2020年3月29日 (日)

パラサイト 半地下の家族

Parasite
劇場で鑑賞。殺人の追憶グエムルー漢江の怪物ー 母なる証明でおなじみの、韓国映画の鬼才ポン・ジュノ監督の最新作にして最高傑作。第92回アカデミー賞の作品賞・監督賞・外国語映画賞をはじめ、カンヌでもパルムドール賞など、栄えある各賞を総なめにした作品だ。

あらすじ;半地下住宅に住むキム一家は家族全員が失業中で、ピザ屋の箱を組み立てる内職で日々の暮らしを何とかしのいでいた。ある日、長男のギウ(チェ・ウシク)がひょんないきさつからIT企業のCEOを務める大富豪パク氏の娘の家庭教師として雇われることになった。パク氏の豪邸と家族構成を知ったギウは、パク氏の一人息子の絵の教師として妹のギジョンを推薦する。味をしめた兄妹は、次いで父のギテク(ソン・ガンホ)をパク氏のお抱え運転手に、母親の チュンスクを家政婦に推薦しようと計画し、それぞれ前任者が解雇されるように仕向ける。こうして一家全員が富豪のパク氏の家庭に雇われることに成功するのだが・・・。

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  前半はコメディタッチでの展開。キム一家の半地下住宅での生活の様子がコミカルに描かれ、他家のWi-Fiの無断使用や雇い主の宅配ピザ店とのやりとりからは、一家の貧窮ぶりやしたたかさが窺える。長男のギウがパク家と繋がりを持ち、一家が素性を偽って次々にパク家に潜入?する過程はこの作品中もっともコミカルで、言っては何だが痛快にすら感じるところかもしれない。パク家の夫人ヨンギョ(チョ・ヨジュン)は美形だが世間知らずで、簡単にギウたちに騙されてしまう。事業では敏腕でも家庭のことはすべて夫人にまかせきりのパク氏もまた、家庭教師や運転手や家政婦に関しては深く詮索することもない。
 
 苦労知らずの富裕層の鷹揚さと、それとは対照的な貧困層の雑草のようなしたたかさ。どちらかに肩入れしているのでもなくどちらかを非難しているのでもない描き方で、ただ二つの階層では「こんなにも生きる世界と価値観が違うんだ」ということを感じる。韓国の富裕層と貧困層の間には日本では想像もつかないほどの「深くて暗い川」があり、両者の住む世界をはっきりと隔てている。こちらからあちらへと移ることは至難の業。そんな中、キム一家はパク家の「幸せをほんの少しおすそ分け」してもらおうとしたのだろう。やり方は詐欺ではあるし、前任者を追い出す方法は卑劣ではあるけれど。
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物語の中盤にさしかかり、(ここからが一気に佳境になるのだが)パク一家が息子の誕生日祝いにキャンプ旅行へと出発した夜、キム一家は留守の豪邸で一堂に会し、傍若無人の宴会を繰り広げる。この後を詳しく書けばネタバレになるので控えるが、宴会の最中にキム家が策略を使って追い出した前任の家政婦が邸を訪ねてくる。その後の急展開の凄まじさと面白さ。なんと、パク家にパラサイト(寄生)していたのは実は彼らだけではなかった・・・!邸の地下には、パク家の家族すらその存在を知らない地下室があり、何年もの間、そこに身を潜めて生きている人物がいたのだ!
 
 物語はブラックコメディ→ホラー&サスペンスと息つく間もなく様相を変えながら、終盤にはさらに仰天の展開となり、ラストは切ない希望とやり切れない諦念が交じり合った強烈な余韻を残して幕を閉じる。日本も、かつての「一億総中流」という時代に比べればじわじわと貧富の差が広がりつつある。それでも韓国の「階層移動はほぼ不可能」なほどの深刻な格差社会に比べれば、日本はまだ「努力や才能や運で豊かな生活が手に入る」チャンスに恵まれている。キム家の家族はみなそれぞれ能力的には決して劣っていない。むしろ娘と息子は優秀なのではないかと思えるのに、学業を頑張っても大学に進学しても、就職すらままならないのが韓国の実情だとしたら、「あちらの世界」に移る努力が報われないならば、彼らに寄生して生きていく方法を選びたくなる気持ちも理解できる。

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 ラストシーンのギウの願い。失ったものの大きさを考えつつも、今はまだ会うことが叶わない父ギテクに思いを馳せる。いつか、いつの日か・・・パラサイトという手段ではなく正々堂々と彼が「格差の壁」を超える日が来るのだろうか。それは実現可能な夢なのか、それとも哀しい妄想にすぎないのだろうか。

2020年3月 1日 (日)

切り干し大根

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今年は暖冬のせいか、大根が豊作でした。
例年恒例になっている「干し大根作り」も、今年は2倍量作りました。
我が家の干し大根は一度茹でたものを干すので「茹で干し大根」とも言います。
千切りにして広げて干すタイプと、輪切りにして軒先に吊るすタイプと2種類です。

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こちらは輪切りのもの。真ん中に穴をあけ、紐を通します。紐はスズランテープを使います。

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すごい量でしょ?別に出荷するわけではありません。人におすそ分けはするけど。
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こちらは千切りタイプの方です。雨が降りそうだとそのたびに軒下に入れるのが面倒です。
寒風にさらされ、旨味と栄養分が凝縮された切り干し大根は、軽く戻して酢の物や煮物に使います。
茹で干しは特に甘味が増して美味しいですね。
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これは昨年の完成品。あちこちにおすそ分けすると喜ばれますね。
余ったものは冷凍しておくと年中使えます。

2020年2月 3日 (月)

ボーダー 二つの世界

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「ぼくのエリ 200歳の少女」の原作者が描く、現代のファンタジーともSFともいえる摩訶不思議な魅力に満ちた物語。公開からかなり遅れてそれでも劇場で鑑賞できた。これは原作を先に読んでいた。原作と少し異なる展開もあったが、主要キャストのイメージや、その不思議な世界観は見事に映像化されていたと感じた。

ヒロインは税関職員のティーナ。違法物を持ち込む人間を本能的にかぎ分ける能力を持つ。そしてその「醜い」ともいえる一種独特の風貌から社会の中では孤独や疎外感を感じている。(同居している男性と老人ホームに入っている父親はいたが)そんなティーナの前に、自分と似通った風貌を持つヴォーレという男性が現れる。不思議な親近感から、ティーナはヴォーレに自分から接触を試みるのだが・・・・。

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この作品の題になっている「ボーダー」は「境界」のこと。文字通り二つの世界の境目だ。そしてこの物語で描かれる「二つの世界」とは、「人間世界」と北欧神話ではおなじみの「トロールの世界」。実はティーナは人間ではなくトロールで、赤ん坊のときに実の親から引き離されて人間世界で育てられたのだった。ティーナはヴォーレによってその事実を知らされ、それまでこの「人間世界」で彼女が感じていた違和感や生きにくさの理由に思い当たる。そして自分たちの「種」の特性に目覚めたティーナはヴォーレの導きによって「境界」を越え、本来の自分を取り戻していく。しかしそこには当然様々な葛藤も生じてくるのだが・・・。
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これね~~~、サスペンスタッチで始まるので、何の予備知識もなく観た場合は途中で、え?トロール?それって神話の中の生き物じゃん、これってファンタジーなの?とまずそこで驚く。トロールって我々にはムーミンのイメージが強くって、可愛くほっこりとした印象なのに、この物語では、人間たちはトロールを捕獲したり生体実験したり、人間として生かすために尾を切ったり・・・といろいろ非道なことをしていた・・・つまり人間とトロールは友好的に共存しているのではなく、敵対する存在のように描かれている。

そんな設定の世界で、自分が実はトロールだと知らないまま成人したティーナがヴォーレによって「自分が何者か」知らされ、本来の自分を取り戻していく過程は驚きの連続だった。虫を食べ、雷を恐れ、そして生殖の仕方も出産も人間とは男女の役割が反対になる彼らの生態。見た目は人間に似ていても全然違う面があるのだ。

人間世界からトロールの世界へとボーダーを超えるティーナの驚きや葛藤を通して、鑑賞するこちらもそれまで持っていた美醜や男女や善悪の価値観が揺すぶられるように感じた。
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今まで観たどの作品とも違う不思議な世界に強烈な印象を受けるこの作品、見どころのひとつとして、トロールを演じたこのおふたりの特殊メイクの凄さが挙げられると思う。実際の素顔とメイク後のお二人を比べてみるとよくわかるが、特にティーナを演じた女優さんの変身ぶり!役作りのために20キロ増量し、分厚い特殊メイクであえて醜い容姿に変身。それが全くメイクにみえないくらい高い技術だ。(メイクに3時間かかったそうだ・・・。)

2020年1月 5日 (日)

今年のお正月料理

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お正月料理の準備は12月30日の夕方から始まります。

我が家ではおせちは大晦日の31日の夜からいただくので、31日の夕方にはすべて作り終えます。31日は朝からお煮しめの煮炊きをスタートさせるので、その下準備を30日のうちにやってしまいます。数の子の塩抜き等も。出来上がったおせちは3軒のお宅におすそ分けするので大量になります。
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一般的なおせちメニューとは少し違います。家族が好きでないので、海老と伊達巻と田作りと栗きんとんは入れません。その代わりにこれも家族のリクエストで唐揚げが入ります。その他は、お煮しめ、なます、レンコンのきんぴら、牛肉巻き、だし巻き卵、数の子、黒豆、菜の花とかにかまの和え物、春菊のお浸し、ぶりの照り焼き、かまぼこです。買ったものとは違い、手作りは自分の好きなものだけ詰めれるのでいいですね~。
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数の子は毎年石狩湾産のものをとりよせます。お煮しめの出汁の昆布も、利尻と羅臼を使います。鰹節を加えて丁寧に出汁をひき、それにさらに干し椎茸(どんこ)の戻し汁を加えたものを大鍋いっぱいに作り、煮しめや蕎麦つゆに使います。
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31日の午後、おせちが出来上がったころに、親戚から手打ちそばとつきたてのお餅が届きます。お重に詰めたおせちとの交換です。お蕎麦はつなぎを入れない切れ切れの状態ですが、蕎麦の素朴な香りが強くて美味しい。大晦日のディナーはこの年越しそばと出来立てのおせち。このメニューは基本は3が日共通です。
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元旦の朝にはみそ仕立てのお雑煮。昨日いただいたお餅をストーブで焼いて。
毎日のおせちに飽きると、年末に知人から送られてくる鳴門産の生ガキを蒸したものが食卓に登場します。もちろんスダチを添えて。
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3が日が過ぎると、まだ残っているおせちのお煮しめは精進揚げに変身します。味がよくついているので天つゆなしで食べられる美味しさ。
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今年のお正月もこんな感じで終わりました。明日からはやっと普通のメニューになります。カレーとか、食べたいかな。

 

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