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2007年11月17日 (土)

フリーダム・ライターズ

Cap088 エリンヒラリー・スワンク)は人種間の暴動に明け暮れるロサンゼルスのウィルソン公立高校に赴任した新任の国語教師。理想に燃える彼女とは対照的に,クラスには不穏な空気が満ちていた。人種別に結成されたグループの間には,一触即発の険悪なムードが漂い,授業中でも,きっかけさえあれば,生徒間で暴力沙汰が起こる。彼らもまた、親たちと同じように,この街の暴力と憎悪の連鎖の中から,抜け出せないでいた。

支配階級である白人のエリンに向けられる,生徒たちの不信と敵意のこもった冷ややかな目。まだ15歳だというのに,抗争に巻き込まれて命を落とす危険にさらされ,「闘う」こと,「憎む」こと,そして「仲間のために死ぬ」ことにしか,意義を見いだせない彼らのすさんだ人生観。

そんな中でもエリンはひるむことなく,彼らに生き甲斐や誇りを持たせようと,さまざまな取り組みを始める・・・・。

予告を読んだとき、小学生じゃあるまいし,そこまですさんだ生徒たちの心が日記を書かせるくらいで,そんなにうまく変わるものか?と半信半疑だった。しかし、物語を追っていくうちに,納得できた。なぜ,エリンは,彼らを「変える」ことに成功したのか。
彼女の情熱と愛の力は言うまでもないが,それに加えて,なにより教師としての資質がすごく優れているのだ,彼女は。
Cap097 生徒の状態に合わせた柔軟な対応やアイデア。型にはまらない授業形態と教材選び。最初の頃の取り組みのライン・ゲームに感心した。エリンの質問に,自分が当てはまると判断した生徒は,教室の真ん中に引かれたラインまで進み出るというシンプルなゲーム。最初は他愛のない質問から始まったが,次第にシリアスな質問に移り,「友達が殺された人は?」という質問では大多数の生徒がラインに進み出る。今まで反目しあっていた彼らが,ラインを隔てて近く向き合った時,自分たちが,実は同じ痛みを経験した者同士だということに初めて気づく。

そして開始される一人一冊の日記。それまで抱え込んできた痛みや苦しみを書き表すことは,すなわち心の解放であり,癒しの効果がある。彼らはまず,自分の内面をエリンに伝えることからスタートし,後にはクラスの仲間の間でも,気持ちを伝え合えるようになってゆく。

生きることに自暴自棄になっていた彼らに,命の大切さを教えるために,エリンはホロコーストに教材のテーマを見いだし,自腹を切って彼らを博物館の見学に連れ出す。アンネ・フランクをかくまった老婦人に感想を送る取り組みでは,生徒から出た「彼女を招待して話を聞きたい!」というアイデアを,万難を排して実現させた,エリンの行動力と情熱に脱帽した。(考えてみれば,総合的な学習よね,これ)
Cap103 たとえ自分たちを取り巻く世界の実情は変わらなくても,彼らは変わることができた。教育の力で,エリンとの出逢いで。

教育現場を舞台にした感動作は「ミュージック・オブ・ハート」とか,「コーラス」とか,優れたものがたくさんあるけど,この物語ほどパワーに満ちたものはないように思う。

仲間と心が繋がり,生き甲斐を見いだすにつれて,
輝きを増してゆく,彼ら一人ひとりの顔がまぶしかった。直球の感動ではあるけれど,実話というのがやはり,何とも嬉しくなる物語だった。

追;エリンの夫・・・ショーン・ペンをソフトにしたような優しい人だけど・・・妻に構ってもらえなくて離婚したくなる気持ちもわかるけど・・・やっぱり,アンタ 甘えんじゃないわよ!命がけで生きている生徒たちの事情や,エリンの苦労も知らずに,「生徒と結婚生活と,どちらを選ぶんだ?」なんて聞くな!

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コメント

こんばんは!

エリンって、新人の先生にしては、人間観察にすぐれているし
ななさんがいうように教師としての資質が優れていたんだね。
ラインゲームもいアイデアでしたよね。
同じ痛みを経験させ、そしてみんなで癒す。なるほどなあです。

生徒たちが変わってゆく姿は素直に感動しました。
実話なりの説得力がありましたね。
旦那さんとは価値観が違ったんだろうね。。。

旦那もねー,同職だったらよかったかと。
普通,教師は教師と結婚することが多いけどね,
日本では。
互いに助け合えるし,「同士」みたいに理解も深まるし。
あの夫婦は,夫と妻の役割が逆転しているように見えました。
まあ,エリンのような教師としてのある意味「天才」は,結婚には向いてないのかもしれませんね
(あら,今度は夫に同情?)

ななさん、こんばんは。

トラコメありがとうございました。
日本では、先生が自腹で…なんてまず有り得ないと思うけど、そこまでして自分達に教えてくれるって、子供には伝わりますよね。
それと、彼女は押し付けがましくないのが良いです。
私が高校の時、体育祭で優勝したら先生が行きつけのラーメン屋さんで奢ってくれると言ったら、皆、張り切って優勝しちゃいました(爆)
それで少し先生と距離が近くなったような気がしました。

そうそう、この旦那、要らない(爆)
せめて誘った時に現場へ行って欲しい。
彼女の何も見ないで、言ってる事が子供っぽい!

オリーブリーさん,こんばんは
そうですねー,日本でも多少の自腹なら(教材代とか,おやつ代とか)は切る先生は多いと思いますよ。(全く切らない人もいますけど,中には)でも,エリンのような多額の自腹は切らないなあ・・・。それに彼女はお金だけでなく,時間も勤務時間以外を多く生徒に捧げていましたね。
きっと夫は生徒に嫉妬したんですよ・・・。
子供だなあ。

エコーありがとうございました。エリンの発想力と実行力はとても
新任教師とは思えないですよね、先輩教師達に対しても自分の意見を
真っ向からぶつけるしいったんこうと決めたら真っ直ぐですね
旦那さんの気持ちは分かるんだけどもっとエリンの気持ちを理解してあげないとね
結局彼は「自分」が中心なんですね、エリンの才能に引け目をかんじて
の決断だとも思うしその辺器が狭いといえるかもしれないですね

せつらさん,いらっしゃいませ。
はじめまして,よろしくです。
そうですね,エリンの凄いところは,先輩教師の妨害に屈せずに初心を貫き通したこともありますね。
先輩教師の言い分も,わかる気はするし,こういう「待った!」は,日本でもどこでもしょっちゅうかかりますよね。
教育界は保守的ですから。
旦那さんは,決して悪い人ではないけど,実はエリンと相性がよくなかったね。
お互い,選ぶ相手を間違えたのでしょう。

ほんと、素晴らしい先生でしたね~♪
おっしゃる通り、あの学習の数々はいわゆる「総合的学習」ですよね。
あの博物館に行くところなんかも、ああいったこと
あっちの学校じゃそれまでやってなかったの?って
疑問に思ったくらいでした。
日本じゃ、遠足とか社会科見学と言う名の下に
美術館とか博物館とか、工場とか、その他もろもろ
楽しめるけど勉強にもなるというところに行きますよね。
小学校でも中学校でも。

いわゆる教育者としてというよりも、彼女の人間性が
彼らを救ったのかも・・と思いました。

TBさせていただきましたm(_ _)m

メルさん こんばんは TBありがとうございました。
そうですね。博物館もそうだけど,生徒の発案で始まったアンネをかくまった婦人を招待する試みは,完全に立派な総合学習ですね。子どもたちは,自分たちが発案したことに対しては意気込みが違います。でも,現実には,予算とか引率教員の不足とかで,生徒の発案を叶えてあげるのって結構難しいのですよ。その点,エリンの行動力には感心しましたね。
そう,彼女のあたたかい人間性と,情熱が彼らを救ったのでしょうね。

こちらにも・・
最近見ましたのでコメントさせてくださいね。
教師としての指導力が優れていましたよね。
ああいう先生・・子どもに欲しいですね。
旦那さんですよね・・・甘えいますよね~~~笑
奥さん独り占めしたいほど、好きだったのでしょうが、
もっと大きな器の人じゃないと
彼女とはつりあいとれないのでしょうね。
色々コメント残したい作品が
ありましたのでまたお邪魔させてくださいね。
今後ともよろしくお願いします。

みみこさん,こちらにもコメントありがとうございます。

素晴らしい教師の物語でしたね!
こんな教師との出会いは,子供にとって一生の宝物になると思います。
日本には,ここまでできる教師はいないかなぁ・・・・
エリンの夫,確かに器が小さすぎて
エリンのようなスケールの大きな妻とは合わなかったのでしょうね。
私はこの作品で,夫役のパトリック・デンプシー初めて観て
第一印象はコレですから,あんまりよくなかったのですが
後に「魔法にかけられて」で見直しました~(単純)

私のほうこそ,これからもちょくちょくお邪魔させてくださいね!

はじめまして。
この作品を最近観た者です♪

ラインゲームのラインは何だと思いますか?
なぜそう考えるのですか?
教えていただけると嬉しいです★

みゅうみゅうさん こんばんは

何年も前に観た作品なので細かい記憶があいまいで申し訳ないですが,ラインゲームというのは,互に不信感や孤独感にすさんでいた生徒たちを「ゲーム形式」でリラックスさせながら「共感意識」を持たせるためにエリンが行ったゲームだったと思います。確か最初は「男性」「女性」とかいう簡単でとっつきやすい条件を出してラインに進みださせ,徐々にシリアスかつ生徒たちの根底にある痛みや悩みにまで踏み込み,生徒たちに「みんな同じ痛みを抱えているんだ」ということに自然と気づかせる・・・・理屈や説教ではなく,ゲームを通して自然に生徒たちの間に共感意識を芽生えさせた・・・のだと。ラインに進み出るということは,心を閉ざしがちな生徒たちにとっても自分の痛みを外に向かって「告白」することでもあり,互に理解しあうための第1歩となったと思います。

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