リトル・チルドレン
DVDで鑑賞。不思議な映画だった・・・・。等身大の登場人物たちの,誰もがみんな少しずつ愚かで,好きになれないキャラなのに,何故かそれぞれに感情移入もできてしまう・・・・彼らの過ちや愚かさを高見の見物としてとらえることはできず,「自分も,もしかしたら・・・」と思えてしまう,だけどやっぱり,あんな生き方はしちゃいけないと最後には思える,反面教師のような物語だった。
これって,テーマは人間の愚かさ?
主人公のサラ(ケイト・ウィンスレット)は郊外に住む平凡な主婦。彼女は娘を遊ばせに立ち寄る公園で出会った主夫ブラッドと,不倫の関係になる。日々の生活に,倦怠と漠然とした不満を抱いていた彼女。彼女は,母親であるのに,娘より自分の感情を微妙に優先させる傾向のある,精神的に少し幼い人間として描かれている。
不倫相手のブラッドは,司法試験の勉強をするために,家にいて子守なんかさせられてる主夫。妻(ジェニファー・コネリー)は申し分なく美しく,おまけにキャリアウーマン。悪気はまったくないのだが,「今年こそ合格してね!」と事あるごとに夫を励まし,それが夫のプレッシャーになっていることに気がついていない。ブラッドがサラにひかれたのは何故なのか?なかなか受からない司法試験と妻の期待から生じるストレスのなせる技かもしれない。
まあ、ブラッドというキャラは,お人好しだけど思慮が足りないというか,サラとの駈け落ちに行く途中でスケボー少年の誘いにあっさり乗って,あんなことになっちゃうような、言わば考え無し人間に見える。
いずれにしても、人間の犯す過ちへの誘惑とは,ほんの些細なことがきっかけになって、その人の心の隙間,というか弱いところに忍び込むものかもしれない。
そして,この作品のサイドストーリーのように織り込まれているのが,小児性愛者で,服役経験のあるロニーを巡る物語だ。舞台は子どもの多い閑静な住宅街。出所してきた彼を,周辺の住人たちは,忌み嫌い,警戒するが,子を持つ親の反応としては当たり前かもしれない。彼がプールに姿を現したとたん,まるでジョーズでも出現したように,子どもたちを避難させる親たちの反応は,さすがに気の毒な気もしたが,私もそこにいたら,きっと皆と同じ反応を示していただろうなぁ。
そんなロニーを執拗に攻撃する元警官ラリーも,自分の過去の失敗(子供を誤射した)の埋め合わせに、ロニー排斥に力を入れてるみたいに見えて、彼の行動もまた痛い。
まるでモンスターのように見られていたロニーだけど、サラの駈け落ちに歯止めをかけるきっかけを作ったのは,何とロニーだった。彼が,母を亡くして嘆き悲しむ姿をみて、サラは自分にとって本当に大切なものが何であるかに気づくことができたのだろうか。ロニーの心の中の母への思慕が,サラに家族の絆の大切さを思い起こさせたのかもしれない。
この物語の登場人物を見ていると,完全な悪人も善人もいなくって,人ってみんな、勝手だったり,弱かったり,愚かだったり,もし全能者の目から見たら,みんなそんなに大差ない小さな子供のようなものではないかと思えてくる。
アメリカン・ビューティを思い出させる,人間観察ドラマ。辛辣で、滑稽で、可笑しさと哀しさの入り混じった物語。ラストには救いもあるので,ほのかな爽やかさや,あたたかさも感じることができた。
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ななさん~こんにちは!
私もこの映画は、色々な事を考えさせられ、色々な登場人物の心理部分に自分も重ねてみたり・・・と、そんな映画でした。
>サラの駈け落ちに歯止めをかけるきっかけを作ったのは,何とロニーだった。彼が,母を亡くして嘆き悲しむ姿をみて、サラは自分にとって本当に大切なものが何であるかに・・
そ、そうだったんですねー!相変わらず私ってば、ちゃんと映画見てないなぁ(^^;
すごく納得です。
アメリカン・ビューティーも、現代アメリカ過程の問題?みたいのを描いてましたよね。でも、あっちはあんまり共感とか出来なかったんですよ(面白く見たには見たけど)
私は、こちらリトルチルドレンの方が、あちらよりももっと面白いというか、好き(好きって表現は変だな~)というかでした。
投稿: latifa | 2008年1月11日 (金) 08時20分
latifaさん TBありがとう
この物語は,どこか幼稚で不完全な大人たちが
右往左往しつつも,最後は不思議と互いに癒し合うような
辛口なのか甘口なのか判断がつきにくい物語だったですねー。
主人公が主婦だったから
アメリカン・ビューティーより共感できました。
ケイト・ウィンスレットが体当たりで
普通の地味な母親役(それでも綺麗だったけど)をやってるのが
すごく好感を持てましたね!
私も,いろいろと考えさせられる作品でした。
また,後でお伺いしますね~~~
投稿: なな | 2008年1月11日 (金) 13時00分
ななさま、こんにちは。コメント&TBをありがとうございました。
TB届いているといいのですが。。
アメリカのサバービアものって皆似たようでいて、それぞれに面白いですよね。
やっぱり人間ドラマが一番面白いなぁ、と思ったり・・・。
この映画は、観てる間はブラッドが好きじゃなかったです。
でも、彼もやっぱり弱い、普通の人間なんですよね。
ところで、↑のジェニファーの写真、怖い~(笑)。
彼女もまた完璧なようでいて、実家の母を介入させる「リトル・チルドレン」なところがよかったですね。
ではでは、また来ますね~。
投稿: 真紅 | 2008年1月11日 (金) 19時28分
真紅さま
TB無事に届いています^0^
復活したみたいで嬉しいわ~~~。
ブラッドねぇー,考えてみたらこの方,中途半端な二枚目ですわね。
性格は三枚目ってとこかしら。抜けてるし。
でも,ジェニファーみたいな完璧女房の掌の上で転がされていたら
どうしてもちょっと息抜きしたくなるかもねー。
誰でも犯しそうな過ちってとこが怖くもあるのですが,
立ち直るきっかけもまた至る所に転がってるわけで・・・。
そこに救いを感じて,ほっといたしましたわ。
投稿: なな | 2008年1月11日 (金) 21時58分
こんばんは☆
大人になりきれない子供のような大人を作るのって・・・結局はそういう大人ですよね;
ロニーのママはいい人だったけど・・・どこかロニーとは上手くかみ合わない過去があったはずだろうな、なんて考えていたり。
でも母親っていうのも色々大変っすよ;子育て真っ盛りの私には非情に興味深いお話でした;
「がんばれベアーズ」の頃はジャッキーの大ファンだったので、あららーあんな大人になっちゃったのね~~と少しテンション下がりましたが;、彼はずっとあの子役時代の栄光と実生活とのギャップで色々あったのだろうなあ…なんて事も想いながら見ていたのでした。
投稿: シャーロット | 2008年1月11日 (金) 22時32分
ななさん☆
こんばんは〜
TBコメントありがとです☆
見応えある作品でしたよね〜。
誰もが皆、オトナ子供なのかも、、、。
ケイトウィンスレット演じた母も、
母親であるけど女であるわけで。
そのあたりも考えさせられちゃったな。
投稿: mig | 2008年1月11日 (金) 22時39分
こんばんわ~
この映画は公開直後のファーストデーで見ました、K・ウィンスレットは大好きな女優で(『乙女の祈り』以降出演作が冒険的で尚且ついい作品ばかりという理由)監督も「イン・ザ・ベッドルーム」の方ということで、そして「ハードキャンディ」で注目したP・ウィルソン出演というおまけつきで、期待してましたが、初めから「アメリカンビューティ」を思わせるコメディ?シリアス?って感じでしたね(音楽も「アメリカン」っぽくなかったっすか?)題材も似てるようでアメリカの問題点が描かれてるようで(でもこれって日本にもぴったりあてはまるんですよね~、公園デビューから、W不倫から、幼児性愛から、日本にもある!ある!って感じ)P・ウィルソンのブラッドはやはりあまりパッとせず、ただケイトは大胆演技同様熱演してて良かった、そして何といってもロニー役J・アール・ヘイリーが断然良かったですね~、
でもこの映画何を言いたかったのかな~、「アメリカンビューティ」同様悩みます、もちろんいい映画でしたが・・・
投稿: イニスJr | 2008年1月11日 (金) 22時44分
こんばんはー。
なんだか、、、ほんとうにいろいろ考えさせられるような映画でしたね。
私だって、、、将来母親になっても自分よりコドモを優先させられるかどうか、、、そんなの分からないし。
そのあたりがとってもリアルでしたねー。
あと、ケイトのちょっとおばちゃんっぽい体型もまたリアル。。。
投稿: きらら | 2008年1月11日 (金) 22時57分
シャーロットさん,こんばんは
>大人になりきれない子供のような大人を作るのって・・・結局はそういう大人ですよね
そうですねぇ,子供はそうそう親を超えれないものだから,自分が育てられたように,自分の子供にも接していくわけで・・・。
日本の昨今の子供たちを見てると,きっと昔よりもっとアダルト・チルドレンが増えてるんでしょうねぇ。
私,「がんばれ,ベアーズ」は未見なんですよー。
だから,ロニー役の方の輝いていた頃のルックスを知らないのだけど
演技力は相当のお方だってことはよーくわかりましたわ。
投稿: なな | 2008年1月11日 (金) 23時49分
migさん
退屈するかな?と心配してたのですが
冒頭の公園ママシーンから,惹き込まれました。
>ケイトウィンスレット演じた母も、
母親であるけど女であるわけで。
ほんとよねー,母になれば女を捨てるってわけにいかないし。
夫がもっと構ってあげてたら,こんなことには
ならなかったかも・・・。
でも,サラのような状況の主婦って,
どこにでもいそうですね・・・。
投稿: なな | 2008年1月11日 (金) 23時53分
イニスJrさん
ケイトは脚本を精選して出演作を決めてるらしいですね。
だから駄作がないんでしょうねー。彼女の体当たり演技は,「日陰の二人」で,ものすごい出産シーンを演じているのを観ているので,今回もあんまり驚きませんでした。役者魂の塊のような人ですね,彼女。
アメリカン・ビューティは,アメリカの中流家庭の問題点を抉り出していましたが,これは人間全体の問題がテーマのような・・・だから,日本にもあてはまるのでしょうね。
きっと何を一番感じ取るかは,観客に委ねられているタイプの作品なんでしょう。何か大切なことが語られているのは伝わってくるのですが,何が言いたいのか,はっきりしっかり声高に台詞にしては,言わない監督さんですねー。「イン・ザ・ベッドルーム」でもそれを感じました。ただ,基本的に人間をあまり高く買ってはいないお方ですね。この監督さん。
投稿: なな | 2008年1月12日 (土) 00時05分
きららさん,こんばんはー
>将来母親になっても自分よりコドモを優先させられるかどうか・・・
大丈夫,母親の本能で,イザというときは絶対優先できますよ~~,でも日常生活ではつい自分を優先するシーンも場合によってはあるかもって,私も思いますよ。
ケイトはヒップが大きいから・・・(笑)
ジェニファーがスタイル抜群だったから
余計に比較しちゃったわ。
投稿: なな | 2008年1月12日 (土) 00時12分
こんにちは。この映画、自分のこと言われているみたいで非常に見ていて辛かったです。
大人になれない人間。自分の周りにも大勢いそうです。
投稿: ぷくちゃん | 2008年1月13日 (日) 09時28分
ぷくちゃん こんばんは
コメントありがとうございます♪
自分のことを言われているみたいでしたか?
私も,自分の中の自己チューな部分を
彼らが代わりに演じてくれているような錯覚が少し・・・
本当に,大人な人って,実はあんまりいないのかも知れませんねぇ。
投稿: なな | 2008年1月13日 (日) 20時51分
ななさん、こんにちは♪
4人がそれぞれ自分の持ってるいやなところをちょっとずつ垣間見せてくれているようで、しんどくなりましたよぉ。
いろんな誘惑って自分の脆い部分から忍び込んでくるものなのかもしれませんね。
ただ、小児性愛のような性癖だけはどうにもならないようです。
ロニーの行動は哀しかったなぁ。
ケイトっていつもかなりすごいラブシーンとかヌードがあるんですけど、スリムとか磨き抜かれたボディじゃないだけにリアルで生々しいのよね(汗)
投稿: ミチ | 2008年1月14日 (月) 10時02分
ミチさんへ♪
>4人がそれぞれ自分の持ってるいやなところをちょっとずつ垣間見せてくれているようで・・・
そうそう,全員がちょっとずつ,っていうのがミソですわ。
特に悪人ってのがいなくて,みーんなすこしずついやな奴なのね。
そのバランスもお見事。よく考えて作ってありました。
小児性愛は治りませんね,きっと。
だからって,あの選択は・・・イタイなぁ。
ケイトは確かに豪快に脱ぎますね。タイタニックの頃から。
おっしゃるように,セレブらしくない庶民的な体型が,リアルで生々しいです。
顔はかなりの美形なんだけどね~。
投稿: なな | 2008年1月14日 (月) 17時14分
お邪魔します~
結構好きな映画でした。
劇中起こっている出来事の裏に隠された人間の心理!!みたいな映画が好きなのでツボだったのかも
で・・・サラやブラッドの気持ちも分かるなぁ~なんて思いながら観ちゃいました♪(ちょっとヤバイ?・笑)
ロニーのエピソードも切ないなぁ~とは思いましたが、面白かったです。
最後は「あらら・・・そうなるの?」とも思いましたが・・・残る余韻や、今後を想像させる雰囲気が好きでした~
PS.パトリックはいい男なんだけど・・・オデコがねぇ~気になるわん
投稿: 由香 | 2008年3月21日 (金) 12時12分
由香さん こんばんは
TBありがとうございました
>出来事の裏に隠された人間の心理!!
これこれ,私も大好き
私の場合特に,平凡な日常生活の中に隠された潜在的な願望,とか
思いもよらないところに待ち受けていた落とし穴,とかがツボにハマリます
基本的に意地悪なのかな,ワタシって・・・
サラの気持ちは,ほとんどの主婦の方が共感できるかもしれませんね。
反対に,ブラッド妻の気持ちは共感されにくいでしょう。
パトリックのおでこ・・・・ジュード路線をまっしぐらかな?
投稿: なな | 2008年3月21日 (金) 21時41分
なな様 こんばんは
リトル・チルドレン 見ました
大人になりきれない大人かぁ~(・_・) 僕も案外 そんな大人ですよ。 人間って 他人からみたら 未熟だなぁ~ってつっこまれること たくさんあります
些細な一言で人間関係が崩れてしまうこと あるじゃないですか。 言った本人は悪気はなくても、聞いた人からしたら「んだとぉ」 と目を吊り上げて怒ってしまうとかね
大人とかでも かならず 許せるところ許せないところ あります そこのところも本作で表現していました
ケイトウィンスレットですが リトル・チルドレンの製作前で すでにお子さんがふたりいます
一人目の夫、ジム・スレアプレトン(「グッバイ、モロッコ」の助監督)と'98年結婚
'00年10月12日に長女ミアをもうけましたが
'01に離婚
二人目の夫、映画監督のサム・メンデスと'03に結婚 同年12月22日に長男ジョーをもうけます。
が、サムとの意見のすれ違いなのか すでに別居状態サムは 父親が違ってもケイトの連れ子のミアをかわいがったはずですけどねぇ~
私生活ではそれぞれ夫の違う子供をもうけていて、それで 大胆に 男性との〇〇〇シーンを演じるとはさすが女優魂と いうところです
(〇は放送禁止用語なので出しませんでした)
投稿: zebra | 2011年3月 6日 (日) 19時40分
zebraさん こんばんは
日本人って最近特に
大人になりきれてない大人って
増えてきたように思いますが・・・。
う~ん,親とかへの依存度も高いし
親も子離れしにくいところがあるのかも。
いくつになっても子供のような純真さも必要ですが
自分で自分の言動に最小限,責任はとりたいものだと
私も常々自戒しています。
ケイトはいつも体当たりの演技をする女優さんですよね。
最新作では「愛を読むひと」の彼女が好きです。
投稿: なな | 2011年3月 8日 (火) 23時18分
こんばんは なな様
>ケイトはいつも体当たりの演技をする女優さんですよね。
>最新作では「愛を読むひと」の彼女が好きです。
もぉ~ なな様ったらぁ~
エッチ
と、まぁ~ 冗談はさておき たしかに 親とかに依存する子供って多いかもね
その気持ち わかりますが、肉親しか信じれない気持ちだけでは 社会の視野が狭くなるだけです
人間社会はいろんな考え方がありますし、それに合わせようとしても ソリが合わない人とか
それでも、人は人の中でしか生きられませんよ
投稿: zebra | 2011年3月 9日 (水) 20時16分
zebraさん こんばんは
親子の依存って肉親しか信じれないというよりは
互いを自分の所有物のように錯覚しているところにも
問題があるのかもしれませんね。
だから親離れ,子離れができないというか。
確かに人間の中でしか人間らしく生きてゆけませんが
程よい距離も取りながら適切な関係を築くのは
なかなか難しいことであるし
そういうことが下手な人が増えたような気もします。
投稿: なな | 2011年3月10日 (木) 00時02分