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2007年9月27日 (木)

暗い日曜日

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曲を聴きながら自殺する人が続出・・・第二次世界大戦前夜「自殺の聖歌」と呼ばれ,発禁処分になった曲があった。その曲の名こそ「暗い日曜日」。この映画は,この曲が誕生したいきさつと曲の伝える妖しくも哀しいメッセージを,その時代に生きた三人の男女の恋愛模様とからめて描いた,芸術の香り高い物語である。

舞台はハンガリーのブタペスト。登場する三人の男女は・・・。レストラン・サボーのオーナーであるユダヤ人のラズロとその恋人イロナ。そしてその店の雇われピアニストであるアンドラーシュ。

彼ら三人が築いた,美しいイロナを中心とした三角関係。優しくおだやかで包容力に溢れたラズロと,繊細な情熱を秘めた若々しいアンドラーシュ。イロナはどちらの男にも 愛を感じる自分を偽ることができず,男たちもまた,イロナを失うよりは,危うい均衡を保った三人の関係を続けることの方を選ぶ。Cap004 「暗い日曜日」はアンドラーシュがイロナのために作った曲。ラズロの店で演奏されるやいなや,たちまち評判になり,またたく間にヨーロッパ全土に大流行してゆき,その妖しく美しい旋律は,何故か多くの人を死へと誘うことになる。

「この曲は何かのメッセージを伝えようとしているんだ。」と,悩むアンドラーシュ。おりしもナチス・ドイツの台頭は,彼らの住むブタペストにも,次第に 不穏な影を落とし始めていた・・・。
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ラズロを演じたヨアヒム・クロールは,ドイツ映画ではよくお顔を見かけるが,この作品でも,円熟した深みのある演技を見せてくれていた。ユダヤ人であるラズロ。人生を伊達には生きてこなかった人の持つ,よい意味でのしたたかさや冷静さ。愛するイロナを,若いアンドラーシュと共有することは,彼にとって大きな痛手には違いないが,まるで父親のような寛容さと献身的な愛で,彼はイロナを包み込む。
Cap012_2
アンドラーシュを演じるステファノ・ディオニジは,映画カストラートで少年の時の去勢により,驚異的な音域を持つに至った伝説の歌手(カストラート)であるフェリネッリを演じた人だ。今作では,ラズロとは対照的な,傷つきやすい心を持った,陰鬱な青年を好演していた。

そして何と言っても特筆すべきは,イロナを演じたエリカ・マロジャーンの,崇高なまでの美しさ。 もう,なんと言ったらいいのか。顔立ちだけでなく,立ち居振る舞いまでもが,神々しいまでに美しくて,男性なら誰でも目を奪われずにはいられないだろう。
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二人(ハンスも入れて三人)の男性を虜にしたのも,彼女なら納得の美しさだ。

そして,もう一つ忘れてならないのが,この作品の真の主役かもしれない「暗い日曜日」の旋律。映画「シンドラーのリスト」でも,冒頭で,シンドラーが身支度をするシーンで,ラジオからこの曲が流れていたのを思い出す。この曲の妖しいまでの哀愁を帯びた旋律は,まるで誰かが悲しみにむせび泣いているように私には聞こえた。

劇中でハンスが,この曲のことを「不思議な曲だ。まるで
聞きたくないことを耳元で言われているような気がする」と言っていたが、この曲の持つ,人の心の奥底に眠っている痛みや悲しみを否応なしに引き出してしまう魔力が,あの暗い絶望的な時代に多くの自殺者を生んだのかもしれない。
Cap007
物語は,この曲に関するミステリーの他にも,ナチの将校ハンスとラズロの間の友情と裏切り,悲劇と復讐などが程よく盛り込まれ,飽きないストーリー展開となっている。ラストには,ちょっとした小粋などんでん返し風のオチも用意されており,いきなりサスペンスタッチになって幕を閉じるのもなかなかオシャレな作品だった。

1999年の映画ではあり,レンタルショップでも見かけないかもしれないが,とてもよい作品。ヨーロッパ映画のお好きな方,音楽のお好きな方には強くお勧めしたい。

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コメント

こんばんは!コメントTBありがとうございました!
ななさん、私のハンドルネームを見て「おやっ」と思われたでしょうか(笑)?
同じようなセンスの方なのかな?とワクワクしてしまいます☆

この映画、自分はこんなにハマる素晴らしい映画とは、想像しませんでしたので、掘り出し物、のように感じたのですが、
ななさんは、この映画が本当にお好きなんですね!
それを聞いて、とっても嬉しいです。

あの2人を肩車した映像、すごく心に残りますよね☆
この映画に関しては、いくらでもたくさん語れそうです。
素晴らしい映画でしたね!

とらねこさん ご訪問ありがとうございます。
お名前も同じことではあり,これからもよろしくお願いします。
これはDVDがリリースされてから,幾度となく鑑賞したほんとにお気に入りの作品ですが,世間では今ひとつ知名度が低いのが悔しくて・・・。
でも,映画がお好きな方なら,必ずどこかに楽しめる要素は入っていると思います。ストーリーがよく練られているし,サスペンスの要素もありますからね。
ラストはちょっと「してやったり」という少々のカタルシス(?)も感じさせてくれましたよ。
また,他の記事にもおじゃまさせてくださいね。ではでは。

ななさん~こんにちは!
この映画、私は最近初めて見たのが悔しくて・・・。
もっと前から見たかったな・・・
出来れば劇場でロードショー時に見たかった・・・(T_T)

ラズロを演じたヨアヒム・クロールさんってドイツ映画に色々出演していらっしゃる方なんですねー!知らなかった・・・。
それと、アンドラーシュを演じるステファノ・ディオニジさんの「カストラート」って映画も未見です!内容がなんだか凄く面白そう。
今度レンタルショップで探してみようと思います。
ななさん、ほんと映画詳しいですねー!!
TB承認後表示の件、了解です~☆

latifaさん、いらっしゃいませー。TBもありがとうございます。
カストラートは、古い映画なのですよ。イタリア制作だったかな?
レンタル屋さんにももうビデオしか置いてないです。DVDも出ているのですが、あまり出回ってないようです。アンドラーシュ役のステファノさんが、デーモンみたいな白塗りメイクに紅白の小林幸子みたいな豪華な衣裳で歌うのが圧巻です。時代は、なんとヘンデルの時代なのですよ。この頃のイタリアでは、ボーイソプラノ維持のために去勢された歌手のことをカストラートと呼んだそうです。
カストラートとしての哀しみも胸を打ちましたが、彼の歌声がもの凄く素晴らしい!人間ばなれした高音域が出るのです。声は、もちろん吹き替えですが、テノール歌手の声と、ソプラノ歌手の声を合成して作ったそうです。彼が歌うヘンデルのオペラ「私を泣かせてください」は素晴らしかったです。後にも先にも聴いたことがないほど。
カストラートについて熱く語りすぎてしまいましたが機会があればぜひ御覧ください。ではでは。

ななさん、こんばんは。TBありがとうございました。
主役3人の絶妙な関係が良かったですよね。あのままで幸せだったのに、時代がそうさせてはくれなかった・・・というところでしょうか。
そして、「暗い日曜日」という曲・・・そうでしたか、「シンドラーのリスト」にも使われていたのですね。・・・そういう時代背景のリサーチは欠かさないのね、スピルバーグ。
ラストのオチにはびっくりしましたが、女性のしたたかさを感じました。何年たっても恨みは晴らす!という信念が凄い。でも、わかる気がします。

mayumiさんおはようございます
TBもありがとうございました。
絶妙な三角関係でしたが,イロナの美しさを考えれば,それも仕方ないかなと思うくらい,結構いい関係だったのに,ラズロがユダヤ人だったせいで悲劇になってしまいました。
あのまま悲劇で終わっても,それはそれで完成された作品になったと思いますが,おまけのようについたどんでん返しが,予期してなかっただけに意表をつかれて気持ちよかったです。
そう,女性はしたたかなのですよ・・・。

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 1999年/ドイツ・ハンガリー  監督/ロルフ・シューベル  出演/エリカ・マロジャーン  前半は不思議な三角関係、後半は戦争の残酷さを描いた作品。とても見応えがあった。  第二次世界大戦前のハンガリーが舞台。あるレストランで生まれた名曲「暗い日曜日」は人々を死へと誘う。作曲者はそれに悩み、苦しむ。そんな彼を支えるのがレストランのオーナーと、オーナーの恋人の女性。この3人の関係がものすごく不思議。でも、絆を感じる。特にオーナーがめっちゃイイ奴!中年のオヤジなんだけど、包容力がある。... [続きを読む]

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