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2007年8月13日 (月)

ブロークバックマウンテン(2)

あの山へと向かう想い
Cap014_2

確かにこれは同性愛,ゲイのお話。でも,イニスとジャックが20年もの長きに渡って,2000キロもの距離をものともせず,命の危険さえ顧みずに互いを思い続けたことを考えると,愛というものの持つ不可解で絶対的な力に,一種の畏れを感じずにはおれない。

いったい二人はどうすればよかったのか。

いろいろ 考えてみても,この世ではやはり解決策はなかったと思う。逢えない辛さに疲れきって,道ばたで一人孤独に息を引き取ったジャック。ジャック亡き後,彼のシャツを抱きしめて初めて愛に気づくイニス。彼らのたどった運命が可哀想すぎて,私の思いはいつも,二人が最も幸せだった,あのブロークバックマウンテンへと帰って行く。

あのまま,二人が山を降りずにすんだなら,
どんなに良かったかと・・・・・。

考えてもしかたないことを繰り返し思ってしまうのだ。

寡黙な中にも,ジャックへの不器用で激しい愛を体現してみせたヒース・レジャーの演技は見事。ジェイク・ジレンホールの演じたジャックの繊細な愛情深さもまた,心に焼き付いて離れない。

彼ら二人の若手演技派俳優の醸し出す奇跡のケミストリー。かわす台詞やまなざし,仕草の一つ一つが,決して大げさではないけれども、二人が互いをどれほど「好き」か美しく,重く,観るものの心に訴えかけてくる。

Brokeback_0413_3絶望的で,残酷で救いのない愛の物語なのだけど,なにか途方もなく「美しいもの」を見せられた気持ちになってしまった。

イニスの,そしてジャックのそれぞれの喜びと悲しみ。それはどちらも最大級で,純粋なもののように私には思える。そしてそれが誰もが持っている心の一番奥深いところにある琴線に触れるから,深く切ない共感を呼び起こすのだと思う。

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コメント

こんばんは、初めまして!ロボといいます。今回は昔の記事にコメしてすみません。ゆきちママさんのところからとんできました。ななさんのブログとてもおもしろくて、3月くらいまで読ませていただきました。
私はBBMに心を奪われ未だに遭難中の身です。ななさんのBBM記事は一粒一粒時間のあるときにかみしめるように読ませていただいています。自分の気持ちを上手に言い表してもらっているような、何とも言えず幸せな気持ちになり、BBMの感動を再びなぞっているような感じです。
ところで、今日こちらの記事を読んですごいことに気がついてしまいました!(私的に!)
ぶしつけで恐縮ですが、ななさんはヤフー映画レビューのBBMにレビューを書かれましたでしょうか。私もBBMを見たとき矢も楯もたまらず初めてヤフーにレビューを書いたのです。その後、多分ななさんのレビューを読んで、なんて自分と同じように感じる人がいるんだろう(感情のひだが同じというような)、そんな印象を勝手に持ってとてもびっくりしました。
それで、お気レビさんに登録しようと思っていた矢先に、なんとその方が先に私をお気レビさんに登録してくれたのです。私にとっては初めて自分をお気レビ登録してくれた人で、とてもうれしく、何かすごーく不思議な感じがしたのです。自分も最速その方をお気レビ登録しました。今日記事を読んで私は長年探していた人に出会えたようなかんじでじーんとしています。
まちがっていたらすみません。初めてのコメントなのに本当ぶしつけでもうしわけありません。
BBMの記事は、ヒースの追悼記事と、一番最後の記事を読みました(後ろから読んだんですね)。イニスとジャックにあてた手紙は本当に本当に私も一言一句違えることなくそう思います。ヒースの死に再び思いをはせ・・。私(も?)ジャック派だったんで、ヒースがなくなって初めて自分の中のヒースの大きさを感じてます。
最初に送るコメにしては少々風変わりになってしまいましたが、長文含めて失礼お許し下さい。
また、よければコメさせていただいてよろしいでしょうか。

ロボさん おはようございます そしてはじめまして。
ゆきちさんのお宅からいらしたのですね。
封切り後数年たつのに,いまだにBBMの山から下山できずにいるお仲間(私もゆきちさんもそう)に,またひとり新たに出会えたのは,とても嬉しいですね。
で、ヤフーレビューの件ですが,奇遇ですね~,ビンゴ!です。
私はこのブログを開設する前にヤフーレビュアーになりました。まっさきに書いたのがBBMの感想ですけど,その後もブログにアップした作品には,記事の文章をほぼそのままコピーして投稿しているので(全部ではありませんが)たぶん見る人が見れば,投稿者が私(=なな)だとわかると思います。
お気レビさん登録は,していただいた方をお返しに自分も登録しているのですが,ひとりだけ,BBMのレビューで「同じ感想だ」と感動したかたを自分から先に登録した記憶がありますね。きっとそのかたがロボさんだったのでしょう。
BBMを心から愛してる方は,同じアンテナを持ってるのか,感動するツボはよく似ているのですが,ご周知のように,あの作品の感想には,自分の人生経験や人生観をも反映されるので,もしかしたらロボさんとは,そんな点で共通点があるのかもしれませんね。
ロボさんもジャック派ですか。私もジャックひとすじだったのですが,ヒースの急逝から,イニスのことを考えることが多くなりました。ジェイクの作品,しばらくご無沙汰だし,ヒースはもうこの世にいないし,(ダークナイトはもうすぐだけど)さびしくてたまりませんけど,BBMの二人を思うたびに,やはり少しも色あせない感動が今も鮮やかに蘇ってきて,あの作品の持つ並々ならぬパワーにはいまだに驚かされますね。
どうぞこれからもどんどんお立ち寄りください。お待ちしています。

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