェイクが心の平安を取り戻せますように・・・・・。

ヒース・レジャー作品記事

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悪霊喰

カサノバ
キャンディ
ケリー・ザ・ギャング
サハラに舞う羽根

ダークナイト
ダークナイト2度目鑑賞
ダークナイト待望のDVD!
チョコレート
Dr.パルナサスの鏡

ブラザーズ・グリム
ブロークバック・マウンテン

ロード・オブ・ドッグタウン
ロック・ユー!

ジェイク・ジレンホール作品記事

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      グッドガール
   ジャーヘッド
   ゾディアック
   ゾディアック再見(ジェイク編)
   遠い空の向こうに
   ドニー・ダーコ
   ナイトクローラー
   プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂
      プリズナーズ   
      
   ブロークバック・マウンテン 
   
   ボストン・ストロング ダメな僕だから英雄になれた   
   ミッション:8ミニッツ

2008年2月12日 (火)

追悼ヒース・レジャー/ブラザーズ・グリム

Cap001 テリー・ギリアム監督作品にしては,毒気が少なく,オーソドックスにまとまりすぎとの評のある このブラザーズ・グリム

私は残念ながら他のギリアム作品は未見で,従ってギリアム風味がどんなものか,よく知らないので何ともいえないが,これは豪華出演陣に惹かれて劇場で観賞した。しかし,なんか思い描いていたものとは方向が違って,観賞後に損をしたような気持ちになったのを覚えている。文芸ものかと勝手に期待して観たら,ううむ,ホラーチックのドタバタ活劇だったとは!
Cap007
ほんとうは怖いグリム童話」というのがあるが,これは「ほんとうは詐欺師だったグリム兄弟」という思い切った設定。ウィリアムとジェイコブのグリム兄弟は,仕掛けを使って偽物の魔女を出現させ,それを退治してみせることで,迷信深い村人たちを騙して礼金をせしめてまわっているいかさま師として登場する。

兄のウィルマット・デイモン(初のコスチュームもの?残念ながらあまりブラウスは似合わない)弟のジェイク(ヒースがジェイクの役だって!)にヒース・レジャー。 この二人がいつもとは雰囲気をがらりと変えて,正反対の個性を持つ凹凸兄弟をコミカルに演じているのが見ものだ。
Cap023
いくら何でもその格好・・・

兄のウィルは現実的で口達者。詐欺の場面では,もっぱらスポークスマンの役。それに反して弟のジェイクは夢見がちで内気。科学に関しても明るく,魔女の仕掛けを作ったりするのはもっぱら彼の担当。

マットとヒース。確かに実年齢もマットの方が上だけど,見た感じはヒースが老成して見えるので,兄と弟役は反対のほうがいいんじゃ?とも思ったが・・・・。

Cap013 助け合いながらも,お互いに相容れない部分も持ち,けっこう衝突の絶えないグリム兄弟。実は幼い頃,弟のジェイクは瀕死の病の妹の医者代を「魔法の豆」に使ってしまい,兄から責められたというトラウマを持つ。現実しか信じない兄と,おとぎ話を信じているロマンティックな弟の二人が,時には意見の衝突から ののしり合い,どつき合いながら(だいたい兄ちゃんが,弟をどついてるんだけど)珍道中を繰り広げるうちに,当時ドイツを支配していたフランス軍につかまって,11人の少女が消えたというマルバデンの村での調査を命じられ・・・・。

どうやらここからが本当の魔法の世界。
11人の少女が消えるシーンに,有名なグリム童話のいくつかが取り入れられている。「赤ずきん」「ヘンゼルとグレーテル」「ジンジャーブレッド・マン」など。
Cap040
魔女にメロメロ

また,森を魔法にかけている魔女(モニカ・ベルッチ)のキャラは「ラプンツェル」と「眠り姫」と「白雪姫のお后」をミックスしたような感じ。おなじみの童話のシーンが出てくるのは嬉しいが、出方が唐突で,中途半端な見せ方。まるでグリム童話のごった煮といった感じだが,こういう雑然とした見せ方もこの監督の特徴なのかしら。私は,なんか消化不良のまま次々に料理を食べさせられて 胃もたれする感じで,ちと苦手かも。また,事あるごとにグリム兄弟をつかまえて,脅したりいたぶったりする フランス軍の描き方は,風刺とブラックユーモアが効いている。こういう点がギリアム風の毒気?

Cap051
知恵と勇気とハッタリ
を駆使しながら,フランス軍や魔女を相手に闘うグリム兄弟・・・なのだが、ほんとはキレのよいアクションが,お手のもののマットやヒースが,この作品では,あたふたと不器用に闘う様子が新鮮だ。(特にマットに対しては,どーしてもボーンの印象があって,『あなた、ホントは強いでしょ!本気出しなさいよ』と叱咤したくなる)
魔女の塔にたどり着いてからの戦いは,とにかく目まぐるしい。はっきり言って,よくわかりません。
バビューン,ドカーン,
グサッ!ガッシャーン,
ギャー,あわわわわ・・・!

何の魔法がどう作用してそうなるのか,あんまし,よくわからないうちに,ともかく魔女は粉みじん,さらわれてたあの子もこの子も,無事に家に戻れましたとさ,というハッピーエンド。グリム兄弟の絆も深まってメデタシ、メデタシ。

Cap054
この作品のヒースは可愛くてかっこいい。

長い手足をバタバタさせてパニくるところとか,時折見せる気弱そうな表情とかで,弟らしい雰囲気をよく出していた。本人もきっと楽しんで演じていたと思う。

観おわった後,グリム童話の不思議な世界の魅力なんかは,あまり残らなかったかな。それより、ウィルとジェイクの兄弟愛みたいなもんの方が心に残った。この監督さんとヒースは相性がよいのか,次回作もヒースの主演が決まっていたそうだけど・・・・。返す返すも残念。

Cap057
うおお,マットとキスシーン(・・・未遂だけど)

うーん、この世界観と映像、ティム・バートンが描いたらまた面白かったかも。ギリアムさんが悪いというのではないけど,バートン版の怖いグリム童話も観てみたいかな。

それにしても,グリム兄弟を詐欺師に仕立てちゃって,彼らの子孫(←いるのか?)からクレームはつかなかったのか?確かにラストは,もう詐欺師はやめて,物書きに転じそうな予感を感じさせる終わり方ではあったが。
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ヒース,めちゃ可愛い・・・・。

2008年2月 9日 (土)

アメリカン・ギャングスター

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60年代末から70年代初頭にかけて,ニューヨーク・ハーレムに君臨した アフロ・アメリカンの麻薬王フランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)の生きざまと、彼を追う刑事リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)の執念の捜査を描いた,実話に基づく物語。監督はリドリー・スコット。

鉄の意志を持つ男の役がはまるデンゼル・ワシントン。彼の悪役は初めて観るけど,冒頭いきなり裏切り者を顔色ひとつ変えずに処刑するデンゼルの表情の,まあ鳥肌がたつほど恐いこと!( ̄□ ̄;)!! 

彼は運転手として長年仕えてきたボスの死後,直接東南アジアの現地まで麻薬を買い付けに行く方法で,高純度のヘロインを安価に売り捌き,麻薬界では往年のイタリアマフィアたちをしのいで一躍頂点に立つ。

一族の長として家族を愛し,いかにもギャングじみたスタイルを嫌って洗練された高級スーツに身を包んだ彼は,一見すると,成功したビジネスマンにしか見えない。思慮深く,スマートな物腰と,その中に秘められた鋼のような熱い意思。・・・・確かに悪党には違いないんだけど,正直かっこいいです,このフランク。
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一方,刑事役のラッセルだけど,もっと颯爽としたタフガイかと思っていたら,とんでもない。当時は汚職の蔓延していた警察署内。彼は賄賂を断固拒絶する刑事として,同僚から煙たがれ,のけもの扱い。おまけに仕事上は清廉潔白の信条を曲げない彼だが,私生活は品行方正とは言えず,女癖が悪くて妻には逃げられ,息子の親権をめぐる裁判の最中だ。

つまり彼は冴えないやさぐれデカで、服装もアロハシャツだったり,趣味の悪いジャケットだったり,おまけにちょっと太っていて,どことなくむさ苦しいフェロモンが漂う男だ。

フランクとリッチー。

この二人の男たちは、実はラスト近くまで互いに顔を合わすことはない。映画はフランクの物語とリッチーの物語を,時間軸をいじることなく,規則正しく交互に映し出す。

フランクは麻薬の買い付けに成功し,母に豪邸を買い与え,弟や従兄弟たちに影響を与えていく。成功する過程では,イタリア・マフィアや悪徳警官との確執も避けられない。
リッチーはリッチーで,自分と同じようなはぐれものの仲間たちとチームを組んで捜査を進めるうちに,巷に出回った純度の高いヘロイン売買の黒幕がフランクであることを突き止め,彼とその一族の尻尾をつかむべく,執念を燃やしていく。
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派手なドンパチシーンはほとんど無いので,そっちを期待して観ると肩すかしを食らうだろう。唯一,麻薬工場(?)にリッチーたちが逮捕に突入するときに銃撃シーンがあるくらいだ。私がこの映画で,一番どきっとしたアクションシーンは,フランクの母が彼を「嘘はおよし!」と平手打ちする場面だったりした。(フランク同様,こちらも不意をつかれて驚いた・・・・)

手下を抑えたうえで,いよいよ最期にフランクを逮捕すべく,教会の扉の前で待つリッチー。ここで二人は初めて顔を合わす。「よお,年貢の納め時だぜ」とばかりフランクを見上げるリッチーの表情。見返すフランクは少しも臆する様子がない。「ほぉ,俺を逮捕するのは,お前さんかい」とでも言いたげだ。このシーン,ラッセルもデンゼルも,さすがに貫禄の名演技である。
800_desk10_3 逮捕されてからの展開は,「へぇ~,そんなんアリ?」というものだったけど,実話だから仕方ない。「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」を少し思い出した。フランクとリッチーの間に不思議な信頼と友情めいたものが生まれるところが。後に,弁護士になったリッチーにフランクが弁護を依頼したという後日談もほほえましい。

それにしても,2時間半を悠に越える長い上映時間が終了してみると,この映画の主役はデンゼルでもラッセルでもなく,当時,ベトナム戦争の影響で兵士たちを筆頭にアメリカ国民の間で重大な問題となっていた「麻薬」と「汚職」かなあ,とも思えたり。フランクやリッチーや,悪徳警察の面々を見ていると,何が善で何が悪か,判断ができないような気持ちに陥った。

余談; 二人の2大スターが渋さ全開でとにかくシビレます。ちなみにわたくしの萌えポイントは,デンゼルの胸板ラッセルのタレ眼です。ラッセルから小首をかしげて,上目遣いで見つめられたら,もうたまりませんですね。
     

デッドマン

Cap071_2 13年も前のジョニー・デップの映画。ふと,レンタルショップで見かけて借りてみた。「これのジョニーはものすごく美しい」という話を聞いたことがあって・・・・・。きっと退屈するかも・・・と思っていたのだけど,意外にもすぐにその摩訶不思議な世界に引き込まれてしまった。

確かに 途方もなく美しかった。
ジム・ジャームッシュ監督の描くモノクロの映像の幻想的な美。(グレイがすごく美しい。森の木立や水辺の映像は、さながら水墨画のようだ) リアルタイムで演奏したという,ニール・ヤングがかき鳴らすギターの旋律。そして,哀愁と倦怠感の漂う,ジョニーの顔!
Cap073 それらは,この世のものとも思えない美しさだった。ストーリーは,なんとも不思議で,理不尽で,残酷でさえある。

主人公のウィリアム・ブレイク(ジョニー・デップ)は,会計士の職を求めて西部の街にやってきた白人青年だが,手違いから職を得られず,おまけにひょんなことから殺人を犯してしまい,その首に賞金を懸けられて,殺し屋に追われる身となる。

心臓近くに銃弾を撃ち込まれたまま,逃亡の旅を続ける彼を助けたのは,はぐれもののインディアン,ノーボディ。彼と過ごすうちに,ウィリアムの中では少しずつ何かが変わり始め,おとなしく気弱だった青年は,追っ手を平然と的確に撃ち殺すことができるようになるが・・・・・。
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これは,不運きわまる運命にみまわれ,どんどん追い詰められながら,じわじわと確実に死に向かってゆく一人の男の物語だ。救いの無い物語なのに,作品全体に,なぜか不思議な静謐さと,心が洗われるような癒しのムードが漂う。

不条理な運命や,迫り来る死を,あるがままに受け入れるという,まるで仏教の悟りの境地のような,穏やかなものを感じるのだ。きっとそれは,ウィリアムの人生の最期を看取る役をつとめたインディアンのノーボディの持つ,何ものにも揺るがされず,大地と一体となってすべてを受け入れるような大らかさの影響かもしれない。
Cap088 登場する殺し屋は,途中で仲間を殺して食ってしまうような,極悪非道な男で,まじ怖いのだが,彼らの登場するシーンや台詞のやりとりは,なぜかコミカルタッチで,笑える場面となっている。

やがて,瀕死の状態で,小船に乗せられ,大海原へと送り出されるウィリアム。生きたまま,葬られるような体験だけど,生きていても,殺し屋に残酷に殺される運命しかない彼を,ノーボディはこの上なく丁重に,安らかな死出の旅へと送り出してくれたのだと思うと,まるで彼はウィリアムの守護聖人のように思えて,やはり鑑賞後はしみじみとした心地よい余韻に包まれた。
Cap093 運命に逆らわないこと,避けられない死をうけいれること・・・なんだか,日本的な無常観も感じる作品だった。

おどおどとした普通の青年が,運命に翻弄されて吹っ切れ,次第にアウトローな強さを身につけてゆき,そしてインディアンの死生観に癒されて,静かに死を受け入れるまでの過程を,ジョニーは完璧に演じていた。しかし,モノクロになると,彼は瞳の美しさがなんて際立つんだろう・・・・,
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徐々に身体が弱ってゆく彼の表情の変化の演技は,見事としか言いようがない。その哀しげな,虚ろなまなざしの美しさ。そしてまた,お河童ヘアや,稲妻メイクがこんなに美しく映えるのは,世界広しと言えども,この方しかいないだろう。(チャリチョコでもお河童だった)

追記;この映画,ガブリエル・バーンアルフレッド・モリーナのような御仁も,チョイ役で出ていて,楽しめる。(ガブリエルなんか,あまりにチョイ役なので,よく似た別人かと思った)・・・どちらもジョニーに撃ち殺される役だけど。

2008年2月 7日 (木)

ドレスデン 運命の日

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戦争を描いたドイツの映画は,真摯で秀逸なものが多いので,前々から気になっていたけど「冗長」とか言う評判も聞いて,いまいち手を出しかねていたこの作品。この度観ようと思ったのは,ドレスデンが空襲された運命の日が,2月13日だと知ったから。この日は実は私の誕生日なんです。なんか人ごとじゃない気がして,それで観ようと思った私も単純ですね。

ドレスデン爆撃とは、第二次世界大戦において米軍と英軍によって1945年2月13日から14日にかけて、ドイツの都市ドレスデンに対して行われた無差別爆撃を指す。この爆撃でドレスデンの85%が破壊され、3万とも15万とも言われる一般市民が死亡した。第二次世界大戦中に行われた都市に対する空襲の中でも最大規模のものであった。ソ連軍の侵攻を空から手助けするという一応の名目はあったが、実際は戦略的に意味のない空襲であり、国際法にも違反していたことから、ナチスの空襲を受けていたイギリス国内でも批判の声が起こったという。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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ドレスデン爆撃は,このような未曾有の規模の被害を出したにもかかわらず,これまで世界では,声を大にして語られたことがなかった。それはひとえに,ドイツがこの戦争に対して罪を背負う立場だったからだ。今回の映画化で,おそらく初めて,ドレスデン爆撃の全貌が世界に紹介されたのであるが,だからといってこの映画は,「ドイツだってこんな被害にあったんだ!」と居直っているわけでは決してない。

劇中では,ナチスの横暴や,一般市民によるユダヤ人差別の現状も容赦なく描かれているし,その反対に「ナチスに神の裁きを下してやるんだ」と武者震いしながら爆弾を投下するイギリス側の兵士の言動もきちんと描かれていて,あくまでも中立の立場で,戦争そのものの悲惨さをひしひしと訴える,ドキュメンタリーのような反戦映画になっていた。
そう,監督は忠実に,ドレスデン爆撃の事実を再現して訴えたかったので,本当はドキュメンタリーが作りたかったのかもしれない。
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しかしそれではストーリーとしての面白みに欠けるので,一応看護師のドイツ女性アンナと,イギリス兵ロバートとの恋愛を軸に持ってきている。この映画,冒頭から爆撃開始までの間,実に1時間半にも渡って,アンナとロバートを中心としたドレスデンに住む市民たちの物語が描かれる。

反戦思想を持つ、気性の激しいアンナと,敵機の攻撃に会って空から敵国に落ちてきたロバートとの許されない恋。アンナの婚約者である誠実な医師アレキサンダー。密かにスパイ活動を行い,私腹を肥やすアンナの父。そしてユダヤ人の夫を持つアンナの親友マリア。
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自分達が数日後に爆撃に合うとは夢にも思わず,それぞれの立場で戦争を生き抜こうとしている人々の事情や思惑が,丁寧に綴られ,そしてまた彼らの物語と平行して,連合軍によるドレスデン爆撃計画が着々と進行してゆく様子が映し出される。だから,まもなく惨劇がふりかかるということを知っている私たち観客は,何ともやるせない思いで彼ら市民を見守ることになる。

そして運命の日。
いよいよ爆撃が始まった。

石造りの建造物でできた街を破壊するためには,膨大な量の爆弾が必要だったろう。炸裂する夥しい数の爆弾を受けて,建物は倒壊し,街は瞬く間に紅蓮の炎に包まれる。

舞い上がる灼熱の火炎地獄の中を逃げ惑う人々。(実際に最高1500℃もの火災旋風が起こったという。) 地下の防空壕の中で一酸化炭素中毒で命を落とす人々。
まさに阿鼻叫喚の地獄絵図が,一晩中繰り広げられる。

燃えさかる乳母車を押しながら,放心したようにさまよう女性。死を覚悟して静かに祈りを捧げる人々。涙を流しながら彼らの頭に銃弾を打ち込む兵士・・・。

Cap068
その中を,アンナは恋人のロバートと,婚約者のアレキサンダーと3人で,地下に逃げる。(こんな非常事態だからこそ一緒に行動できたけど,普通は三角関係だよね,この人たち。)やがて崩れた壁に足を挟まれたロバートと残ると主張するアンナ。結局アレキサンダーは二人と別れることになる。(この人,なんだかかわいそう。みんなに振り回されて)

一夜明けると、世界一美しいと謳われた街は,完全に瓦礫の山と化していた。その中で、主要な登場人物は、ほぼ生き残ったというのは,かなり無理があるけど,(死んだのはアンナの父のみ。ちょっと不自然)まあ,そこは映画だから。
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ラストは現代によみがえった聖母教会で,平和の式典を行う人々の実際の映像で幕を閉じる。アンナを演じた女優さんの最後のナレーションは,映画の訴えたいことをやや言葉で語りすぎの感もするけれど,ああ,やっぱりこの映画は,反戦の強い強い思いをもって製作されたんだなあ,ということを改めて感じた。

国の主導者が仕掛けた戦争であっても,その背後には大勢の命を奪われる罪のない国民たちがいて,彼らもまた被害者なのだ。そこには戦勝国も,敗戦国もなく,死んでいった人々の無念の思いは,いつの時代も,どこの国でも変わらない・・・。
わかっていると思っていたことだけど,映像を見るとやはり,言葉を失うほどの哀しみや痛みを感じる。

この映画を観て,それまで全く知らなかったドレスデンの爆撃について,知ることができてよかったと,心から思う。・・・2月13日。自分の誕生日と同じだから覚えやすい。これから誕生日を迎えるたびに,私はきっと,ドレスデンのあの日に思いをめぐらすと思う。

2008年2月 5日 (火)

追悼ヒース・レジャー/ケリー・ザ・ギャング

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2003年製作のこの映画は,オーストラリアに実在した伝説的なブッシュ・レンジャー(山賊)ネッド・ケリーとその一味の物語。

19世紀半ばのオーストラリア。アイルランド系移民は,土地所有法と警察によって迫害されていた。ネッド(ヒース・レジャー)の父はアイルランドからの流刑者で,彼の死後,
その家族もまた無法者として,警察からは常にマークされ,嫌がらせを受けていた。

ある日,冤罪がもとで母のエレンが投獄されたことがきっかけになり,ネッドとダンのケリー兄弟と,仲間たちは,ブッシュ・レンジャーとなる。彼らは銀行強盗や殺人に手を染めながらも,警察の容赦ない追跡をかわし,奪った金を貧しい者に分け与えるなどして,権力への反骨精神を示し続ける・・・・・。
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オーストラリアの歴史には全く詳しくないけど,このネッド・ケリー,オーストラリアでは大変有名な伝説的ヒーローらしい。

山賊というよりは,義賊のようなとらえられ方で,彼の生きざまは多くの小説や演劇,絵画などに取り上げられ,as game as Ned Kelly’「ネッド・ケリーのように勇敢に」という表現が一般化しているという。過去に映画化されたときは,ネッドがスクリーンに登場すると,観客が拍手喝采したそうな。「犯罪を助長する」という恐れから,上映禁止になったときもあったらしい。


Cap006
さて,役によっては,繊細だったり,キュートだったり,はたまたエレガントだったりと,七変化の魅力を見せてくれるヒース
だけど,この作品でネッドを演じたヒースは,苦みばしっていて,ワイルド。

馬に乗るのは,お手のものの彼だが,今回はオーストラリアの荒涼とした大地やブッシュの中を自在に駆け抜け,射撃のポーズも惚れ惚れするほど決まっている。
運動神経,ほんとに抜群だな,この人

Cap013
リンカーンのようなあごひげをたくわえ,眼光鋭い瞳,血や土で汚れた顔。しかし,みすぼらしい上着を着ていても,スタイルがよくて身のこなしが綺麗なので,まるでディナー・ジャケットを無造作にまとっているような,洗練された雰囲気が垣間見えるときも。


共演陣も豪華で,ネッドの親友ジョー・バーンにオーランド・ブルーム。(おヒゲをたくわえても,やっぱり可愛く,なかなかの色男ぶりで好演しているので,オーリーファンにもおすすめ)ネッドと情を
交わすイギリス女性(人妻だけど)に美しいナオミ・ワッツ。(この共演でヒースと恋仲に) そしてネッドを追いつめる警視役に名優ジェフリー・ラッシュ

Cap004
これだけ揃っていて,なんで日本では劇場公開されなかったのかな。ネッド・ケリー自体,日本ではほとんど知られてない存在だから,仕方ないのかしら。

抗争を描いた物語だから,どうしても暗く地味な印象になるし,ネッド・ケリーや,時代背景について予備知識がないと,わかりにくい部分もあるけど,ヒースをはじめとする出演陣の真摯な演技で,虐げられたゆえにギャングにならざるを得なかったアウトローなヒーローと,彼の仲間たちの哀しい生き様はひしひしと伝わってくる。

Cap016
支配者の横暴な行為に決して屈しなかった,ケリー家の人々の誇り高き強靱さ。「いつかは命を落とす」という不安と闘いながらも,
ギャングとなって前に進むしかなかった,ケリー兄弟の心の葛藤。そして,投獄されても決してネッドを売らず,彼の処刑に当たっては,膨大な量の助命嘆願書を提出したという,貧しい民衆たちの思い。

社会の底辺に弱者として位置付けられた人々の,権力への憤りや飽くなき抵抗
を目にすると、たとえ無法者のギャングと言えども,彼らを応援せずにはいられなかった。しかし史実を曲げられない悲しさで,ラストの悲劇はやはり避けられず,警官隊の乗った列車の転覆と警視の誘拐計画に失敗したケリー・ザ・ギャングは全滅,傷ついたネッドは逮捕される。

Cap019_2
彼が倒れるまで片時も離さずに身につけていたのは,幼少の日に,溺れる子供を助けたことを賞されてもらった,栄誉ある帯だった・・・。

彼は望んで無法者として生きたのではなかった。
劇中で弟に語ったように「虐げられつづければ,誰でも道を誤る」という彼の言葉は,非常に重く心に残る。その帯を「・・・くれないか?」と頼む警視のことばからは,ネッドを尊重する思いが感じ取れた。

やはりヒースは、強いだけでなく,悲しみや葛藤を内に秘めたヒーローを演じるのがうまい。日本ではあまり有名でないこの映画だけど,オーストラリアにはこんな悲劇の英雄がいて,今も国民の心に誇らしく生き続けているのだなあ,と感無量になる。

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そしてネッドを演じたヒース・レジャーもまた・・・・・・。
祖国オーストラリアにとっては,若くして逝った才能ある俳優として,どうかいつまでも,国民の心に残ってほしいと願う。

  

2008年2月 4日 (月)

主人公は僕だった

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もしも,自分がある小説の主人公で,一人の作家によって自分の運命が決定されるとしたら・・・?
なんて不思議で,独創的な設定のストーリー!ファンタジーやコメディはいまいち大好物ではない私だけど,仲良しブロガーのゆきちさんが,とても感動したとオススメしてくださったので,観てみました!で,感想ですが,コメディタッチでもあるけど,ほのぼのとした人間讃歌で,鑑賞後は,心がじんわりと温かくなるような,とても素敵な物語でした。

物語の主人公は,会計検査官のハロルド・クリック(ウィル・フェレル)。彼は,毎朝同じ時間に目覚め,同じ回数だけ歯を磨き,同じ歩数でバス停まで歩き,毎晩同じ時間に眠る,几帳面な男性。ある日,彼の行動を正確に描写する女性の声が彼の耳に聞こえてくる。その声の主は人気悲劇作家のカレン・アイフル(エマ・トンプソン)だった。そう,ハロルドはカレンの新作小説の主人公だったのだ。戸惑う彼の耳に,彼女の声が告げたのは,何と彼がいずれ死ぬという予告だった・・・。

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私は,ハロルドより,この悲劇作家のカレンのほうに心を惹かれた。なんで彼女は,それまでの作品の中で,主人公を全員死なせてきたのだろうか。エマか演じるカレンは,神経質で憔悴した感じの女性。自らも,ビルの屋上から飛び降り自殺をイメージしてみたり,豪雨の中で車が川に転落する様子を想像してみたり,「悲劇的な死」について,いつも考えを巡らせている感じだ。まるで,悲劇こそが,人生を完全にすると思い込んでいるみたい。なんてまあ悲観的な。そんな彼女を,さりげなく大らかにサポートする助手の役を,クイーン・ラティファが演じている。
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まるで,頭の中に数字が詰まっているかのようなハロルドを演じているウィル・フェレルの徹底した無表情がいい。人間味がほとんど感じられず,本当に作家の意思で機械的に動いている人物のように見えるのだ。そして彼をアドバイスする,文学の教授を演じるダスティン・ホフマン。この人が出るとやはり画面が締まるなあ。何でもない表情でも,見とれてしまう強烈な存在感はさすが!

聴こえてくる声に悩まされて,教授のアドバイスに従い,いつもとは違うことにいろいろと挑戦するハロルド。彼は少しずつそれまでの殻を破り,やりたかったギターを弾いてみたり,恋をしてみたりする。この恋人役のアナを演じたマギー・ギレンホールがとてもチャーミング。自分の考えをしっかり持っていて,それでいて可愛くて,優しくて。決して美人ではないのに,愛さずにはいられない魅力がある。そして碧い目や,甘い声や,ラブシーンで目を閉じたうっとりした表情などが,やはりどことなく弟のジェイクに似てる。
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彼女を得て,にわかに世界があたたかく色づき始めたハロルド。それまで無表情だった彼の顔が,生き生きと輝きを帯びてくる。彼は,声の主のカレンの居場所をつきとめ,「ラストを変更してください」と頼む。「生きていたいから」と。・・・当然だよね。
しかし,小説のラストはもう決まっていて,それはハロルドの死によって初めて,最高傑作となるものだった・・・・。草稿を読んだハロルドは,小説の完成のためには,自分の死は不可欠のものだと悟り,死ぬことを受け入れる。

・・・・・どんな,傑作なんだ?それ。
いったいハロルドはどんな死に方をするの?

ここで私は(いや,私だけでなく,おそらく観客の皆さんもでしょ?)すごーく興味をそそられた。
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あまりにもネタばらしをしてしまってもいけないので,全部はここに書かないけど,ハロルドはちょっとした不運がもとで,思わず人命救助をする羽目になり,その結果死んでしまう・・・というのがもとの小説の筋書き。その死は,彼にとって突発的なものであり,皮肉な なりゆきでもあり,大きな悲劇でもあり,英雄的な意味合いもあり・・・

いかにもカレンの好みそうなラストだったのだが,ハロルドが自分の運命を知った上で,あえて死を選択するつもりだと知ったカレンは・・・・ラストを書きかえるのである。かくして,小説はおおいなる悲劇で幕を閉じず,それゆえに傑作にはならずに,少し気が抜けたものになってしまった・・・・(教授はそれを「駄作ではないが傑作でもない」と評した)
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悲劇で幕を閉じる,いつものやり方を廃して,ハロルドにささやかな幸せを積み重ねる人生を贈ったカレン。それは,小説にした場合,「傑作」となりうるだけのインパクトはないだろう。

しかし「凡作」だとしても,それが何だというのか。
この世界の人々の,そう,あなたやわたしの実際の人生を,ありのままに小説にしたら,きっと「幸せな凡作」で溢れることだろう。それでもいいのだ,だって,幸せであるってことが,私たちにとっては何より大切なことなんだから。

人生に必要なものは大げさなドラマや,劇的な変化だけではない。愛する人の微笑や,美味しいクッキーや,お互いにかわす思いやりや・・・。そんな小さな幸福の集まりこそが,人生を豊かにする。


人生の本当の醍醐味に,
悲観論者のカレンは気づくことができたのだろうか。観終わってみると,私は彼女の変化に,一番感動していた。この映画の監督さんは,人生や人間について,優しいまなざしを持っているなあと思ったら,「チョコレート」や「ネバーランド」の監督さんだった。・・・・納得。

2008年2月 1日 (金)

追悼ヒース・レジャー/チョコレート

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これは恋愛が主題の物語ではない。
これは,それまで愛を表現するすべを知らなかったひとりの男が,大きな痛みを経て生まれ変わる物語。そして,深く傷ついたふたつの魂が,常識を乗り越えて互いに癒し合う物語だった。

ハンク(ビリー・ボブ・ソーントン)は、人種差別の激しい、南部ジョージア州の刑務所の看守。彼の父も看守だったし、ひとり息子のソニー(ヒース・レジャー)も彼の後を継ごうとしていた。ある日、死刑執行の任務を満足に果たせなかったことで、ハンクに激しくなじられたソニーは、祖父と父の前で自殺してしまう。ショックで看守を辞めたハンクが出会ったのは、レティシア(ハル・ベリー)という黒人女性。自分と同様、息子を亡くしたばかりの彼女にハンクは惹かれるが、実は彼女は、ハンクが処刑執行を行った死刑囚の未亡人だった・・・。


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冒頭に登場するハンクの,まるで感情が感じられない冷たく乾いた表情に,まず驚かされる。彼の家庭は,老いた父と息子のソニーの3人暮らし。殺伐とした男所帯で,父もハンクも,妻には逃げられたような雰囲気がある。ハンクの父親は,いかにも頑固で傲慢そうな老人で,ハンクの冷淡さは,すべて父からの影響と思われる。

たとえば,敷地に入ってきた黒人の少年たちを銃で追い払うほどの強い差別意識とか,女性を物のようにしか扱えないところとか,息子に対して愛情のある言葉を決してかけないところとか


そのように父親に育てられたから,ハンクもまた,息子に冷たく接することしかできないのだろう。
息子に決して笑顔や褒め言葉を与えず,プレッシャーだけを投げつけ、「女の腐ったような奴」「母親そっくりだ」と罵倒する。

Cap034
ソニーは心の優しい青年で,黒人少年とも親しくつきあい,繊細すぎて,看守という仕事には向いていない。父親に愛されたいと願いながらも,愛されるどころか,、疎まれているという実感しかないソニーの切なく寂しげな表情。彼は父や祖父の考えや生き方を押しつけられ,頑張ってもひとことも褒めてもらえない。

そんなソニーを演じたヒースの演技は,すばらしかった。台詞はあまりないが,彼の傷ついた目の表情は,ソニーの心の痛みや悲しみを雄弁に物語り,哀れさに胸がしめつけられた。

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父さん,俺を愛してないだろ?」という問いに「ああ,愛してない。昔から」と答えたハンク。「俺は父さんを愛してた」と言って,自分の心臓に拳銃の弾を撃ち込んだソニー。

何てことを息子に言うのだ,この親父は!とこのシーンはハンクに怒りを覚えたが,考えてみれば,あのとき,あの場には祖父もいて,一部始終を観ていた。冷酷な祖父の手前,ハンクはソニーに「愛している」と素直にいえなかったのではないか。

彼は息子を愛していたはずだ

その証拠に,その後彼は「息もできないくらいの苦しみ」を味わい,看守もやめてしまう。自分も父親に愛された経験のないハンクは,ソニーに対して愛情の示し方を知らなかったのだろう。「自分の殻を破りたくてもできないんだ」と,レティシアに告白するハンクの台詞が切ない。

Cap050
ソニーの死後,レティシアと出会ってからは、ハンクはまるでつきものが落ちたかのように,哀しげで静かな表情になる。父親から受け継いできた「愛せない」という呪縛から、解き放たれることを願い始めたのかも知れない。

人種差別主義者だった彼が,黒人女性の彼女と結ばれる・・・・。最初のそれは多少は酔った勢いだったかもしれない。しかし,彼も彼女も,大きすぎる心の空隙を埋めるために互いのぬくもりを必要としていたのだろう。

同じような痛みを体験したものでないと理解できない苦しみがある。彼らは互いに,ことばの慰めでは得られない癒しを,与えあうことができる。

どんなに悔やんでも,,取り返しのつかない息子の死。その衝撃は,ハンクのこれまでの生き方を変えた。仕事を変え,呪縛となっていた父親と決別し,「愛する人を大切にする」生き方をしたいと願うようになったのだろう。一方、苛酷な人生に疲れはて、最愛の息子を亡くしたばかりのレティシアは、息子の代わりに誰かの温もりを必要とし、大切にされたい」という思いを持っていた。

Cap061
彼ら二人は互いを満たし合い,癒し合える条件を備えていた。ただ,彼が彼女の夫の処刑執行を行ったという事実にどう向き合うか・・・

ハンクは早い時期にそれを知り,それでも彼女を愛する道を選択するが,レティシアがそれを知ったのはラスト近くだ。激しいショックを受けた彼女だけど,チョコアイスを買って戻ってきたハンクを迎える彼女は,彼に対して何も言わない

入り口の階段に並んで腰掛け,アイスを食べながら,「俺たちきっとうまくいくよ・・・」とほほえむハンクをじっと見やって,レティシアもまた,うっすらと微笑する。
彼女はこのとき,
いったいどんな心境だったのだろう。

物語はそこで終わり,彼女が真実を知った後も,彼を受け入れたのかどうか,説明する台詞は何もない。観客のそれぞれの解釈に委ねられているかのようだ。

このラストの余韻は強烈で,私は彼女の心境をいろいろ想像して,昨夜はなかなか寝付けなかった。私が彼女なら,どう感じるだろう・・・・?ハンクの愛を,良心の呵責から来る憐れみの一種と思って,素直に受け入れられないかもしれない。

しかし,微笑む前の彼女の視線が,庭に立てられた三つの墓石に向かうのを思い出したとき,やはり彼女は,ハンクを受け入れることにしたのだろう,と思った。

レティシアの夫と,息子と,ハンクの息子ソニー。
三人の死を悼みながら,悲しみを克服して生きるためには,彼らはやはり,お互いを必要としているのだから。
過去の因縁も,人種の壁も関係なく,寄り添って生きる道を選んだのではないだろうか・・・・と,私は思う。

追記: ヒースが劇中で自殺してしまう作品。それがこのチョコレート。今,これを観るのは確かにかなり辛いものがあったけど,私は初見時に彼の演技をじっくり観てなかったので,出番は少ないけど,絶賛されたという,この作品での彼を再見してみた。そして,やはりソニーが死ぬ場面では泣けてしまったのだけど,こんな複雑でデリケートな役ができるヒースは,やっぱり凄い!と思った・・・。

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