純愛中毒
おそらく初めて観た韓国映画。
そして,イ・ビョンホンの魅力に開眼した,記念すべき作品でもある。ちょっと変わったタイトルとか,ヒロインイ・ミヨンの清楚な美しさにも惹かれたのだけど。
これは,何といったらいいのだろう。恋愛映画のようなサスペンスのような,不思議で妖しい雰囲気の,そしてまた 韓国映画特有の「なんでこんなストーリー,思いつくかな~」と絶句するようなお話だった。(何か韓国映画の感想の度に,毎回言ってるな,この台詞)
ホジンとテジンは二人っきりの兄弟。ホジンは家具デザイナーで弟のテジンはレーサー。両親なき後,弟の親代わりとなったホジンは,家庭的で穏やかな性格。美しい妻のウンスとは,心から愛し合っている。
ある日テジンはレース中の事故で,ホジンはタクシーの衝突事故で,兄弟は偶然,同時に昏睡状態に陥る。先に意識が戻ったテジンは,「僕はテジンじゃない,ホジンだ。」と言い,兄の魂が乗り移ったのだと主張する。
これって,最近の作品では「記憶の棘」とかにも似た設定だ。どちらも恋愛ものなんだけど,サスペンスとオカルトの香りが漂う。「記憶の棘」は「輪廻転生」だったけど こちらは「憑依」。
うーん,愛した相手が全く別の人間に乗り移って「僕だよ」と言われたら・・・・?「愛してるよ,今でも。信じてほしい」と切ない瞳で見つめられたら・・・・?(どんな気がするか,想像もつきません,残念ながら。)
先日感想を書いた「絶対の愛」も,愛する相手が顔を変えて現れた場合,「さぁ,どうする?それでも愛せる?」というものだったけど,顔だけでなく,体も全て別人で,心だけ本人という場合,う~~ん,同じように愛せるかなぁ・・・。第一信じられるかしら,そんなこと。(ビョン様なら大歓迎!って,そういう問題じゃないだろ!)
でも,結構好きだ。
こんな迷宮ワールドに迷い込む物語って。 ウンスも最初は,戸惑いと不信で悩み苦しむ。夫が植物状態というだけでも 大変なのに,義弟が「僕はホジンだ,君の夫だ」と主張して譲らないのだから・・・。物腰も,性格も,今までとうって変わってホジンとそっくりになったテジン。
そんなこと,あり得ない。信じられない,
もういい加減にして・・・。
頑なに 信じまいとしたウンスだったが,テジンの口から,自分とホジンしか知らない出来事までが語られるのを聞くうちに,彼女は,テジンの中に宿るホジンの魂の存在を 信じるようになる。彼女を愛するあまりに,弟の体に乗り移ってまで 帰ってきた夫に対し,ウンスは遂に 心も体も明け渡すのだけれど・・・・。 ここから先のストーリーは言えない。最後に衝撃の仕掛けがあるので,観てのお楽しみ。この物語の中に描かれている「ある愛」を,はたして狂気と見るか,ただひたむきな純愛だと考えるか,それは人それぞれだろう。
私は,狂気とは思わなかったが,手段を選ばないほどの激しい愛は,やはり「中毒」というネーミングにふさわしいのかも,と思った。しかし,この作品の魅力は,ビョンホンの演技のうまさ(と,イ・ミヨンの美しさ)に負うところは大きいと思う。 ビョンホンのまなざしが,こぼれ落ちる涙が,とにかく切ない。暮れなずんだ雨の駅に,ホジンがかつてしていたように,傘を持ってウンスを出迎えるシーンは,何度観ても熱いものがこみ上げる。思いが叶って,ウンスと幸せな時を過ごすシーンでの,子供のような笑顔や,笑い声が可愛い。
そして私は初めて観たときに,ラストでテジンが海に兄の遺灰を撒きながら「兄貴,俺を許すんじゃないぞ・・・」と男泣きするシーンで「何て切ない台詞!」と号泣してしまったのだけど,これと似た台詞,韓国のドラマとかで 結構耳にするようになってから,今ではちょっと 最初の感激が薄れちゃって残念。
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すっごく好きな映画で、すっごく良かったわ~~♪って思ったのに、かなり忘れてるんですよ~(^^;;)
イ・ビョンホンがすっごく素敵だったことは鮮明に覚えてるけど(笑)
記事を読ませていただいて、あ、そうだったなぁ、と
思ったりしてるんだけど、今自分の記事読んでみたら
まぁ稚拙だし(^^;;) ラストも2通り・3通り考えられる、
な~んて書いてるんだけど、2通りはわかるけど
3通りって??って感じ(^^;;)
自分で書いておきながらこれですもん(^^ゞ
やっぱりもう一回見直します~♪
でも、ななさんも書いてらっしゃるけど きっと
あの最初の衝撃とか感激が少し薄らいじゃってるのを
実感するかも(^^ゞ
なんとも冴えない私の記事ですが、TBさせていただきました~m(_ _)m
投稿: メル | 2007年12月10日 (月) 08時15分
メルさん そうねー,これは私も初見時は衝撃を受けて,これから次第に韓国映画にもはまっていったんだわ。今考えてみたら,真相は,案外予想がつくことなのだけど,「・・・ほんとにそんなことが可能?」とか「・・・そこまでやるか?」という衝撃は大きかったですね。
でも,その「そこまでやる」ところが,韓国のよいところなんですね。韓国では,これは「不倫」どころか「破倫」だと物議をかもしたそうで・・・。何でも,兄嫁との関係なんて,とうてい許し難いことらしい,あちらでは。
たしかノベライズを買って読んだ記憶があるのですが,ノベライズのラストは,ウンスがテジンの愛を受け入れてましたね。
とにかく,ビョン様が切なくて,どんなストーリーでも感情移入してしまうわ,あれじゃあ。韓国イケメンの涙って,ほんとに魅力的ですねー。
では,また夜にゆっくりお伺いしますね!
投稿: なな | 2007年12月10日 (月) 10時14分
ななさん
TBありがとうございました!
この映画。ほんっと、ビョンビョンのせつなさに胸がしめつけられるようでした~。あの美しい目からこぼれる涙・・。
自分のブログにも書きましたが、あのDVDパッケージのせつない目がたまりません・・・が、映画には、あのシーンはありませんよね。
しばらく観ていないのですが・・・
えーと、赤い車の前で、ちゅっって軽くかわしたKISSと、雨の日に愛し合う時のビョンビョンの背中がステキ。そして、なぜか足(すね)に念入りにKISSしていたシーンが懺悔っぽくて印象的でした。
そんな事ばかりおぼえてるのかよっ!
タンポポはびっくりだよね。
ところで・・・
話は変わりますが、私は、なんと!「生ビョンホン」に会った事があるのでーす!
http://www.wmstyle.jp/archives/2007/07/14_205437.php
クラクラ来ました~!ほんとにステキでした~♪
投稿: こむぎ | 2007年12月10日 (月) 22時20分
こむぎさん こんばんは
わあ,生ビョンホンに会ったことあるんですか!い~なぁ。
生はさぞかし,オーラが凄いんでしょうね。
私は彼の顔もですが,何より声が好きだったりします。
じかに彼の声を聞けたなんて,羨ましいですねー。
そう,この映画のビョンさまのラブシーンは,どれも素敵で印象深いものばかりでした。
けっこうベッドシーンも長々と・・・。でも切なさが際だつシーンだったので,エロいとはあまり感じませんでしたねぇ。
なるほど懺悔・・・と捉えれば,しょっちゅう泣いていた彼の涙もまたひと味違って感じられますね。
投稿: なな | 2007年12月10日 (月) 23時19分