太陽と月に背いて
この映画、詩人のランボーとヴェルレーヌの自伝的な物語なのだそうだけど,ランボーを演じている若き日のレオナルド・ディカプリオがすごく美しいらしいので,観てみた。(理由はそれだけなんだけどね)。最近やや堅肥りになり 眉間の縦じわもめだってきたレオ様の、(失礼)まぎれもなく美青年だった頃を懐かしんで・・・。
おおお〜!
確かに輝くばかりの 匂い立つような若さと美しさ!タイタニックのレオより美しく,魅力的ではないか。スレンダーで,初々しくて。まるで子鹿のようにしなやかで。物語は,一口に言えば,彼らの間に繰り広げられた,破天荒で破壊的な愛憎劇。史実に基づいているらしいけど,本当にランボーってこんな男だったのだろうか?
彼の詩がどんなものか,読んだことはないけれど,この物語のランボーは,際だった才能を持ち,傲慢で,不遜で,他人の思惑など一片も顧みない,まことに鼻持ちならない人物に思えた。同時に,彼の天真爛漫で,どんなときにも物事に捕らわれない自由な生き方は,確かに麻薬のような魅力があると言えなくもない。
お相手のヴェルレーヌは,全くもってどうしようもなく情けない男として描かれている。美しい妻の体を愛しながらも,ランボーの才能や魂にメロメロになり,彼との逃避行に踏み切るが,妻との関係も断ち切れない。(まあ,最後はあいそをつかされて離婚されちゃうのだが)おまけにアルコール中毒ときた。
優れた才能を持った芸術家は,
平穏で凡庸な恋愛とは,やはり縁がないのだろう。
新しいものを創り出す才能を持って生まれた彼らは,同時に容赦無く破壊する習性もまた持っているのかも知れない。彼らの間の愛は 常軌を逸脱した激しさと危うさを持ち,互いに深く傷つけ合いながら、痛ましい終焉へと進んでゆく。
ランボーは、ヴェルレーヌの手のひらをナイフで刺し貫くが,ヴェルレーヌもまた、自分から去ろうとした ランボーの手のひらを,拳銃で撃ち抜いてしまう。(まるでキリストの磔刑の傷のようだ) 二人の愛憎劇は,恐れ知らずのランボーの方が,気弱なヴェルレーヌを振り回しているようにも見えた。
どっかで似たようなお話を観た覚えがあると考えてみたら,究極の腐れ縁という点で,ブエノスアイレスに似ているような気もした。もっとも,この「太陽と月~」は,主人公二人が詩人という芸術家だから,「ブエノ〜」よりもっと彼らの心情を理解するのが,凡人には不可解かもだ。
彼らの間に存在したものは,愛だったのか,それとも肉欲だったのか,はたまた打算にすぎなかったのか。晩年のヴェルレーヌが,ランボーとの怒濤のような日々を回想した時,脳裏に浮かんだのは,ナイフで掌を刺し貫く代わりに優しく接吻を返す ランボーの面影だった。
彼らの間に、常人の理解は超えていても、確かに愛は存在したのだと思う。あの二人,特にランボーは,あのような愛し方しかできなかったのかもしれない。たとえ自分と似た魂をもった相手に 巡り会えたとしても,相手に与えるよりも,奪うことしかできず,傷つけることで愛を確かめるようなサディスティックな愛し方。
この作品のレオは,勿論光り輝くばかりに美しいが,かなり難しい役であるにもかかわらず,確かな演技力も見せてくれている。ランボーの持つ,並はずれた知性の煌めきや、狂気と見紛うほどの激情や、幼い子供のような純粋さ。
万人受けする内容でないので,未見の方も多いと思うが,レオが好きなら必見。
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1995年 英 アグニエシュカ・ホランド監督
野生児
原題は「TOTAL ECLIPSE」 日食または月食の意味らしい。邦題は頑張った方かもしれない。この頃のデカプリオはミニシアター系の小品にばかり出ていたが、今よりも断然輝いていた。彼が夭折の天才詩人アルチュール・ランボーを演じるという噂を聞いて、そのあまりにもドンピシャリなキャスティングにワクワクしたものである。デカプーは期待にたがわない演技と容姿でランボーのイメージを体現してみせた。まさしくランボーはこんな風な少年だったろうと思う。写真を... [続きを読む]
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1871年パリ、高名な詩人ヴェルレーヌを頼って若きアルチュール・ランボーがやってくる。ヴェルレーヌはランボーを家に招くが、ランボーの奔放で粗野な態度にヴェルレーヌの妻マチルドやその両親は嫌悪感を抱き、ランボーは家を追い出される。しかしランボーの才能に惚れ込んだヴェルレーヌはランボーに別の住まいを与え面倒をみるうち、次第に2人は恋愛関係へと発展する。一方、ヴェルレーヌとマチルドの関係は悪化。ヴェルレーヌとランボーは旅に出て、2年の月日を共に過ごす。若さと自分の才能を持つランボーは好き勝手に生き、ヴェル... [続きを読む]
うわ~~~ななさん!!
どこからこんなに美しいレオの写真をゲットされたのですか?!
しまった!!!ドキドキする・・・
ななさんの記事を読んでしまった今となってはもう遅い。頭がレオ君ランボーでチカチカします。
私は思った以上にこの映画のレオ君が好きみたい・・・
とりあえず焦った気持ちを落ちつかせるために、自分の記事での評価の点数を3.5点から4点にしました(んな、いい加減な・汗)
私は、ランボーがヴェルレーヌの手のひらを刺すシーンと、奥さんとの逢瀬に押しかけてランプをパイプで割るシーンがメチャメチャ好きなんです!!
あそこだけでも何十回も観ました(照)
本当に気絶するほど美しいレオ君・・・
ああ~昔のレオがたまらなく好きです!!
ランボーは実際も鼻持ちならない粗暴な人だったようですね。ヴェルレーヌも、どうしようもない人だったようで・・・
才能ある人間って、『容赦無く破壊する習性』を持ち合わせちゃってるんですね~まったく・・・
ああ~今週中にまた観よう・・・あの激しく危うい美しさに何度でも会いたい!!
投稿: 由香 | 2007年10月23日 (火) 22時46分
由香さん いらっしゃいませー。
うふふ,画像は全部DVDからです。
上から二番目のは特典映像の中のフォトギャラリーというやつからです。
トップの画像は,確か二人がイギリスに着いたシーンですが
美しいレオの背後のおっさんがキモイです。・・・切り取りゃよかった,コヤツ。
もうもう,レオが美しすぎですね。
私も,彼がランプをたたき割るシーン大好きです。
「君の女房だから好きにしろ」とにっこり笑った次の瞬間に,ガチャン!ですからね。
なんで今までこの作品を観なかったんだろう。
きっかけを与えてくれた由香さんに大,大感謝ですよ~。
またいい映画を紹介してくださいね。
DVD買って正解でしたよ。
投稿: なな | 2007年10月24日 (水) 00時21分
ななさん、こんばんは。
この頃のディカプリオって本当に美少年ですよね~。・・・このままで行って欲しかったのに・・・どこでどう間違ったのか・・・。
この作品を観た当時は、ヴェルレーヌが醜すぎる!と思っていたのですが、今から考えるとデヴィット・シューリスなんですよね~。「シャンドライの恋」とかすごく好きなのですが。
投稿: mayumi | 2007年10月24日 (水) 23時24分
mayumiさん,お立ち寄りくださってありがとうございます。
私はタイタニックのレオが一番美少年と思っていたのですが,
それを上回るレオに逢えました!
>このままで行って欲しかったのに・・・どこでどう間違ったのか・・・。
あはは・・・それは,体型でしょう。
レオは小柄だから,太っちゃいけなかったのですよ,多分。
太ってるとは思わないけど,童顔なのに堅太りになったな~とは,
アビエイターを観た時に思いましたね。
でも,ブラッドダイヤモンドを観たときに,
容貌の変化はともかく,彼の演技はたいしたものだから,
これからも成長を遂げてくれる俳優さんだと思いましたけど。
デヴィッド・シューリスさんは,今でも
いろんな作品で名脇役として活躍されていますよね
禿げてない髪型の時はけっこうダンディで,いい感じです。
投稿: なな | 2007年10月24日 (水) 23時46分
こんにちわ
かなり前に見たこの映画の詳しい内容は覚えてないんですが、掌に傷をつけたり、二人が友情以上の関係というのは、覚えてますね、そしてまずレオの若さと美しさも焼きついてます、この頃は20歳前後にもかかわらず、もう少し若く見えます、華奢で童顔なレオも役者としてきっと悩みがあった時期もあったような気が、個人的にはします、最近は「ブラッドダイアモンド」「ディパーテッド」など、強くて優しい大人の男を演じて、(きっとこれらの作品で同性からの支持も受けてるはず)成長したレオ、環境問題などもきちんと考えられるレオは、ハリウッドの顔として定着してくれることと思います、
最近のレオ(堅肥りの)美しさはないけど、好きです、なんか一皮剥けたようで、でも若い頃のレオも貴重ですけどね。
投稿: イニスJr | 2007年10月25日 (木) 10時39分
イニスJrさん こんばんわ
ずいぶん前の鑑賞でも,やはりあの掌を刺すシーンは記憶に焼き付いていますか。
・・・狂気ですよね,殆ど。刺したランボーもランボーだけど
普通そんなことされた地点で逃げ出すのに,
そうしなかったヴェルレーヌもまた異常かも。
でも,彼らの危うい情熱が,くらくらするくらい魅力的にも思えました。
レオに想われたら,もう「どーにでもしてくれぇっ」て,なっても仕方ないかも。
現在のレオで,一番感動させてもらった作品は
ブラッドダイヤモンドでした。
精悍で,複雑で,ワイルドな素晴らしいレオでしたよ。堅太りでしたけど。(笑)
投稿: なな | 2007年10月25日 (木) 21時09分
おお。ななさん。ご覧になりましたのねん。
ほんと、この頃のデカプーはキレイでしたね。ほっそりとして。昨今どんどん体格がよくなって、どうかするとフィリップ・シーモア・ホフマン臭も漂わないではない彼ですが、この時はボーイッシュな美少女みたいで少年ランボーにピッタリでしたね。このあと「ロミオ&ジュリエット」までが(一般的には「タイタニック」までかな)彼の美貌の花盛りでしたが、まぁ、みるみるオッサンになったもんですねえ。ワタシはデカプーは絶対に太らないタチなんだろうと思っていたので、最近の姿を見ると「少年は老い易いなぁ」とつくづく体型の変化も含めて感慨がありまするわ。感慨ともどもTBさせてもらいました。(笑)
投稿: kiki | 2007年10月27日 (土) 12時20分
KiKiさんもこの作品の記事を書いていらしたのね。さーすが!
最近のレオがシーモア・ホフマンって・・・言えてるかも。
頼むからもうこれ以上太るな!レオ。
まあレオが当時の美少年っぽい面影のまま
ダンディに年をとるのも不自然かもしれませんが。
ランボーの詩は知りませんが,この映画を観てランボーの顔の方に興味をひかれて
サイトでランボーを検索してみたら,やっぱり神経質そうな美少年でした。
少年は老い易い・・・哀しい真実ですわね。
投稿: なな | 2007年10月27日 (土) 13時14分